岸田総理「分配なくして次の成長なし」所信表明演説[2021/10/08 23:30]

岸田総理は8日、初めての所信表明演説を行いました。

岸田総理:「今こそ我が国も、新しい資本主義を起動し、実現していこうではありませんか。『成長と分配の好循環』と『コロナ後の新しい社会の開拓』これがコンセプトです」

岸田総理は「分配」という言葉を12回繰り返しました。
岸田総理:「『分配なくして次の成長なし』成長の果実をしっかり分配することで、初めて次の成長が実現します。大切なのは『成長と分配の好循環』です。『成長か分配か』という不毛な議論から脱却し『成長も分配も』実現するために、あらゆる政策を総動員します」

岸田総理は、成長戦略としてデジタルやグリーン分野の研究開発に大胆な投資を行うと表明した一方、“分配戦略”を掲げました。新型コロナで大きな影響を受けた事業者や、非正規・子育て世帯などに給付金を支給するとしたほか、看護・介護・保育などの現場で働いている人の収入を増やしていくとしました。

保育士からは歓迎の声が上がりました。
保育士・須田仁美さん:「賃金が上がることで職員が増える、保育士が増えることは、すごく期待につながるので、それを実現できるといいのかなと」

ただ、保育園の理事長は、現場の声をしっかり聴いてほしいと指摘します。
みつまた保育園・村山祐一理事長:「保育士の配置が、国の基準では少ない。1.6倍〜2倍ぐらいの職員が必要になる。(人件費が)10人分ほどしか来ないのを20人で分けるから、おのずと所得が少なくなる。国の基準と実態とのかい離がすごいから、そこは深く現場から聞いて、ちゃんと論議して頂きたい」

コロナ禍で困窮するシングルマザーを支援する団体は、こう話します。
NPО法人キッズドア・渡辺由美子理事長:「給付金はぜひやってほしいんですが、これだけ傷んだ方々にワンショット10万円出せば、そこからバラ色になるのかというと、ならないですよね。本当に溺れそうになっている人が一息ついた後で、どう救っていくのか。どう泳げるようにしていくのか、道筋がちょっと見えない」


演説終了後、公明党の山口代表は、こう話しました。
公明党・山口代表:「『分配戦略』というところに重きを置いているように受け止めました。現金給付という言葉も出てまいりましたので、そこは我が党の訴えてきたこととも重なる部分があるのではないか」

立憲民主党の枝野代表は、検討がこれから始まるのでは遅いと批判しました。
立憲民主党・枝野代表:「具体的にどうするか、中身がありませんでした。基本になるべきところすら、これから会議体を作って検討するということが繰り返されていた。圧倒的に、私どもの方が具体策を持っている。当面の目標も含めて、数字も含めて、我々は具体的に示している」

共産党の志位委員長が指摘したのは、岸田総理の「大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の推進に努めます」というフレーズでした。
共産党・志位委員長:「これ三本の矢です。アベノミクスの三本の矢。ご丁寧に繰り返して、中身は成長と分配の好循環。2016年1月22日に安倍首相が施政方針演説で『成長と分配の好循環を作り上げてまいります』5年前に言っている同じセリフを繰り返しただけ。成長と分配に失敗したわけです。にもかかわらず、同じことを繰り返している」

日本維新の会の馬場幹事長は「身を切る改革」が必要だと訴えました。
日本維新の会・馬場幹事長:「『分配無くして次の成長なし」と仰っておられることは、ごもっともだと思いますが、『改革」という言葉が全く出てこない状況です。スクラップ・アンド・ビルドで言えば『ビルド」のことばかり。全く『スクラップ」がないと。どんどん行政経費がかさんでいくんじゃないかと」

国民民主党の玉木代表はこう指摘しました。
国民民主党・玉木代表:「総裁選挙のなかでも一番メインの政策として『令和の所得倍増計画」というのが大きな柱だったと思うが『所得の倍増」という言葉がどこにも出てきませんでした。給付金についても、具体的な給付対象だとか金額、こういったものが一切出てきていませんので、一体誰をいつまで助けるのかということが全く不明」

社民党の福島党首はこう述べました。
社民党・福島党首:「新自由主義の『弊害』とは言うが、それの『転換』とは言わない。じゃあ岸田総理は、法人税少し上げるんですか、富裕層への増税やるんですか、金融資産への増税やるんですか。具体的なことは一切言っていません」

れいわ新選組の山本代表はこう訴えました。
れいわ新選組・山本代表:「25年におよぶ不景気、デフレから脱却できない状況の主犯格は、自民党以外ないじゃないですか」

NHKと裁判してる党の立花党首は8日に公約を発表しました。
NHKと裁判してる党・立花党首:「公約はただ1つです。NHKが委託法人に行わせている弁護士法72条違反となる訪問行為について徹底的に追及する。これだけです」

こうしたなか、8日発売された月刊誌『文藝春秋』に寄稿された、財務省の矢野康治事務次官による訴えが波紋を広げています。岸田総理の所信表明の日に、しかも現職の事務次官による異例の意見表明です。

矢野康治財務次官の寄稿:「最近のバラマキ合戦のような政策論を聞いていて、やむにやまれぬ大和魂か、もうじっと黙っているわけにはいかない。『心あるモノ言う犬』としてお話したい。このままでは日本は沈没してしまいます」

矢野次官は、経済対策をめぐる政策論争を「バラマキ合戦」と指摘。そして、10万円の定額給付金のような形でお金をばらまいても、意味のある経済対策にはほとんどならないと批判しました。

この寄稿について、鈴木財務大臣は、麻生前財務大臣の了解を得ていることを明らかにし、こう述べました。

鈴木財務大臣:「『私の個人的な想いをつづったものであります』と書いてある。その中身についても、問題だという思いは持っていない」

こうしたなか、岸田総理大臣は8日、新たな経済対策の策定と今年度の補正予算案の編成を指示しました。新型コロナで打撃を受けた事業者への支援や、子育て世帯への給付金などが柱となります。

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