「絶対数が増えているから重症化する人も増加」都は“宣言”要請の新基準発表[2022/02/03 23:30]

東京都が3日に確認した新型コロナウイルスの新たな感染者は2万679人で、2日連続で2万人を超えました。3日から都は、重症者として発表する患者の対象を広げ、新たな指標では113人となりました。

医療体制も深刻です。人工呼吸器による治療が、間もなく必要となりそうな患者も先週の60人から105人に増えています。東京都は、医療提供体制の警戒レベルを最も深刻なレベルに引き上げました。
小池知事:「感染状況と医療提供体制の両面で最高レベルの赤色となった。この状況は4カ月ぶり。何としても、感染拡大を食い止める」

どのような状況になったら、緊急事態宣言を国に要請するのでしょうか。東京都は、新たな基準を発表しました。大枠として、重症病床の使用率、もしくは入院患者で酸素投与が必要な人の割合、いずれかが30%〜40%となること。かつ、新規感染者数の7日間平均が2万4000人に達した場合に緊急事態宣言の要請を検討します。

訪問診療専門の『ひなた在宅クリニック山王』では、先月下旬までは、ほとんどの患者が軽症でオンライン診療が中心でしたが、この1週間ほどで状況は一変。自宅療養中に症状が悪化した高齢者からの“往診依頼”が増えてきたといいます。
ひなた在宅クリニック山王・田代和馬院長:「オミクロン株といえど、重症化しないわけではない。感染者の絶対数が増えているから、重症化する人の数も増えてしまう」

病床のひっ迫も実感しています。
ひなた在宅クリニック山王・田代和馬院長:「結構、厳しくなっているのが現実で、先週だと比較的早く入院先が決まっていたのが、きょうは救急車の中で数時間待機して、ようやく決まったとか、時間がかかるようになってきた」

ある医療関係者によりますと、都内で18の病院に受け入れを断られた重症者が、神奈川県の病院に搬送された事例も出ているそうです。

三浦半島の中核病院となっている横須賀共済病院。7つある重症者用のベッドは、残り1つだけで、4人が人工呼吸器をつけています。その全員が家庭内感染で、自宅療養中に症状が悪化したそうです。このうち、1人が亡くなりました。
横須賀共済病院・長堀薫院長:「4人と限られた数だが、共通しているのは高齢者、基礎疾患、3回目のワクチンを打っていないこと。先週まではオミクロンは、ほとんど重症化しないと思っていたが、高齢者が家庭内感染で増加するに従い、一定の割合で重症者数が増えてきた。この数日で激増した」

3日に発表された全国の死者数は89人。第5波のピークと並びました。しかし、それぞれの致死率を見てみると、デルタ株よりオミクロン株は、ぐっと低い割合です。なぜ死者数は増えているのでしょうか。
横須賀共済病院・長堀薫院長:「感染者数の分母が増えれば重症化率は低くても、(死者の)絶対数としては変わらなかったりする。重症化はしにくいけれど、亡くなる人はいるという現実」

新型コロナ担当・山際大臣:「(Q.ピークアウト後の重症化率増加の可能性に向けて現状の対策で十分か)新規感染者がピークアウトしても重症者は減るばっかりではない。オミクロン株の特性を見ると、オミクロン株そのもので重症化される方もいるが、基礎疾患をお持ちの方が増幅される事例が相当報告されている。これを注視しておかなければいけない」

すでにアメリカでは、感染者数が減少傾向に転じています。ただ、やはり死者数は、デルタ株がまん延した去年秋よりも多い状態が続いていました。その理由について、アメリカメディアは、追加接種が進んでいないことを挙げています。CDC=疾病対策センターも、慎重な姿勢を崩していません。
米CDC・ワレンスキー所長:「入院者数はいまだ多く、全米各地の病院が厳しい状態。オミクロン株は『より軽度』といっても『軽症』を意味しない。対策緩和の前に入院患者や死亡者の割合を注視すべき」

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