政治

2021年1月8日 16:30

“議員会食ルール棚上げ”国会には菅総理の姿なく…

“議員会食ルール棚上げ”国会には菅総理の姿なく…
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2度目の緊急事態宣言が出された1月7日。国会に報告された後、与野党が質疑に立った。

政府側の答弁を一手に担ったのは西村経済再生担当大臣。そこに菅総理の姿はなかった。

■なぜこのタイミング?自民党からも厳しい質問

午後3時。議長や副議長らも出席する、国会の中でもとりわけ権威ある「議院運営委員会」が始まった。

ほぼ同時刻に鳴った緊急速報は、東京都の感染者数が過去最大で2447人に上ったことを知らせていた。
収束の見通せない重苦しい空気の中、質疑のトップバッター自民党からは、厳しい問いが飛んだ。

自民党・松本洋平衆院議員「去年12月にはすでに新規陽性者数が過去最多の水準になっていたが、年明けのこのタイミングで発令した理由は何か。もっと早く出すべきだったとの批判にどう答えるのか」

これに対し西村大臣は「常に様々な最悪の事態も想定しながら対応してきた」としつつ、こう応じた。

西村大臣「医療がひっ迫し、極めて厳しい状況にあるという中で、多くの指標が緊急事態宣言が視野に入るステージ4の段階になった。何としてもこの感染拡大を抑え、国民の命を守らなければならない。このため緊急事態宣言を発出する」

緊急事態宣言を出すのが遅かったのではないかー。
この点は野党も厳しく追及した。

立憲民主党・枝野幸男代表
「GoToキャンペーンへのこだわりなど、感染拡大防止よりも経済を優先してきた姿勢が、後手後手の対応を招いたと言わざるをえません。」

共産党・塩川鉄也衆院議員
「GoToトラベルに固執し、大人数の会食を続けた菅政権・菅首相の対応が
感染拡大抑止に逆行するものとなった。そういう反省はありませんか。」

西村大臣は、これまで専門家と議論を重ねてきたこと、年末の12月23日の専門家の会議でも「緊急事態宣言を出すような状況ではない」とされたことを説明し、判断の妥当性を強調。医療のひっ迫度合いが増したことが緊急事態宣言を出す理由だ、と重ねて答えた。

「経済優先なのか、命優先なのか」参議院ではこんな質問もー。

■問われる菅総理の姿勢…“2回目”を理由に国会に出席せず

維新・石井章参院議員「菅総理のメッセージはどちらかといえば経済に舵を切っているように見受けられる。担当大臣として経済に舵を切る気持ちなのか、それとも命を最優先する気持ちなのか」

西村大臣は菅総理の思いを慮って、こう答えた。

「菅総理は、日々私や田村(厚労)大臣から感染状況や経済、医療ひっ迫状況の報告を受けている。今は非常に強い危機感を持っておられ、感染拡大を抑制する、命を守ることが最優先の局面だということを、強く認識をしておられると思います。」

コロナ対応を問われるのは、まさに菅総理の姿勢そのもの―。ただ、そこに真正面から応じる総理の姿はなかった。

野党側は国会への出席を求めたものの、自民党側は、緊急事態宣言が「2回目」であることを理由に拒否。これまで宣言延長の際などは西村大臣が対応したことから、今回もその例にならった、と説明した。

コロナ特措法の第32条には「政府対策本部長」つまり「総理」が、緊急事態宣言について国会に報告すると書かれているが、いつの間にか形骸化した格好だ。

■雇用はどうなる?給付金は? 宣言下の支援策も議論

衆議院、参議院で、それぞれ40分ほど質疑が行われた国会。
緊急事態宣言を強いるからには、生活支援も十分でなければならない。こうした指摘も多く出た。

公明党の高橋光男参院議員は、「雇用調整助成金の特例措置の延長」を要望した。
雇用調整助成金は、従業員の休業手当の一部を国が補助するもので、助成上限額を1日1人あたり1万5千円に引き上げる特例措置を設けているが、その特例が2月末で切れる。

西村大臣は「雇調金については、2.1兆円の追加財源を確保している。特例措置の時期が迫っているので、しかるべきタイミングで判断していかなくてはいけない」と応じた。

また、国民民主党・浅野哲衆院議員は「持続化給付金と家賃支援給付金の申請期限は1月15日まで。申請期間延長と複数回化を検討すべき」と指摘。

西村大臣は「特に中小企業・小規模事業者に対して、必要な支援策を機動的に講じていきたい。緊急小口資金を6か月まで延長する。あるいは住居確保給付金、これも9か月まで延長する。しっかりと支援をしてまいりたい」と応じるにとどめた。

■「自分の首を絞めることに」…“会食ルール”は決めず

国会では、この議院運営委員会に先立つ理事会で、国会議員の会食ルールについても話し合われていた。

「1都3県については、夜の会食は8時までとし、アルコールをいただく時間は7時まで。大勢で会食することはいろいろ問題もありますので、4人までとしよう」

前日の6日、緊急事態宣言が出されることを受け、自民党の森山国対委員長は、
国会議員の会食について、ガイドラインを作ることで野党と調整に入っていた。

「自主判断だとご批判も受けることがあるから、人数を決めたほうがわかりやすい」とも説明。8人で行ったステーキ会食で菅総理や二階幹事長が批判を浴びたことも念頭にあったようだ。

ところがそう話した矢先に、日本医師会の中川会長が「医療崩壊が始まっている」として、国会議員にこう求めたのだ。

「夜の会食を人数にかかわらず全面自粛したらいかがでしょうか。国会議員に範を示していただきたい」

これを受けて、7日の議院運営委員会の理事会。
野党側は「この際、基本的に自粛としたらどうか」と提案したものの、与党はそれを受け入れなかった。

“そもそもルール化しないと何もできないのか”という世論の批判も起きたことから、ルールを作ること自体を見送り、それぞれ良識のある行動をとるべきだ、ということになった。

「自分の首を絞めるルールをわざわざ決めるべきではない」自民党内からはそういう声も聴かれた。

この理事会の場では、通常国会を18日から開くことが正式に決まった。
緊急事態宣言下で始まるこの国会は、さまざまな課題にどうこたえていくのだろうか。

政治部 河田実央

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