立憲民主 枝野新代表に聞く全文「自助でなく公助」[2020/09/10 23:30]

立憲民主党や国民民主党など149人が集まる“合流新党”の代表選が行われ、枝野幸男さんが選ばれました。党名は『立憲民主党』の名を引き継ぎます。新党は、どんな社会を目指すのか。立憲民主党・枝野幸男新代表に聞きました。

149人という野党第一党の代表に選ばれました。今の心境はいかがですか?
 立憲民主党・枝野幸男新代表:「緊張感と責任の重さを痛感しています。せっかく皆さん色んな経緯を乗り越えて、政権の選択肢になるための発射台を作り直すことができました。党内で役割分担をするわけですが、50人の中で役割分担をするのと、100人規模で役割分担をするのでは、効率というか、力の発揮具合が全然違います」

◇“自己責任”から“支えあう社会”へ
新しい立憲民主党は、自民党との対立軸をどのように作っていきますか?
 立憲民主党・枝野幸男新代表:「今、(次期総裁に)有力とされている菅官房長官から『自助』と言って頂いたことで、非常にわかりやすくなったと思います。自分の力だけでできない時のために政治がある。自助とか共助ではなく、政治は『公助』支えあう社会のための仕組みをどう作るのかというのが我々の方針です。自己責任とか、過度な競争といった方向性とは明確に違います。かつて民主党が政権を預からせて頂いた時には、明確な対立軸がはっきりしないなかで、残念ながら期待に応えられなかった。もう一つは立憲主義です。ルールに基づいて政治をやろうということです」

民主党や民進党時代など、今までのことをすべていかしていくということですね?
 立憲民主党・枝野幸男新代表:「過去を捨ててはいけないと思っています。我々と国民民主党、無所属でご苦労されてこられた方、色々と違いがある。その違っていることを捨てて一緒になるのではありません。今まで、民主党の経験がある人や、江田憲司さんのように「民主党政権けしからん」と外から攻撃をされていた方も今回、一緒になっている。みんなしっかりと背負いながら、その経験があるからこそ、同じような失敗は二度としないということを、自信を持って訴えられると思っています」

◇公約:強力な司令塔でPCR検査等を拡大
今の政権もPCR検査を増やすとしていますが、立憲民主党が政権を取った場合、具体的にどうやって増やしますか?
 立憲民主党・枝野幸男新代表:「増やす増やすという掛け声はずっと来ていますが、実際の増え方は必ずしも大きくありません。なぜかと言えば縦割りです。厚生労働省系の保健所はパンク状態で頑張っています。ところが、文部科学省系の大学には同じような設備やノウハウがあります。それから、ダイレクトに行けるかは別としても、感染症は獣医師や獣医学部がやっています。これは農林水産省です。自動化された機械は経済産業省です。それを役所ごとにやらせているから、なかなか前に進まない。省庁横断の司令塔が必要で、本来、官房長官がやらなければならない。菅官房長官がやらなければならなかったのに、なぜやらなかったんですかと思っています。必要がある方には必ず、簡単に受けられるようにするということがないと、経済活動も社会活動も十全には戻れない。検査を広げるための強力な司令塔が不可欠だと思います」

◇公約:所得税・消費税の時限的減免と定額給付金を制度化
時限的減免ということですが、例えば消費税ならどのくらいの期間で何%くらいを念頭に置いていますか?
 立憲民主党・枝野幸男新代表:「基幹税である所得税や消費税というのは、政権を取ったとしても参議院がねじれていると、数の力で押し倒してやれないし、やってはいけない税目だと思います。与野党である程度の合意を形成しながらやっていかなくてはならない。従って、僕は所得税についての中間層の減税、消費税については、時限的ならゼロの方がインパクトはあると思います。しかし、これは与野党合意しないとなかなか進められない。これは粘り強く与野党で協議しましょうと。一方で、定額給付金は、政権を取ればすぐにでもできるし、即効性があります。また、一番厳しい人たちに厚くいきます。ですから、ハイブリッドで組み合わせていくということを申し上げていますが、その与野党合意ができるのかどうかということと合わせながら即効性のあるもの、実際にリアリティーのあるものを進めていくという風に思っています」

財源はどうしますか?
 立憲民主党・枝野幸男新代表:「財源はもちろん財政規律は大事なことですが、これだけ消費が落ち込んで経済が冷え込んでいる状況が、もし2年も3年も続いたら大変なことになります。まず、当座の話については、国債はやむを得ない。ただし、これを恒常的にやるんだとすれば、所得税や法人税のところでしっかりと財源を確保していくべきだと思っています。例えば所得税のなかでも金融所得課税は、働いて稼いだお金の税率よりも低かったりするという、ちぐはぐなところがあります。大企業などで、稼いでいるのに、あまり税金を払わずに社内に貯められているというお金があります。こういったところについて、しっかりと税負担して下さいと」


◇公約:選択的夫婦別姓などジェンダー平等
自民党総裁選の討論会では、子どもを出産する時に費用を無料化することや、不妊治療の保険適用といった政策が話題になっていますが、女性や子どもに寄り添った政策はどういったものを考えていますか?
 立憲民主党・枝野幸男新代表:「今年1月の立憲民主党の代表質問で問題提起をしました。私自身、我が家が不妊治療の当事者で、幸い双子を授かりましたが、経済的な負担が大きかったことをよくわかっています。自民党の中からそうした声が出てきたことを大変歓迎しています。ただ、保険適用をする場合の要件みたいなものは、すごく難しいです。ぜひ早く具体的な案を示して頂いて、一緒に前に進めていきたいと思っています」


◇離合集散の歴史に終止符
2009年に政権交代を成し遂げた民主党ですが、2012年には野党に転落します。その後、2016年には党名を民進党に変更しました。そのわずか1年後、当時の前原誠司代表が希望の党への合流を決め、袂を分かつ形で、枝野代表は立憲民主党を結党しました。そして、今回、国民民主党など一部が合流する形で、衆参149人の新・立憲民主党が誕生しました。これからどうやって一枚岩になって党の運用をしていきますか?
 立憲民主党・枝野幸男新代表:「この7年8カ月、反省も含めて考えると、民主党政権が期待に応えきれなくてご批判を頂いたというところから、もう一度再生していくうえで、古くなった機械を1度全部解体して、掃除をして、傷んでいる部品は取り換えて、もう一度組み立てるプロセスがあります。意図した訳ではないですが、結果的に色んな思いを与党時代に持っていた。その色んな思いがあるなかで、残念ながら離合集散することになったけれども、そうしたことの中で、新しく入って頂いた。例えば中村喜四郎さんもそうです。それから、民進党から民主党政権を厳しく批判していた江田憲司さんが入ってこられた。まだ皆さんにはあまりメジャーではないかもしれないけど、我々の仲間のなかには、日本新党で初当選して、自民党に一度行かれたが、立憲民主党の立ち上げに加わって頂いた矢上雅義さんがいる。残念ながら紆余曲折がありましたが、我々の失敗の経験と教訓、それに対する反省、そしてそこに新しい人たちが加わっていきます。今回、理念も一つの方向性を決めることができました。民主党政権の反省もあるし、この7年8カ月の様々な紆余曲折の教訓を経ているがゆえに、しっかりやっていこうという意思がかなり統一できたんじゃないかと思っています」

◇変わらない党名・顔ぶれ
蓋を開けてみれば、党の名前も代表も変わっていない、枝野代表の推薦人も、菅直人氏や野田佳彦氏、小沢一郎氏、辻本清美氏、蓮舫氏と旧民主党政権の人が並んでいます。代表選では新党にもかかわらず、高揚感がなかったと思いますが、どう受け止めていますか?
 立憲民主党・枝野幸男新代表:「それは25人のうちの5人です。若い議員や江田憲司さんも推薦人に入って頂いています。高揚感がないということですが、名前を変えて、看板を変えて新党という形にして、目先を変えて支持を集めようという手法が国民の皆さんに見透かされていると思っています。そういうことを使って高揚感とか期待を集めてはダメだと、中身で勝負をするんだと私自身ずっと言ってきました。新しい器ができた。きょうスタートすることになった。ここから我々の国会内外の活動のなかで期待を集められるかどうか。一瞬の風には期待しない。そういう姿勢を私が持っているので、全体としてもそういう雰囲気だったのかもしれません」

◇世論調査
報道ステーションが先月に行った世論調査で、“合流新党”への期待について聞いたところ、期待すると答えた人は27%、期待しないと答えた人は61%でした。どうすれば、もっと支持される政党になれると思いますか?
 立憲民主党・枝野幸男新代表:「何もしていないのに27%の皆さんも、しかも従来の立憲民主党や国民民主党の支持率を合わせたものよりずっと大きな皆さんに期待をして頂いています。この皆さんが今、期待して頂いたものに対して応えられるような、党運営をスタートさせるわけです。僕は何もしていない段階で期待されているという、この期待に応えていきたいと思っています。基本は粘り強く、地域で地道に広げていくしかありません。選挙が強い人は、党の名前とか風に関係なく、勝ち続けます。今回、仲間に加わって頂いた中村喜四郎先生は、ずっと無所属で勝ってきています。やはり地域の中で信頼される活動を地道にやっていくことが一つです。もう一つは私自身、できるだけ会話の中に漢字を少なくしようと。ひらがなでしゃべろうと。かなり意識しているつもりで、地元での集会とか地方の仲間のところの集会みたいなところでは、ひらがなで話しているつもりですが、どうしてもテレビや演説となると漢字が多く、なかなか伝わりにくいと仲間から指摘を受けました」

◇解散・総選挙
菅官房長官に近いとされている、河野防衛大臣から『総選挙は10月中だと予想している』との発言がありましたが、どう見ていますか?
 立憲民主党・枝野幸男新代表:「僕は7月くらいから、7月25日、一番早ければここだと、ピンポイントでずっと言い続けていますので、予想の範囲内です。十分に現時点でも10月25日投票もあり得ると思っています。しかし、新しい政権を発足させて、どういう政策をやるのか、どういう方針でやるのかそういう演説もなければ国会質疑もなしに、しかもこのコロナの状況のなかで、その対応策もそれから災害対策もなしに、解散をするなんていう無責任なことを本当にやるんですかと。しっかりと早い解散でないと我々も政権に近付けないので、それはいいですが、まずはちゃんとコロナ対策や災害対策、それから新しい政権としての方針を国会で議論しましょうと強く求めていきたいと思っています」

新しくなった立憲民主党に所属する衆議院議員は106人となりました。ただ、自民党は284人と単独過半数を超えていて、公明党と合わせると313人と過半数を大きく上回っています。今後、政権を取るために、野党共闘をどう進めていきますか?
 立憲民主党・枝野幸男新代表:「相手のあることですが、それぞれと共通する部分はあります。そして、野党の連携といっても100か0ではありません。重なりあってる部分の程度や、そのテーマが重点的なテーマなのかどうかなどで、100から0の間にいろんなやり方があります。新しい形に我々もなりましたので、他の政党、それから特に今回残念ながら新しい立憲民主党には加われないけど、これまで一緒の会派でやってこられた皆さんなどに、これから呼び掛けて、今のような基準で、最大限の連携をしていきたいと思っています」

もし今度政権を取り戻した時に、あの民主党政権の時から何を変えていこうと考えていますか?
 立憲民主党・枝野幸男新代表:「あの時、何が一番足りなかったかといえば、経験値でした。経験がなかったので、政権を取ったら、あれもできるこれもできる、あっちもできると、本当にやろうと思っていたし、できると思っていました。しかし、実は政権を運営すると国会対策で野党・自民党で戦わなきゃならないし、それから行政を動かすにも一定の時間がかかったりします。そういったことは政権を担当したので、私自身も様々なことを学びました。2回目だから、あの時の経験があるから、あの時の記憶が有権者にも残っているし、あの時の当事者が国会でやっているからこそ、あの時の同じ失敗はしません。安倍総理も、第一次政権の時は失敗しました。その経験を教訓にして第2次政権は、進んだ方向は間違いだと思いますが、政権運営という意味では大成功しました。やはり経験というのは力です。私はあの時、本当に官房長官など貴重な経験をさせて頂いた。だからこそ、私が先頭に立って、あの時経験したからこそ同じ失敗はしない。それを実践していかなければならないと思っています」

選挙があるとしたら何を掲げて戦っていこうと思っていますか?
 立憲民主党・枝野幸男新代表:「今何よりも必要なことは、国民のために国民と共に戦う、こういう姿勢をしっかりと伝えていくこと、これが求められていると思っています」

こんな記事も読まれています