「大きな課題に勇気を持って挑戦を」改憲勢力3分の2維持 自民党・岸田総理に聞く[2022/07/10 22:15]

安倍元総理が応援演説中に凶弾に倒れるという、民主主義の土台を揺るがす事件を経て、参議院選挙は10日に投開票日を迎えました。

◆自民党・岸田文雄総理に聞きます。

(Q.8日に安倍総理が銃撃されました。9日の街頭演説はどんなことを胸に、どんなことを訴えましたか?)

まず安倍元総理の逝去については、心から哀悼の誠を捧げたいと思います。そのうえで、暴力によって民主主義の基盤である選挙が中断してはならない、完結しなければいけない、こうした思いで選挙戦最後まで戦いました。

多くの皆さんに、私たちの民主主義・選挙を守ろうということで、最後まで選挙を完結して頂いたこと、感謝申し上げたいと思っています。

(Q.自民党は選挙前・選挙戦中に“パパ活”をしていた議員が離党、大臣のなかでも「野党の言うことは聞かない」という発言が出たり、多数のおごり・緩みがあったのではないでしょうか?)

選挙期間中も様々な国民の皆さんから厳しい声・批判を受けた。これはその通りだと思っています。そういった声はしっかり受け止めなければいけないと思ってます。

選挙の結果、今のところ我々にとって優位な結果が公表されつつありますが、ある意味では、我々に対する叱咤激励、「もっと努力しろ」という声だと受け止めなければならないと思っています。


(Q.野党からは「物価高は諸外国・欧米と比べると抑えられているが、これだけ賃金上がらないとどうしようもない」という批判が非常に多くありました。具体策はありますか?)

もちろんです。謙虚に受け止めるからこそ、まずは物価高騰対策は対策としてしっかり用意しなければいけない。一方で、賃金も引き上げなければならない。この2つを申し上げてきました。

賃上げについて昨年来、官民で協力することによって、今年の春闘等においても、20年間で2番目に高い数字を示すことができましたが、物価が引き続き上がってるわけですから、賃金の引き上げをしっかりと維持するためにも、持続可能性を実現しなければいけない。経済の成長と分配の両方が必要だと申し上げてきました。

(Q.「消費税も見直すべきだ」と多数の野党が言っていました。選択の余地はありませんか?)

これは政策の選択の問題だと思っています。消費税については、私たちは社会保障の重要な財源であるということ、また手続き・影響等を考えても、消費税の引き下げという選択肢は取らない。

それより物価に対しては、エネルギー・食料品といった分野に特化した、ピンポイントで焦点を当てた政策を用意するべきだと申し上げてきました。


(Q.防衛費の引き上げについて、具体的にどんな中身か今一つ見えてきませんでした。数字ありきではいけないと思いますが、どうですか?)

もちろんです。2%という数字についても、NATO(北大西洋条約機構)におけるGDP2%という数字を念頭に置きながら、我が国についてどう考えるのか。5年間で充実していこうと申し上げています。

今年はまず、具体的な国民の命や暮らしを守るために何が必要なのか。これをしっかりと明らかにし、積み上げていく。それに必要な予算を確保していく。こうした取り組みを年末にかけて進めていこうと申し上げています。

この具体的な議論を、今言った手順でしっかり進めていきたいと思ってます。


(Q.今回の選挙が終わると、次の参議院選挙まで3年、衆議院の任期まで3年以上あり、いわゆる“黄金の3年間”と言われています。自民党が党是として掲げている憲法改正について、改憲に否定的ではない勢力は、今回の選挙で参議院でも3分の2を確保する見通しとなっています。憲法改正について、例えば緊急事態条項を盛り込むといった共通項の多い部分から具体的に着手する考えはありますか?)

黄金の3年間というような考え方を、私たちは取るつもりはありませんが、大きな課題について勇気を持って挑戦しなければいけないと思います。

その1つとして、憲法も重大な課題です。私は自民党が掲げている4項目は、すべて現代的な喫緊な課題ばかりですので、それを中心に議論を進めていき、3分の2の勢力に賛同頂ける部分から、提案・発議を進めていく。これはしっかり進めていきたいと思っています。


(Q.各党からは人への投資、特に教育の無償化という声が本当に聞かれました。教育の無償化に具体的に取り組む考えはありますか?)

はい。人への投資は決してコストではなく、次の成長に対する投資でもあると思っています。

人への投資をしっかりと進めることが重要であり、それとセットで成長戦略を進めていくことが、人の投資を持続化させるために重要であると思っています。

成長と分配、両方そろえることによって持続可能な経済を実現していきたいと思っています。

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