消費マインド回復のカギは…分科会メンバーに聞く[2021/10/18 23:30]

東京都が18日に確認した新型コロナウイルスの新たな感染者は29人と、今年最少でした。今後、経済をどう回復させていくのか。政府分科会メンバーで経済の専門家である小林慶一郎さんに聞きます。

政府は、3道府県の飲食店での実証実験を発表しました。
(Q.この実証実験で何が得られるのでしょうか )
感染拡大のときでないとワクチン検査パッケージで感染が抑えられるかどうか、判明しないと思います。今回、やっているのはワクチン検査パッケージで、うまくオペレーションが回っていくかどうかということを確認するためにやっていると思います。ワクチン検査パッケージというのは、接種証明を持っている人、または、検査の陰性証明を持っている人の行動を緩和していこうと提案されているシステムです。今回の実験は、お店が感染防止策を取れるのか。例えば、ワクチンを接種している人と、していない人を分けられるのかなど、お店側のオペレーション、また、客の行動が順調にいくのかどうか、シミュレーションをやっていると思います。本来、お店それぞれの事情があり、事業者の創意工夫で、それぞれやるべきです。そのための後押しをするというのが実験の意味合いだと思います。

(Q.宣言解除後の飲食店の来店者数を見てみると、コロナ前の2019年と比べると、まだまだ少ないですが、どう評価しますか)
約1年の間、何回も感染爆発を繰り返しているので、消費者側に警戒感があるということと、お店側の制限もある。ただ、潜在的には外食したいという需要はあると思いますが、警戒感によって抑えられていると思います。ワクチン検査パッケージのようなものを、お店がうまく使うようになって、ワクチンを接種した人しかいない店があるということであれば、接種した人は安心して、その店に行ける。そういう前向きな気持ちになれる。そうやって、一歩、一歩、社会の雰囲気を変えていくしかないと思います。

(Q.政府は11月に行動緩和を本格化する方針です。そうしたマインドに火がつくと思いますか)
感染状況次第だと思います。現在のように、感染が収まっている状況であれば、消費はかなり盛り上がるとは思いますが、第6波が来たり、別の変異ウイルスがまん延したりすると、どうかなと思う。また、ワクチンも時間が経って効果が薄れていくという新しいデータも出てきているので、ブースター接種をやらないまま、ワクチンパッケージを進めていいのかという議論もあります。

(Q.GoToキャンペーンは視野に入りますか)
政治家の方々も、やるのであれば、ワクチン接種を条件にすると言っています。ワクチン接種率を高めるというのが社会全体の大きな目標なので、できれば8割、9割に持っていく。そのため、GoTo参加の条件として、ワクチン接種を条件にするとか、少しでも接種したいという気持ちになってもらうようにした方がいいと思います。

(Q.以前の状態になるのは、いつぐらいでしょうか)
中長期的には、ワクチンの接種率が高まって、かつ経口薬が開発されて安い値段で普及するようになれば、ある程度、季節性のインフルエンザと同じような扱いにできるようになると思います。そうなるのが、1、2年後ぐらい。これから数年以内に正常化すると思いますが、正常化といっても、いま、リモートワークやオンライン会議などの生活に慣れてしまっています。だから、コロナ前の1割か2割、落ちた水準で戻ると思います。それは、早くて1、2年先だと思います。

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