“GoTo一時停止”伝わってこない「総理の思い」[2020/12/13 22:30]

政府が、東京と名古屋を目的地とする「GoToトラベル」の一時停止を調整していることがわかりました。週末に一転、状況が変わったのはなぜでしょうか。テレビ朝日経済部の藤川部長と、データサイエンスが専門の宮田教授(慶応大医学部)に聞きます。

▽藤川みな代(テレビ朝日経済部長)
Q:政府はGoToトラベルについて、感染者が拡大している名古屋市を目的地とする旅行を一時停止に追加する方向で調整に入り、東京を目的地とする旅行も一時停止が調整されています。急に決まった印象もありますが、どのような背景があるのでしょうか。
藤川:「金曜日の分科会で提言が出されました。その提言を受けて、西村大臣が金曜から感染拡大している地域の知事と電話などで協議を行った結果が、今出てきているということです。GoTo一時停止をどうするか、飲食店の時短要請をどうするか、知事の意見を聞きながら進めているところなのです」

Q:“全国一律の停止”ではなかったというのは、やはり菅総理のGoToに対する思いがあるためでしょうか。
藤川:「菅総理が(GoToを)全国一斉に止めることは考えていない、というのは変わっていません。年末年始は観光や飲食業界にとって『書き入れ時』であり、全国各地でキャンペーンに期待感を持っている人がいます。そんな思いを知事も共有している部分があり、『飲食の時短要請を“年明け”まで延長するかどうか』調整が難航しているわけです。『そんなに延ばしたら、地域の経済がもたない』という懸念が知事にはあります。『年内』と『年明け』でどれだけ違いがあるのか、と思う人もいるかもしれませんが、今年の場合飲食店は25日までは忘年会など宴会の利用、それ以降は家族単位の利用が中心になるのでは、と見られていて、『年末年始の家族単位の利用』をなんとか止めずに済ませられないか、という思いがあるわけです」


Q:分科会の尾身会長も、個人的見解として「感染を下火にしてから」GoToを再開しても目的に合致するのでは、と話していました。それでも総理の考えは変わらないのですか。
藤川:「総理周辺によると、『経済を止めることによって生活に行き詰まる人を出してはいけない』と。経済を止めてしまうと失業率が上がり命を守れなくなるという強い思いがあるとのことなのですが、今その総理の強いメッセージがあまり伝わってこない現状があると思います。「GoToを止めたら」どういうことが起きてしまうのか、飲食や観光業に直接給付を行うことがなぜダメなのか、我々が納得のいく“GoToでなくてはいけない理由”、データや予測値などの数字を出して、もう少し積極的に説明をして頂きたいですね」


▽宮田裕章教授(慶応大医学部)
宮田:「市場のバランスで調整できない時に政府がサポートするのは非常に重要な役割ですが、『GoToを続けるか否か』以外にも、例えばGoToの利用実績があったところに給付を行う、そこに勾配をつけていく。あるいは“未来のクーポン”を発行して一時的な補填を行うなど、様々なアプローチがあるという点も考えながら、経済を守る策を出していく必要があると思います」

Q:「第2波」の、GoToをやりながら爆発的な感染拡大にはつながらなかったことが“成功体験”にあるのでは、という話もあります。
宮田:「現在、フェーズが第2波とは異なってきています。気温が低下しているからか、リスク対策行動のガードが下がってきているのか、原因そのものは確定していませんが、全体の感染数が増えているときに動くと、感染を広げる可能性があるわけですね」
「GoToがいいのか悪いのか、その議論はどこかで行うとしても、それを待つのではなく今感染を抑えるために何をすべきなのか、というところから対策を考えていくべきではないでしょうか」

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