リアルアメリカ 時給50ドルの衝撃 賃上げのワケ[2021/11/26 20:00]

ニューヨークのレストランで働く大学生に、時給がいくらか聞いてみました

学生)ウェイトレスの時給は15ドル。チップと合わせて時給25ドルぐらいかな

ニューヨークの最低賃金は15ドルおよそ1700円です。
チップ込みで時給3000円近くになるという人も。
日本と比べると、高いアメリカの賃金に今、異変が起きています。

記者)コロナ禍から経済が回復に向かうアメリカでは、人手不足が深刻になっていまして、人件費を上げる動きが加速しています。

アメリカ労働省が12日に発表した。9月の求人件数はおよそ1040万人に上りました。
ただ、失業者の総数は767万人ほどに留まり、雇用が過熱しているのです。
「人手が足りない」という事態に経営者はどう対応しているのでしょうか?

八木秀次(やぎ・ひでつぐ)ボンさん(73)、
50年以上前にアメリカに移住し、
ニューヨークで11軒の日本食レストランを経営しています。
毎日、オフィスを出て外回りをするという八木さん。
流行に敏感なニューヨーカーのニーズや市場の動向をつかむため、
自分の足で店を訪ねています。
ランチタイムに訪れたのは、その名も「蕎麦屋」いわゆるワクチンパスポートなど、感染対策を取りながら営業を再開しています。
コロナ禍を乗り越え、客足は戻ってきましたが、
頭を悩ませているのは、やはり従業員の確保です。

八木さん)お客様は待ってましたって感じで来られるんですけど従業員不足で。
全米、特にニューヨークの中心マンハッタンはもう人手が足らなくて。

店内で、そばを打つのは、20年のキャリアを持つ現地のスタッフです。
慣れた手つきで、力強く生地を伸ばした後、
細く均一に切っていきます。まさに職人技です。

八木さん)グッドワーク!
現地スタッフ)有難うございます!

店を訪ねる理由は、他にもあります。
従業員とのコミュニケーションを大切にしているのです。
飲食業界の人件費は今、うなぎ上りだといいます。

八木さん)皿洗いが時給15ドルでは見つからない。企業で引き抜きをするので皿洗いも17、8ドルになったり。板前さんも2000円だった人が2500円になって、そういう人たちの勤務時間が40時間を超えると1.5倍になるので、高い人では40ドルから50ドルの時給になる

ニューヨーク州の法律で、週40時間を超えた分の時給は元の1.5倍となります。
今はベースの賃金が上がっていて、この残業代が50ドルと時給5500円に上る場合もあるというのです。さらに、

八木さん)それから今、食材の高騰がきていますのでコンテナ不足で。そこを加味するとまだまだ回復にはつながっていない。30%ぐらい上がっていますから全てが

原油の高騰が続いているほか、港の混雑やトラックの運転手も足りておらず、
旺盛な需要に供給が追いついていません。
アメリカの10月の消費者物価指数は前の年の同じ月に比べて6.2%上昇し、
およそ31年ぶりの高い伸びとなりました。

店では人件費に加えて、
仕入れ値の高騰も受け、メニューの価格を一部、上げることにしました。

記者)きました。かけそばです。いい香りですね。一杯14ドル、1600円程です。
チップを入れて1900円程になりますが、ニューヨークでは一般的な価格です。

客の評判は上々です。

客)他のお店と比べても価格が高いとは感じません。美味しいしね。

1杯1900円のそばを「安い」と感じているのです。
アメリカは20年以上、物価と人件費を上げながら、経済成長を果たしてきました。
一方で給与が増えず、実質賃金が下がっている日本との差は開くばかりです。
日本政府は、

岸田総理)成長の果実を分配してまいります。官民あげ国民一人ひとりの給与を上げるため具体的アクションを起こします。給与を引き上げた企業を支援する賃上げ税制について控除率の大胆な引き上げなど制度を抜本的に強化し、賃上げを後押しいたします

岸田総理は、「一人ひとりの給与を上げていく」と明言しました。
ただ、賃上げが進まない中、企業の内部留保は484兆円まで積み上がり、
9年連続で過去最高となっています。

19歳の時、500ドルを片手に単身で渡米した八木さん、
「一旗揚げるまでは日本に帰らない」そんな思いを胸に、八百屋など始め、
アメリカの経済成長を目の当たりにしてきました。
「安いニッポン」との違いはどこにあるのでしょうか?

八木さん)やっぱりニューヨーカーっていうのは、良いものには価値をちゃんとつけて値段を出してくれる。もちろんそうなると、人件費も上がって仕入れ値も上がります。結局そうするとメニューの価格も上げるけど、ちゃんとお客さんがそれをわかってくれる

経営者として人件費についての考えを聞いてみました。

八木さん)一番重要だと思います。ビジネスは人で成り立っていくので。お客さんも人だし、作る人も人だし、経営者も人なんです。私よく言うんですけど「Happy worker is good worker」幸せを感じている従業員はちゃんとよく働くし、伸びるわけですよね。従業員が幸せにならなければお客さんが満足しないですよね。

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