アメリカの中間選挙で歴史的な大敗を喫した共和党ですが、敗因はどこにあったのでしょうか。
世界経済やイラン戦争の行方、さらに、日本への影響についても、みていきます。
■米中間選挙 データから見えた“敗因”勝敗を左右したのは…
中間選挙の大勢が判明しました。
日本時間、11月5日午前7時現在の情勢です。
下院は、全435議席が改選され、過半数は218です。
選挙前は民主党が212議席、共和党が219議席でしたが、
選挙後は、民主党が240議席、共和党が139議席を獲得。
残りは56議席です。
上院は、定数100議席のうち、35議席が改選となり、過半数は51議席です。
選挙前は、改選されない議席も含め、民主党が47議席、共和党が53議席でしたが、
選挙後は、民主党が54議席、共和党が44議席を獲得。
残りは2議席です。
激戦州となっていた上院の7つの州について、日本時間、11月5日午前7時時点の情勢です。
アイオワ州、カンザス州、オハイオ州、テキサス州、メーン州、ミシガン州の6つで、民主党候補の当確が出ています。
最後のひとつ、アラスカ州ですが、民主党のペルトラ氏が48.2%、共和党のサリバン氏が47.9%。
民主党が僅差で優勢です。
今のところ、民主党の6勝となっています。
アメリカ政治が専門の、成蹊大学教授・西山隆行さんが注目した州について、みていきます。
1つ目、テキサス州です。
上院の選挙戦では、民主党のタラリコ氏が“富裕層批判”などを展開し、38年ぶりに民主党が勝利しました。
「私たちはたった今、テキサスを取り戻した。私たちはどんなに巨額の資金が投じられても、テキサス州民の力にはかなわないと証明した」と話しています。
どんな層が勝敗を左右したのでしょうか。
2年前の大統領選挙との比較です。
共和党候補への投票は、18歳から29歳は、48%から20%に。
30歳から44歳が、55%から34%に減りました。
ラテン系の層では55%から32%に。
アジア系の層では55%から29%に。
大卒資格を持たない層も、前回は61%がトランプ大統領を支持しましたが、今回、共和党を支持したのは48%にとどまりました。
注目2つ目、カンザス州です。
上院の選挙戦で、民主党のハミルトン氏が、共和党の現職を破り当選。
94年ぶりに民主党が勝利しました。
「民主党が約1世紀ぶりに、“真っ赤なカンザス”で勝利した。ワシントンの政治は容認できない、と人々が党派を問わず示した」と話しています。
どんな層が勝敗を左右したのでしょうか。
カンザス州の有権者の支持政党は、民主党支持が25%、共和党42%、無党派層が32%。
無党派層の動きをみると、民主党のハミルトン氏に投票したのは64%で、共和党のマーシャル氏への投票の約2倍です。
さらに、共和党支持者の12%もハミルトン氏に投票しました。
民主党支持者の他、無党派層、そして、共和党支持者の影響が大きかったことがわかります。
「おめでとうと伝えたい。よくやったね。民主党は11年間、この状況を待ち望んでいて、ようやく達成できた」とFOXニュースのインタビューに答えました。
「自分が負けたのではないということ。ここまで負けてしまったら、もう『不正だ』と言っても仕方ないと開き直っている。ただ、トランプ氏が、今後、政権運営を変えるかといったら、やり方は多分変えない」
■“歴史的大敗”に現地報道 『終焉の始まり』 『地殻変動的』
中間選挙について、各メディアの見出しや論評です。
『トランプ氏 終焉の始まり』だと報じていて、『自身への信任投票』と位置づけた戦略が、完全に裏目に出た、と指摘しています。
『地殻変動的な大勝利』、民主党が上下両院で主導権を奪還、優位な立場から政策課題に異議を唱える、と報じています。
『“ブルーツナミ”がトランプをのみ込む』、『テキサスを青く染める』民主党はついに、30年以上達成できなかった目標を達成した、と報じています。
『アメリカよ、深呼吸しよう、新しい1日の始まりだ』、アメリカの政治は一変し、過激主義の時代は終わりを迎えたようだ、と報じています。
■トランプ氏「ミスター拒否権に」 今後の政権運営は?
今後の政権運営についてです。
トランプ大統領のSNSには、日本時間の11月4日午後2時前、拒否権という意味の『VETO』と書かれた赤い帽子の画像が投稿されました。
「私は“ミスター拒否権”になるだろう」とも話しています。
議会の権限です。
上院は『法案の可決』のほか、『人事の承認』、『3分の2の賛成で弾劾で罷免』出来ます。
下院は『法案の可決』のほか、『調査』、『過半数の賛成で弾劾訴追』が出来ます。
一方、大統領が行使できる手段です。
『法案の署名・拒否』のほか、『人事の任命』、『大統領令』などがあります。
トランプ大統領は、民主党の法案に『拒否権』で対抗するとみられ、内政が混乱する可能性があります。
「民主党が上下両院協力して法案を通しても、大統領が拒否すれば、法律にならない。民主党も共和党も『悪いのは相手だ』という形で、お互いの岩盤支持層に向けてパフォーマンス合戦を繰り広げ、生産的な議論にはならない」
■米国経済 日本に影響は?イラン戦争「敗北の一因」今後は?
世界はどうなるのか、西山教授に占ってもらいます。
まずは経済への影響です。
積極財政はどうなるのでしょうか。
民主党の左派は関税に代わり、富裕層増税で財源を賄いたいが、トランプ氏が拒否権を発動するため、状況はほぼ変わらず、現状維持とみられます。
AI投資は、大きなトレンドとして進んではいくが、民主党がネガティブなイメージを付けた手前、ある程度の規制を進める可能性がある、ということです。
「アメリカは米中覇権争いの中で、日本に頼らざるを得ない。関税をかけると脅してやらせるのがトランプ氏のスタンスだが、民主党も関税を利用する方向性は一致。今後も基本的には変わらない可能性。ただ、関税をかける項目には隔たりがあり、議論される可能性もある」
イラン戦争への影響です。
民主党が上下両院を奪還したことにより、政権が求める追加予算が認められず、戦争継続が困難になります。
選挙当日には、トランプ大統領が、イスラエルへの年間40億ドルの支援が批判材料になっているとして、年末で打ち切ることを発表しています。
一方、イスラエル側は、ネタニヤフ首相が、10月31日、トランプ氏と電話会談を行い、中間選挙後、イランへの再攻撃を実施するよう圧力をかけたといいます。
「イラン対応は有識者に支持されていたが、共和党候補の重荷になった。敗因の一部」と述べ、
「イランも(敗北の)一因だった」と話しています。
イラン戦争の今後について
「イラン戦争は現時点ではまだ、終結・激化どちらに転んでもおかしくない状況」
「終結に向かえば、原油価格は下がると思うが、攻撃前の水準に戻ることは考えにくい」
■次期大統領選 共和“ポスト・トランプ”は?民主は党内に溝
2年後の次期大統領選はどうなるのでしょうか。
共和党は2028年の大統領選に向けて、党内でトランプ氏と距離を置く動きが出る可能性があります。
ただ、『MAGA派』の熱心な支持層は健在で、トランプ氏との決別には、その支持を失う危険があるといいます。
ポスト・トランプは誰なのでしょうか。
バンス副大統領です。
しかし、地元・オハイオ州で共和党候補が敗北し、トランプ氏の後継者の“本命”と目されていましたが、地盤を守れず、党の候補者指名を争う上で、大きな打撃となりました。
「バンス氏は、今回の選挙結果を受け、ポスト・トランプからやや後退。ルビオ国務長官が有力に」
一方、民主党の次期大統領選、有力候補についてです。
急進左派のエルサイード氏、穏健派のタラリコ氏、急進左派のオカシオコルテス氏、穏健派のオソフ氏、ニューサム カリフォルニア州知事などです。
「党の路線がまとまっていない。お互いに潰しあった結果、別のバランス感覚がある目立たない人が残る可能性もある」ということです。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年11月5日放送分より)















