「こども庁」自民緊急決議 幼保一元には踏み込まず[2021/05/22 01:31]

 菅総理肝いりの「こども庁」創設について自民党が今月末にまとめる緊急決議案が判明しました。幼保一元化には踏み込まず、虐待やいじめ、子どもの貧困などを解決するため担当大臣を置くことなどを求めています。

 たたき台とされる緊急決議案では、「こどもまんなか」をキーワードとしています。

 「こどもをまんなかにおき、こどもの命や安全を守る施策を強化する」として、「こどもの成育、成長過程の全体について、国としての責任の所在を明らかにし、予算や人材といった資源を思い切って投入する」としています。

 具体的には、「児童虐待やいじめをゼロにし、こどもの貧困や、そのほかこどもが直面するさまざまな課題も解決しなければならない」と指摘しています。

 そのために、「新たな行政組織の創設について検討するとともに、責任の所在を明確にするため担当大臣を置くことを前提として、政府に検討体制を早急につくり、検討を開始すべき」と提起しています。

 一方、こども庁の役割の一つとして議論されてきた、幼稚園、保育園、こども園の所管を一元化する「幼保一元化」については触れず、「施設類型にかかわらず就学時の学力格差を生じさせないこと」と盛り込むのにとどめました。

 背景には、菅総理が4月にこども庁創設の検討を指示して以降、各省庁が組織案を作成するなど、制度設計を巡り主導権争いが起きていたことがあります。

 党内には、新型コロナ対応で支持率が低迷するなかで、「大規模な省庁再編に臨める体力が今はない」と指摘する声がありました。

 また、幼稚園や保育園など、施設の特性に利用者のニーズがあるとして、拙速な一元化の議論をすべきではないと慎重な意見もあったといいます。

 自民党の決議を受けて政府は、官邸にこども庁創設に向けて議論する場を新たに設ける方針です。

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