「私が総理になったら…」候補4人が生討論(全文)[2021/09/17 23:30]

自民党総裁選が17日、告示されました。立候補した河野太郎行政改革担当大臣、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務大臣、野田聖子幹事長代行の4人がスタジオ生出演。喫緊の課題である新型コロナウイルスにどう対応していくのかを中心に聞きます。

秋から冬にかけて“第6波”が来るという指摘も出ているなか、候補者の4人が、この先のコロナ対策において最も力を入れる必要があると考える対策、これが一番重要だというものについて書いて頂きました。

河野氏:「短時間で分かる簡易検査キットの低コストでの大量供給。これは医薬品なので、一般の薬局で販売ができないという規制がありましたので、政府が、極端なことをいえば、製造工場まで支援をして、安いコストで大量に供給することができれば、どんどん検査をすることで、見える景色が大きく変わってくると思います」

岸田氏:「病床医療人材の確保。第6波に備える。そのタイミング次第では法改正も考えるべきではないか。第5波の間、医療難民というのが出てきてしまった。もし、第6波が来る前にしっかり準備をしておくことが大事だと思っています」

高市氏:「国産治療薬の普及。重症者と亡くなる方の人数を減らしたいと思っています。研究開発も進んでいますが、全国的に治療薬が手に入らない状況です。ワクチンを打ってもかかってしまう場合がありますので、できるだけ早く治す体制を整えることが大事だと思っています」

野田氏:「コロナ飲み薬。現状、PCR検査ができることになりました。従来型からデルタ株に代わって、早期・早期治療が極めて有効だということで、酸素ステーション、抗体カクテル、さらに、ステロイドの治療と、医療現場ではソリューションができている。年内に届けられるようにやってきたいです」


具体的にどのような対策を進めていくのでしょうか。5つの政策について聞きます。

野田氏は、ロックダウンはしないとしました。

野田氏:「ロックダウンの定義が分からないなか、法律改正もしていないのにロックダウンをするというのは、いかがなものかと思います。むしろ、ワクチン接種とか、軽症者や中等症の対象の病院・病床を確保するとか、危機の時は科学的にやるべきことがあると思います。(Q.第5波の中では、専門家や都道府県知事からロックダウンを求める声が相次ぎましたが、どう対応しますか?)それも一つの意見だと思います。人がウイルスを運んでいるようなものですが、人は生きていくために動かなければいけません。特に子どもは動き回らなければいけないので、そこは冷静に判断していかなければいけません」

高市氏、河野氏、岸田氏は、ロックダウンするとしました。

高市氏:「変異株が出てきて対応ができない状況、最悪の事態になってしまった場合や、死に至るまで時間が短いエボラ出血熱などに備えて準備をする。法整備の準備をしておかないと、もっとすごいのが入ってきたときに手を打ちようがありません。特に海外でやってるロックダウンは罰則・罰金付きの外出禁止。これは憲法の問題になります。まず22条の移転の自由があって、憲法31条はこれは罰則を伴うものにはちゃんと法律がないととけない。現在、法律がありませんので、現実的にはできません。だから、どうしてもやるとなるとも与野党で合同チームを作って、ある程度しっかり合意を作ってからしかできないと思っています」

河野氏:「しっかり説明をして協力をしてもらうというのが大前提です。高市さんが言ったように、将来どういう感染症が入ってくるか分からないなかで、ロックダウンができるという法整備は必要だと思います」

岸田氏:「ロックダウンの定義というのは、よく確認しなければいけない。欧米流の外出禁止を掲げて、そして、警官が取り締まって罰則・罰金もかけるといったロックダウンは日本にはふさわしくないと思います。日本式の人流抑制政策、ワクチン接種証明や陰性証明を組み合わせて、人流抑制をお願いする。そういった日本型のロックダウン政策、人流抑制政策、これはしっかり考えていかなければいけない。ロックダウンの定義、どこ行っても“ロックダウン”のひと言で片付けちゃうんけど、やっぱり丁寧に言わないと、誤解を招くことがあるのではないかと心配します」


(Q.一律給付金をすべての国民に速やかに給付しますか?)

河野氏:「同じ財源なら、一律にするよりも必要な方にしっかりと給付すべきだと思います。コロナ禍でも影響を受けていない方もいれば、コロナ禍で利益を伸ばしている企業があって、ボーナスが増えたという方もいます。同じ財源を使うならば、必要な所にきちんと手当をするべきで、もうデジタル庁が立ち上がってきていますから、一律でない、必要に応じた支給のやり方をデジタルの力でやるということを、日本もやっていかなければいけないと思います。(安倍政権の時には)デジタル庁の話もなく、紙の申請書を送って、送り返してもらってということをやりました。きちんとデジタルの力を使えば、収入減に応じて給付することもできるようになってきます。そういうことを考えていく時代だと思います」

野田氏:「女性や一人親が相当厳しくなっています。しかしながら、そこだけを言うと、また大きな反発があって時間がかかるとするならば、前回の10万円は高齢者層を中心に預貯金に回ったことがあるので、できれば生きたお金にするため、クーポンのような形で、国民全体で経済を動かすWin-Winの形を作れれば良いと思っています。これまでに協力してくれたことに対する感謝の気持ちも必要だと思います」

(Q.9月に発足したばかりのデジタル庁で、迅速な給付ができますか?)

河野氏:「今すぐという訳にはいきませんが、今年、所得の少ない世帯に、子ども1人あたり5万円という給付を申請なしに、政府が口座に振り込むというプッシュ型の給付を初めてやりました。デジタルのデータを使って、そういうことが可能になってきていますから、今さら元へ戻るのではなく、前へ進むことを考えていかなければいけないと思います。前回やりましたが、あれを使ってまた同じようにスピーディーにできるかというと、なかなかそうでもありませんし、必要な方のところにきちんと手当てをすることが大事だと思います」

高市氏:「去年、定額給付金のチームを担当しました。あの頃は、マイナンバーが災害や社会保障税には使えましたが、給付には使えませんでした。今年からは給付に使えるようになりましたので、そこは大きな転換点だと思います。私の場合は、本当にお困りの低所得の方に手厚くと考えています」

岸田氏:「現金を給付するということは、私も大事だと思います。しかし、非正規や女性、一人親、やはり困っている方から支給を始めていくというのが順番だと思います。一律給付を決して否定しませんが、まずは支給すべき対象はしっかり絞って、説明をしっかりできる形で支給していくことが大事だと思います」


(Q.この秋に行動制限の緩和を進めていきますか?)

高市氏:「やはり医学的なエビデンスをもってしっかり説明して頂かなければ、この10月11月とかいう時期に、本当に行動制限を緩和できるのかどうかに不安が残ります。そこがはっきりしない限りは賛成とは言えません」

岸田氏:「ワクチン接種が拡大していくことは大変重要だと思いますが、合わせて治療薬、経口治療薬の開発・普及がそろってこそ、行動規制の緩和ができると思っています。11月の段階ではどうかなと思います。もう少し慎重でなければならないかもしれないと思っています」

野田氏:「緩和というか、通常に戻るような目標を立てるべきだと思います。ワクチンの接種が恐らく今月末ぐらいで70%を超えます。これまでの世界の様子を見ると、そのくらいまで行くと、大概は収束していくという目安になっています。そういう科学の証拠を重ねながら、岸田さんの話にもありましたように、飲み薬、経口治療薬をしっかりと手元に置くことで、インフルエンザ並みの医療に近付けるような努力をすること。なおかつ、行動制限の緩和は、何度も申し上げますけど、人間がとどまっていると精神的なひずみの方が、むしろコロナにかかっているよりも大変なことになるかもしれない。そういうことも俯瞰的に見なきゃいけない。今そういう時期が来ていると思います」

河野氏:「どういう状況になっているか、きちんとデータを取って、そのデータに基づいて政府が説明をして、こういうことをやりますということができないといけないんだと思います。まずきちんと検査ができるようになれば、陽性の方は申し訳ないけど、自宅で待機をする、症状が出るならば療養をしてくださいということになります。大勢の人が集まるようなイベントであったり、飲食店でも簡易検査で受け入れるよというところがあれば、安心して行くことができる。ワクチンを接種してもブレークスルー感染がありますから、自分は重症化しないかもしれませんが、まだワクチンを打ってない方が感染してしまう可能性があるわけです。ですから、やっぱり検査がどこまできちんとできるかというのは、非常に重要な要素の1つになってくると思います」


(Q.GOTOトラベルは再開しますか?)

高市氏:「ものすごく感染者が少ない、医療提供体制も充実している、ワクチンの接種率も高い、そしてまた治療薬も普及し始めている、こういう状況になれば、十分な感染防止対策をして頂いたうえで、まず地域内、近場の旅行といったことを始めていても良いのではないか思っています」

岸田氏:「感染が収まり、Withコロナで、できるだけ平時の社会経済活動を取り戻した先ということだと思いますが、コロナは変異を繰り返しますので、いったんこの収まったとしても油断するわけにいきません。前にやったGOTOトラベルを、そのまま再開するのは現実ではないのではないか。ワクチン接種証明や陰性証明を組み合わせて、GOTOと同じ効果を出す、こういった工夫をしないと、単純に再開するというのは現実に合わないのではないかと思っています」


他の候補者を1人指名して、質問をして頂きます。

(Q.岸田氏から野田氏に聞きたいことはなんですか?)

岸田氏:「外交安全保障政策。中国に対してどういうスタンスで対応されますか?」

野田氏:「外交は、最も有効的な国防だと思っています。日本は地政学的にはアジアですから、近隣諸国の衝突を避ける努力をしなければいけません。太平洋戦争で大変多くの犠牲を出してしまった日本で、不戦の誓い、平和主義というのは、私たちが絶対に守り抜かなければならない国の在り方だと思います。専守防衛のもと、抑止力まで認めつつ、大切なことは触発しない、相手に言い訳を作らないような距離感が外交であると思っています。中国とは経済的に深く関わりがありますが、現在は米中の問題があります。中国はすでにミサイル等の軍事使用を重ねるなかで、日本を飛び越えてアメリカ・グアムまで射程ができています。こうしたなかで、私たちがやるべきは米中を対立させるのではなく、相互に足がかりがある国として、賢い交渉役として、世界中が注視している米中の対決を収めていく行司役をかってでるべきだと思っています」


(Q.高市氏から河野氏に聞きたいことはなんですか?)

高市氏:「次回のワクチン接種の優先順位についてです。今回、自衛官がなかなか接種できない問題があったり、人の体に触れるマッサージ師や美容師が接種できないという声を聞きました。こういったことは改善の余地がありますか?」

河野氏:「私がワクチン接種担当大臣を拝命する前に、厚労省のなかで、今回の優先順位は、まず高齢者、その次が基礎疾患のある方、60〜64歳の方、そしてその以下の年齢と決められていましたので、それを着実にやりました。自治体によっては、高齢者を7月末までに確実に打ち終わるから、学校の先生・保育士を打ちますという独自ルールを決めて頂いたことがあります。3回目の接種は、2回目が終わってから何カ月後というふうに、接種の日付がほぼ決まるので、その順番にいくということになるだろうと思います」

(Q.野田氏から河野氏に聞きたいことはなんですか?)

野田氏:「菅総理が河野氏の支持を表明されたと知りました。菅総理肝いりの政策に、こども庁の創設について、河野氏から話が出てきていません。聞くところによると『庁を作る必要はない、予算の手当だけで良いのではないか』という話も聞きました。新しい自民党は顔を代えるのではなく、政策を変えていく。大人中心の政策を“チルドレンセンター”に変えていく、それが新しい自民党の在り方ですが、これについての考えを教えてください」

河野氏:「私がワクチン接種担当大臣をやったのは、田村厚労大臣が国会対応とコロナ対応で回らなくなってきたため、ワクチン接種の路地は私がやりましょうということで、お引き受けをすることになりました。社会保障や子育て支援の議論をする時に、今の厚労省はもう無理だと思います。ですから、厚労省を分割する。あるいは、厚労省に法律を変えて特命担当大臣を置く。厚労省を分割していくことをやらなければ、とても社会保障の議論はできないと思います。医療介護の議論をするところ、労働と年金の議論をするところ、子ども・子育ての議論をするところ。この子ども・子育ては省である必要はないかもしれませんが、少なくとも、そこを積極的に見るこども庁のような役所があれば、そこにリソースをつけるんですという意思表示にもなると思います。厚労省を分ける時に子ども・子育て庁というようなものを作りたい、意思表示をしっかり出していきたいと思っています」

(Q.河野氏から岸田氏に聞きたいことはなんですか?)

河野氏:「大きな社会問題・テーマの一つに同性婚の問題があります。憲法上、両性の合意となっていますので、憲法を変えなければできませんが、同性婚を認めることについて、賛成か反対かお伺いしたいと思います?」

岸田氏:「憲法の話もありましたが、現状において、私は同性婚を認めるということまでは申し上げておりません。ただ、多様性を認めるということで、そういった議論があることはあっても良いと思います。現状においては、まだ認めるというところまでは、私は至っていません」


自民党総裁選の投開票は今月29日となります。

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