衆院選挙の夜に考える1“若者の投票率上げる方法”[2021/11/01 01:00]

選挙ステーション第2部では、『日本の未来』について、さまざまなテーマを設け、番組が厳選した4人の若き“thinker”(シンカー)たちに大胆な発想で、日本の未来を大丈夫にする“解決策”を提案してもらいました。

thinkerという呼び方は、「Thinkする人」、つまり「考える人」という意味だそうです。

thinkerの4人です。『World Road株式会社』共同代表の平原依文さん、エール大学助教授の成田悠輔さん、時事YouTuberのたかまつななさん、プロデューサーで研究者の若新雄純さんです。さらに、35歳以下の学生、社会人、主婦など、100人の“若者オーディエンス”にも参戦してもらいます。thinker4人の“解決策”に対して、共感できるかどうか答えていただき、そのバロメーターを表示。さらに、最終的には、どのthinkerの意見が一番良かったか投票してもらいます。

若者の選挙離れが叫ばれて久しい日本。過去の総選挙、20代の投票率を見てみると、2005年、2009年は約半数が投票していましたが、それ以降は低迷。前回の投票率は33%余りにとどまっています。

100人のオーディエンスの皆さんに聞きました。『今回の選挙、行きましたか』。6割の人が『投票した』と答えました。

【若者たちはどうすれば選挙に行きたくなるのか】

4人のthinkerに解決策を考えていただきました。

◆たかまつさんの案です。『学校の最高権威を生徒会に』

私は、全国の学校で笑える政治教育省という出張授業をしています。子どもたちに選挙に行く大切さを伝えるなかで気付いたことがあります。若者が政治参加するためには、自分が社会を動かせるんだ。そういった実感、成功体験を持つことが大事だと考えています。

フランスでは、学校の運営方針、予算の使い方、校則まで決めています。そのメンバーは、校長、自治体の代表者、保護者代表者などに加え、生徒代表も入っています。つまり生徒たちが学校を変える。そのような実感を持てる場所となっています。

一方、日本では、学校の主だった方針を決めることに生徒が関わることはほとんどありません。実際に私が子どもたちと話すと「生徒会が決定権を一番、持っていない」と答える生徒が多かったです。驚いたのは「校則を変える規定がなく、校長が勝手に決める。それは独裁ですよね」「生徒会長は先生の意向を汲み取る子がなる。それは忖度ですよね」こんな社会で育ったら、絶対に自分たちの手で学校のこととか、社会のこととか、政治を動かせる、そういう実感が湧かないと思います。だから、それをひっくり返して、生徒会を学校の最高権威にしたいと考えています。最終的な意思決定を生徒会の場で行うことを考えています。そうすると、自分の力で変えた、学校のことを決められるな、校則を変えられるんだ、予算を決められるんだ。そういう成功体験が得られると思います。子どもたちは未熟です。私は違うと思います。自分たちの未来を自分たちでつくれる。自分たちの将来を変えられるんだ。そういう子どもたちになってほしいと。そういう社会を私は作りたいと考えています。

◆成田さんの案です。『若者は選挙に行くより、独立国をつくるべし』

僕は、そもそも若者が政治に参加したり、選挙に行ったりして、何も変わらないのではないかと思っています。何で、そう思ってるかというと、そもそも日本では、若者はマイノリティ。日本人の平均年齢が48歳ぐらいです。そうすると、若者の投票率が上がって、60代・70代の人と同じぐらい選挙に行くようになっても、今は超超マイノリティの若者が、超マイノリティになるぐらいで、何も変わらないのではないか。さらに、若者の投票行動と高齢者の投票行動はそんなに変わらない。実際、自民党支持率を見てみると、20代・30代の人の支持率と60代70代の人の自民党支持率と大して変わらないか、むしろ高かったりするぐらい。そうすると、選挙に若者たちが行ったところで、何も変わらないだろうし、その結果として、政治にプレッシャーを与えることもできないと思っています。

もっと言うと、今の日本の政治とか、日本の社会の停滞は、若者の政治参加とか、選挙に行くとか、そんな程度の生ぬるいことで変わるような、そんな状況にないと思う。もっと何かとてつもない危機の状態に陥っていて、革命みたいなことが起きないと何も変化は起きない。例えば、若者しか投票できないような世代別の投票をつくり出すとか。もっと過激に言えば、若者が反乱を起こして、一定以上の年齢の人から投票権を奪い取るとか。あるいは、この国に絶望した若者が新しい独立国をつくり出して、自分たち自身で新しい政治制度を実現していくとか。革命レベルのことが起きないと、日本が本当に変わるってことはない。その革命“100”だとすると、政治に参加するとか、選挙に行くとかというのは、“3”とか“5”の焼け石に水程度の話だと思います。そういう何も変わらないことが約束されている中途半端な行動を頑張るぐらいだったら、部屋にいてカフェラテでも飲みながら、ゲームをやってる方が楽しいし、コスパもいいのではないかと思います。

◆平原さんの案です。『政治教育の義務化』

私は、教育の力で、政治参加の習慣を作る必要があると思います。そのためには、まずは、教育の土台作り。これが必要だと思います。小さいときを振り返ってみると、政治はいつも大人たちの中だけでバズっている遠い存在でした。そんな政治に無関心だった私に、大きな転機が訪れたのは、中学2年生のときに留学先のカナダで出会ったホストファミリーの存在です。ホストファミリーのお父さんが国会議員で、夕食のとき、いつも「日本ってどんな国か。人口は。選挙システムの仕組みは」など質問をしてくれました。あと、よく聞いてくれたのが「どんな国であったらカナダは住みやすいと思う」と選挙権のない留学生の私にも聞いてくれました。「こんな近いところに選挙があったんだ。私もこの国の大黒柱の一人なんだ」というふうに感じることができました。それは、家の外でも同じでした。移民が多いカナダなので、色んな国の人たちと一緒に、「カナダってどういう国になれば、住みやすいかな」とか、フラットに政治について話す機会が、カナダにはありました。

カナダの選挙の投票率は、日本の投票率より10%も高くなっています。カナダのように、自由に政治について話せる環境を作りだせれば、日本の投票率も大きく上がるかなと思います。その一歩が必要なのかなと思います。でも、すぐに政治教育の義務化は難しいので、まずは「総合的な学習」の中で「みんなで勝手に投票会」とか「模擬国会」など、自分たちの意思決定が、何かの変化につながるんだよという習慣から作れば、必ず、これに慣れていって、“次の一歩”に繋がると思います。

◆若新さんの案です。『推しの政治家をつくる』

僕は、中学ぐらいからバンドマンで、音楽が大好きで、比較的、音楽業界には詳しいのですが、最初から音楽に興味を持ったわけではありません。自分の好きなアーティストができて、CDを買ったり、バンドでコピーしたり、ライブに行ったりするなかで、音楽全体に興味を持って、政治も同じなのではないかと思っています。“政治”という分野とか、業態そのものの大切などを語っても、具体的な政治家の顔、「この政治家が好き」「この人応援したいな」というものがないと、入りづらいのかなと思っています。学校では、政治の仕組みを教えている。つまり、自分の好きなアーティストがいないのに、「レコードショップ行きましょう」「音楽は素晴らしい」と語っているような感じに近いと思っています。だから、政治家、一人一人に注目していく必要があると思います。ただ、そうなると「個人の政治家の話になると偏るのではないか。中立に若者に意見を考えてもらわないといけない」という意見がありました。僕は“中立”という使い方を間違っていると思っていて、メディアとか、大勢の人に情報発信する場合には、中立な情報発信を心掛ける必要があると思います。ただ、一人一人が、“この人を選ぶ”というのは、選挙に行く以上、仕方のないこと。白票を入れない限り、誰かを選ぶ必要があり、誰かを推す。価値観がぶつかることもあると教えたうえで、それぞれ、「この人を応援したい」など、地元の議員を見ていったり、大人が個別の政治家を出合わせる。推しの政治家ができたら、その人を応援したい、興味を持てるのではないかなと思います。

◆4人の意見をさらに深く掘り下げていきます。

たかまつななさん:「学校で政治教育を義務化するという意見に対して、学校のなかでは、すでに、18歳選挙権が導入されたとき文部科学省から通知が行って、そういうことはやっています。模擬投票もやっているけど、効果が出ていないというのが私の実感です」

平原依文さん:「政治を押しつけるための教育ではなく、もっと子どもたちが身近に感じるような。こんな国であったらいいよね。そのためには妄想が必要。ポジティブなことが未来にあるんだよということを伝える必要があるかなと。もちろん今も教育の中ではあると思うけど、もっと簡略化して子どもたちのペースに合わせてする必要がある」

成田悠輔さん:「僕も妄想がすごい重要だなと思います。もっと巨大な妄想が必要なのではないか。それがさっきの独立国みたいな話です」

若新雄純さん:「これは、結構、重要な話で、投票するという行動ではなく、投票で何かを勝ち取るとか、変えたという経験がないとだめだと思う。成田さんの言った話というのは、ここ10年、20年で、大学生が大企業に入るのではなくて、自分でベンチャー企業を立ち上げるという話に似ていると思う。大企業に入ると、若者は、そこで実績を出してもなかなか評価してもらえない。大企業ルールのなかで、長年、かけて変えていかないといけない。だったら、自分たちで始めてみたらいいのではないか。そうすると意外とできて、年配の人たちが作ったルールだけでやるというのが、社会ではないのだと気づく。だから、若者が全員で本気出すと、大人側にいくこともできるし、自分たちで権力を握って、運営できるという経験をして、初めて選挙というのは面白いとなる。成田さんの話は、無茶苦茶ではないが、国家でやろうとすると大変だと思います」

たかまつななさん:「若者に権限移譲をしていくという流れを作っていくために必要だと考えていて、まずは学校の生徒会、そのあと、会社や実際の政治の場、若手議員の人がもっと権限を持てるようになればいいなと思います」

成田悠輔さん:「投票率が例え上がったとしても、若者の絶対数が少ないので、選挙に影響を及ぼせるかというとよく分からないと思う。最初は、国政みたいに大きすぎる問題から取り組むのではなくて、学校レベルや会社、地方自治体から始めていくのが重要なのかなと思う。乗っ取るという意味でいうと、国全体で見ると若者はすごいマイノリティだけど、その若者たちが、例えば特定の自治体とかに一気に移住したりしたら、その自治体の中では、若者がマジョリティーになります。そういう良い味での乗っ取りとか、スタートアップ精神みたいなものを政治に持ち込むことが重要かなと思う」

平原依文さん:「やってみるということを習慣化することが必要なのかなと思います。政治においても、企業においても、教育業界においてもです。成功体験が一つでもあると、『これやってみてもいいんだ』と、妄想が行動につながったと広がるので、そんな機会を、どんどん作っていけたらいいのかなと思います」

(Q.成田さんの話にあったように、もし、若者が固まっていくとなると、高齢者、もしくは大人たちとの分断につながっていく懸念はありませんか)

若新雄純さん:「日本の社会は、若者っていうものを一括りにしてきた。若者というのは、基本的には弟子入りして、黙って言うことを聞いて、しばらく修行して、決定権は持たないものだという括り方があったと思う。今、女性を一括りにしてはいけないなど、若者の中にも変えようとする人がいる。若者の見方を変えていくべきで、その中で、本当に若者を一括りにしないとなったら、その若者によって何かを動かそうとするとの戦いが始まるということ。その戦いはさせないようにして、黙って勉強するようにさせておきながら、変えれるっていう実感がない。それは、当然だと思っている。若者に戦う剣を持たせることは大事で、それは分断ではなくて、必要なバトルなのではないかと思います」

20代・会社員:「生徒といえでも、まだ子ども。校長も保護者もまともに意見を聞かないと思う」

たかまつななさん:「そうやって若い人は未熟だっていう議論をする。だったら『何歳だったら未熟じゃないのか』。『今回の選挙見てくださいよ。幹部はみんな、おじいちゃん、おばあちゃんじゃないですか』と私は言いたい。学校の中では失敗は許されると思う。例えば、遊具を買う。どれを買うか投票する。そこに失敗はあるのか。私は、子どもたちに任せていいと思います」

(Q.みんな参加しますか)

成田悠輔さん:「参加したい人だけ参加すればいいのではないか。無理に興味のない人を動員するのは反対で、仮に若者が、政治に参加する選挙に行くようになったとしても、それが単純に、例えば芸能人が『選挙に行こう』と言ったから何も考えずに行くというのだったら、参加しないより、むしろ民主主義の精神に反してるのではないか。行きたい人が行けばいいし、無関心であるということを表明できるような社会が重要なのではないかと思います」


100人のオーディエンスが選ぶ解決策。53人が平原さんの『政治教育の義務化』に共感できるとしました。

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