完成間近 新築マンションが引き渡し直前に解体へ[2024/06/10 13:56]

 東京・国立市の完成間近のマンションが、引き渡し直前に解体されることになり、驚きが広がっています。建設にあたって周辺住民からは「富士山が見えなくなる」などの反対する声が出ていたということです。現地で何が起きたのでしょうか?

 解体されるマンションは地上10階建て。富士山の眺望が臨めることを売り文句として販売されていました。

 このマンションが建つ富士見通りは富士山を望むことができると、古くから地元で愛されています。

近隣住民
「冬場などはこの道の真正面に富士山が見えて、すごくきれいで、市民にとってはそれは一つの大切な財産ですよね」

 マンションができる前の写真と比べてみると、完成後、正面に見えていた富士山が半分近く隠れてしまいました。

 「関東の富士見100景」にも選定されていたため、市民は嘆いていました。

 そんななか、完成目前のマンションが解体されることになったのです。このマンションは来月には引き渡しが行われるはずでした。

■「富士山が見えなくなる」だけではない…切実な理由

 そもそも、この地域には高さに関する制限はありません。しかし、マンション建設が計画されると、市民から反対の意見書が出され、2021年には市の審議会でも、議論が行われました。

 さらに近隣住民を取材すると、富士山が見えなくなるだけでなく、切実な理由もあるといいます。

マンション建設に反対していた住民
「問題は富士山ではない」
「うちは午前10時〜午後2時まで日陰になる。冬は真っ暗で、雪がとけなくて大変」

近隣住民
「富士山の景観が損なわれるというのは、あまり聞いたことがない。マンションの北側に建っている戸建てに、日が当たらなくなってしまうとか、マンションの高さが高いので、プライバシーが守られない」

 日照がなくなることが、より大きな問題だといいます。

反対住民
「富士山が見えなくなって残念と同時に、それぞれの家が日陰になって困る」

 事業者は11階建てから10階建てに変更するなど、景観や環境に配慮した計画の見直しを行いました。

 しかし、住民との協議は平行線をたどり、2022年には、打ち切りに。その翌年、マンションの建設を始められました。

 一転、今回、突然の解体を決めた理由について、事業者はこう説明しています。

広報担当者
「建物が建つことによって、周辺への影響を十分に検討ができていなかったため、当社として解体することを判断しました」

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