「旗色が悪い印象?」COP26総理演説を記者解説[2021/11/02 23:30]

『COP26』に出席している岸田総理が演説を行いました。

岸田総理:「日本は、アジアを中心に再エネを最大限導入しながら、クリーンエネルギーへの移行を推進し、脱炭素社会を作り上げる。アジアにおける再エネ導入は、太陽光が主体となることが多く、周波数の安定管理のため、既存の火力発電をゼロエミッション化し、活用することも必要。『アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ』を通じ、化石火力をアンモニア、水素などの ゼロエミ火力に転換するため、1億ドル規模の先導的な事業を展開する。革新的な資金協力の枠組みの立ち上げなどに貢献し、新たに5年間で最大100億ドルの追加支援を行う用意があることを表明する。これらの支援により、日本の経済成長のエンジンであるアジア全体のゼロエミッション化を力強く推進していく。我々が気候変動に向き合うとき、誰一人取り残されることがあってはならない。日本は対策に全力で取り組み、人類の未来に貢献していく」

また、岸田総理は総理就任後、初めて、アメリカのバイデン大統領と対面で懇談しました。日米同盟の更なる強化を確認したほか、中国や北朝鮮を念頭に置いた地域情勢、気候変動問題への対処について意見を交わしたということです。

◆『火力発電のゼロエミッション化』とは、なんなのでしょうか。
ゼロエミッションは“CO2の排出を実質ゼロ”にすることです。
石炭・石油などを使って、火力発電した時に発生したCO2を回収して地中に埋めたり、燃やしてもCO2を排出しないアンモニアを石炭に混ぜて燃やすことで、発電所が排出するCO2を削減する取り組みなどです。地中に埋めることは、すでに取り組みを始めていますが、アンモニアについては、実証実験の段階だということです。

◆岸田総理に同行取材しているテレビ朝日政治部・官邸キャップ 山本志門記者に聞きます。

(Q.イギリスが『石炭火力の段階的廃止』を求めているなか、日本は今すぐ減らすというわけではないと旗色が悪い印象ですが、どうでしょうか)
確かに旗色が悪いです。日本の政府関係者に取材をしますと、日本は温暖化対策に後ろ向きに見られかねないと、頭を悩ましていました。ただ、今後、地理的な制約を考えますと、一気に、再生可能エネルギーに舵を切るわけにはいかないと。また、原発の再稼働についても、現時点では見通せません。岸田総理は原発政策について、はっきりしていない部分もあります。こうしたなかで、エネルギーの安定的な供給の確保をするためには、石炭火力を確保しないといけないというのが、今の政府の立場です。

(Q.キーワードは“技術革新”ということですか )
石炭火力を減らせないなかで、技術革新で何とか環境負荷をかけないように持っていく。それで欧米の理解を得るというのが、今回の戦略です。アジアは石炭火力の依存度が高く、そのアジアに対して、日本は、資金面、技術面でサポートしていくと。その先には、アジア地域でリーダシップを取っていく。そして、欧米各国に理解を得たいという狙いがあると思います。

(Q.0泊2日の“弾丸外交”の理由は何でしょうか)
当初はオンラインで参加できれば、参加しようとしていましたが、それが叶わなかった。出席しないなかで、欧米主導で全部決まってしまう。まさに欠席裁判になるということを恐れたと思います。

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