男性育休取得の「義務化」はやりすぎ? 議論始まる[2019/05/23 12:22]

 男性の育休取得を「義務」とするかどうか。23日朝から熱い議論が繰り広げられています。

 朝、男性の育児休業の「義務化」を目指す議員連盟の立ち上げに向け、発起人らによる会合が行われました。義務という強制力を持たせることを目指す理由は。
 自民党・松川るい議員:「(育休を)取りたいという気持ちはありながら取りたいと言い出せない。申請できないということで、このパラダイムを変えようじゃないかと」
 厚生労働省の調査によりますと、女性の育児休業取得率は8割を超えているのに対し、男性は増加傾向にあるものの、2017年度でも5.14%です。職場の忙しさなどを考えて育休を取得したくても言い出せない男性が多く、取得率を上げるにはこの状況を変える必要があるということです。
 一方で、育休の取得を義務とすることに対しては「やりすぎなのではないか」「個人の自由なのではないか」という意見もあったということです。
 自民党・和田義明議員:「義務化という表現はショッキング。この表現を使うことの賛否もありました。育児休暇の取得は待ったなし。職場の文化を変えるんだという決意に基づいて、『義務化』という表現を使おうと決定しました」
 自民党・松川るい議員:「個人に対して『義務化』ということではない。奥さまの妊娠が分かったら、企業の方からプッシュ型で育休をそれなりの期間まとめて与えて下さいねということ」
 育休取得を義務とすることで企業側の負担は増すのではないか。この点については。
 株式会社ワーク・ライフバランス、小室淑恵氏 :「男性の新入社員の8割が育休を取得したいと言っている。女子学生の9割が夫に育休を取ってもらいたいと。この願望がかなえられる地域や職場に若者は集まる」
 23日の会合に出席した小室さんが代表を務める株式会社ワーク・ライフバランス社のサイトには、「男性育休100%宣言」に賛同した企業としてアパレル、鉄道、製薬会社など様々な分野の代表者が掲示されています。そのなかの一つ、大東建託では2018年から5日間の育休取得を義務としています。
 大東建託経営企画室・太田壮哉さん:「妻の妊娠の報告を上司にした時に『ぜひ取ってね』と」「(Q.仕事への影響は?)正直なかったというと嘘になります。常にコミュニケーションを取っていればうまくいくのではないかと」
 男性の育休取得率は2017年度は5.9%でしたが、2018年度には88.3%にまで急激に上昇したということです。
 大東建託業務統括部長・中村武志氏:「(Q.義務化に反発は?)ないです。本人の意思に任せてしまうと、どうしても取れないというのが日本の社会にもあると思いますので、会社が制度化して『取りなさい』と義務化する。最初はそういうことが大事かな」
 この「育休義務化」について、働く男性たちはどのように感じているのでしょうか。
 30代商社勤務:「流れとしてあるのは良いと思うけど、現実問題難しいところはあるのかなと。自分が『それだったら犠牲になって育休は取らずに仕事をしよう』と考える人が多いのかなと。義務となるのであれば、(育休取得も)仕方ないかなと。会社がそれを守るかどうかは別の話だと思う」
 50代金融系勤務:「女性はほぼ100%取っているので、男性についてはまだまだこれからなんだろうなと。定着するまで義務化にした方が良いと思います。休暇にしてもそうですけど、日本はそうやって制度が後押ししないと広まらないところもあると思うので、僕はやった方が良いと思います」

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