トランプ政権の評価を問うアメリカ中間選挙。
その選挙の鍵を握る『宗教票』をめぐる異変について、見ていきます。
■“もう一つのMAGA”「民主党は悪魔」 政権中枢にも信捧者
共和党の牙城を崩す難しさに、トランプ大統領の岩盤支持層の存在があります。
トランプ大統領を支える、もう一つの『MAGA』です。
メイク・アメリカ・ゴッドリー・アゲインの頭文字をとった『MAGA』。
「アメリカを再び神の国に」と主張する勢力で、自分たちの解釈による宗教的価値観に基づき、国家や社会を変えようと考える、キリスト教保守派の人たちです。
もう一つの『MAGA』の勢力です。
アメリカの公共宗教研究所によると、アメリカ国民の3割が『もう一つのMAGA』の考え方を信奉しているか、共感しているということです。
この考えは政権中枢にも広がり、ジョンソン下院議長やバンス副大統領もこの考えの信奉者だといいます。
もう一つのMAGAの中でも影響力を拡大しているのが、NAR(エヌ・エー・アール)『新使徒運動』と呼ばれる、従来の宗派や組織を持たず、他の教会などと連携して自分たちの考えを広める、ネットワーク型の宗教運動を行う人たちです。
NARの考え方です。
立教大学教授の加藤喜之さんによると、NARは(聖書の記述に基づいて)、政治・メディア・教育・経済・家庭・宗教・芸術や娯楽、7つの分野でキリスト教徒が頂点に立つことを神が望んでいると考えています。
さらに、各分野を支配する悪魔(権力)を打倒することを目的としているということです。
NARの支持者です。
加藤教授によると、NARの熱心な支持者は300万人程度と言われていますが、NARの考えに賛同している人は数千万人規模になる可能性があるといいます。
しかし、組織を持たないため実態は不明だということです。
「あらゆる階層、あらゆる業界、機関の人たちが信仰している」と話しています。
なぜNARはトランプ大統領を支持してるのでしょうか。
「トランプ氏は、神がアメリカをこれまでの状況から抜け出させるために公職に就かせた人間だ」と話しています。
NARにとってトランプ大統領は、人工妊娠中絶の反対や親イスラエル政策などを進める『最高の大統領』だということです。
NARは政権の中枢にも影響を及ぼしています。
ホワイトハウスの信仰局のトップがポーラ・ホワイト氏で、トランプ大統領と長年の友人で、NARの中心的指導者のうちの一人だということです。
NARは議会襲撃にも関与したという疑惑があります。
2021年1月、トランプ大統領の支持者がアメリカ議会に乱入し、5人が死亡する事件が起きました。
この事件の前日、NARの中心的指導者、チェ・アン氏が群衆に向けて、
「トランプとアメリカから勝利が盗まれた選挙」と語っていたということです。
「新使徒運動(NAR)など『もう一つのMAGA』勢力は、民主党を悪魔とし、トランプ大統領に対しては忠誠心を保ち続けているのでは」
■“トランプ氏と祈り”動画公開 司教ら「利用された」 狙いは?
トランプ政権が宗教を政治利用する動きを見せています。
中間選挙の約2週間前、キリスト教カトリック教会の司教たちが、ホワイトハウスでトランプ大統領と祈りを捧げる動画が公表されました。
まるで司教たちがトランプ大統領を支持しているように映るシチュエーションです。
この日は、ホワイトハウス信仰局の職員が手配した会合があり、移民問題や外国人聖職者へのビザなどの問題を話し合うものだったということです。
「この面会が党派的な政治目的のために利用されたと感じた」
「特定の政党や候補者への支持に関わるつもりなど、私たちの誰にも全くなかった」
「会合は非公開のもので、『政治的な撮影の機会ではない』と思っていた」と話しています。
カトリック教徒への調査で、トランプ大統領の支持率は、
2025年に政権に復帰したときは47%、
2026年10月の調査では、30%と低下しています。
また、今回の中間選挙、地元の下院議員選挙で民主党の候補を支持すると回答したのが、42%に対し、共和党の候補を支持すると回答した人はやや少なく、39%でした。
「ヒスパニックを中心としたカトリック票をつなぎ止める目的があったのではないか。これまでも大統領と聖職者たちの写真は、イメージ戦略として効果的に使用されてきた」と話しています。
■岩盤支持層『福音派』 一部でトランプ氏の支持低下 何が?
一方で、トランプ大統領の岩盤支持層『福音派』の一部に異変が起きています。
福音派とは、聖書を重んじ、布教に熱心なキリスト教・プロテスタントの保守的な一派のことです。
アメリカ人の約4人に1人が『福音派』とされ、その多くがトランプ大統領を支持しています。
2024年のアメリカ大統領選挙でも、トランプ大統領の支持の約3分の1を白人福音派が占めました。
ただそんな福音派に、今、変化が起きています。
白人福音派のトランプ大統領の支持率が、政権発足当初は78%だったのが、2026年10月13日に発表された調査では、58%と大きく低下しています。
「福音派でも、経済状況の悪化に不満を持つ人は増えており、選挙への熱量が下がっている。さらに、キリスト教的な訴えをする民主党候補者に支持の一部が流れている」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年11月3日放送分より)











