検察庁法改正“異例の取り下げ” なぜ方向転換を?[2020/05/18 18:36]

 内閣の判断で幹部の定年を延長することが可能となる検察庁法の改正案について、政府・与党は今国会での成立の見送りを決めました。国会記者会館から報告です。

 (政治部・山本志門記者報告)
 安倍総理大臣は18日午後、自民党幹部を前に「国民が理解して前に進めることが大事だ」として、今の国会での成立見送りを指示しました。方針転換の背景には、予想以上の世論の反発とそれに伴う内閣支持率の低下が重しとして大きくのしかかってきたのです。さらに、役職定年の延長の基準が不明確で答弁に窮したことやコロナ対策を進めるためには国民の理解が大前提なため、この問題で「国論の二分は避けたい」として最終的に判断した形です。
 伏線はこの週末からありました。自民党関係者によれば「このままでは大変なことになる」として、17日に「現状では採決はできない」との方針を政府・与党で確認したということです。ある自民党幹部は「時間をかけた方がいい」としてこの法案を継続審議とし、秋の臨時国会に先送る方針です。しかし、採決直前の法案を取り下げるのは異例中の異例です。10万円の給付金を巡る混乱に続き、政権の体力がジワリジワリと奪われているのは確かで、自民党内からは「これ以上のダメージを抑えた」という見方と今後の影響への懸念が交錯しています。

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