文大統領の親書の内容は? 両国の思惑と今後の方針[2019/10/24 17:35]

 24日、安倍総理大臣が韓国の李洛淵(イ・ナギョン)首相と会談しました。悪化している日韓関係の改善に向けた糸口はつかめたのでしょうか。ソウルから報告です。

 (良永晋也記者報告)
 (Q.親書の内容に関する情報は出てきているか?また、韓国側にはどんな狙いがあったのか?)
 今回の会談は、韓国側にとっては日韓関係修復に向けた「きっかけ」を作る場でした。李首相は今回の訪問で民間交流の象徴的な場所を訪れたり、天皇陛下の即位に対するお祝いや台風被害へのお見舞いの言葉を述べるなど、友好メッセージの発信に心を配っていた印象を受けます。また、韓国政府関係者によりますと、手渡された文在寅(ムン・ジェイン)大統領の親書に関して「日本は重要なパートナーだ」と強調する内容が書かれていました。さらに、徴用工など見解の違いが分かれる大きい問題に対しては李首相から直接、触れることはなかったということです。背景には韓国国内の事情があります。日本による輸出規制やこれに反発した不買運動によって韓国経済には打撃が広がっています。支持率の低下を食い止めるためにも日韓関係をこれ以上悪くできないという危機感が政権内には広がっています。来月にはASEAN(東南アジア諸国連合)関連首脳会談など大きな国際会議が控えています。現時点で本格的な首脳会談を開くのは難しい情勢ですが、立ち話を含めた対話が行われるかどうかが焦点になってきます。

 (政治部・大石真依子記者報告)
 (Q.日本政府としては今後、韓国とどう向き合っていくのか?)
 安倍総理は「対話のドアはオープン」を自らの外交姿勢としてきました。国際会議の場は文大統領との接触の機会になるかもしれません。ただ、日本側の主張はシンプルで、まずは韓国に「国と国との約束を守ってほしい」ということです。関係悪化の大きなきっかけとなった元徴用工を巡る判決からまもなく1年となりますが、互いの主張は依然、平行線のままです。今回の会談で注目されるのは「国際法違反の状態を改善しなければならない」「約束を守ることで健全な関係に戻すきっかけをつくってほしい」という安倍総理の発言です。これを24日の会談のなかで2度にわたって念押しをしたということです。日本政府としては日韓関係が今後どうなっていくのかは交渉によって妥協点を見出すというのではなく、行動を起こすべきは韓国側だという考えです。

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