行動制限なしの一方“医療はひっ迫”『濃厚接触の待機短縮』政府新方針を専門家に聞く[2022/07/22 23:30]

22日に全国で確認された新型コロナウイルスの新規感染者は19万人を超え、過去最多となりました。第7波による感染急拡大を受けて、政府は22日、新たな方針を決定しました。

政府が発表した新たなコロナ対策の主な内容です。濃厚接触者の自宅待機期間の短縮、抗原検査キットの無料配布、そして、早ければ秋以降にオミクロン株対応のワクチン接種の実施です。

直近の対策である自宅待機期間の短縮と抗原検査キットについて、感染制御学が専門の大阪大学・忽那賢志教授に聞きます。

濃厚接触者の自宅待機期間は、これまで原則7日間だったのが5日間に短縮されます。抗原検査を受診して、2日目と3日目に陰性が出れば、最短3日目で待機が解除。一方で感染者の待期期間は、発症から10日間と変更はありませんでした。

(Q.濃厚接触者の待期期間が5日間に短縮されたことについて、どう見ますか)
オミクロン株になってから、潜伏期間も短くなっていますので、理屈からすると短縮は可能だと思います。社会活動と両立するためにも短縮は基本的には賛成です。ただ、科学的裏付けがどこまであるのか。その点が気になるところで、政府には、もう少し、根拠を示してほしいと思います。

(Q.一方で軽症者が多いなか、感染者の待機期間は10日間と変更されなかったことは、どう見ますか)
感染者の場合、例え軽症でも、10日間は人にうつす可能性はあります。これはオミクロン株でも変わらないということはわかっていますので、現状は感染者の待期期間を変えないのは無難だと思います。ただ、発症から時間が経過すればするほど、感染力はなくなっていきますので、将来的には短くなっていくという予想はしています。

(Q.抗原検査キットの無料配布は、発熱外来のひっ迫を防ぐ狙いがあるとのことですが、そもそも抗原検査の精度などに問題はないのでしょうか)
抗原検査で陰性でも、PCRでは陽性という場合があるので、精度の問題は確かにあるとは思います。ただ、ある程度の判断材料になることは間違いないと思います。また、陽性の報告も患者自身がするので、医療機関の負担が減ることが期待されます。完ぺきな検査ではありませんが、現状を考えると良い対策だと思います。

(Q.行動制限をしない一方で、発熱外来や救急体制にしわ寄せが来ています。このしわ寄せを解消するためにはどうすればいいのでしょうか)
このまま医療がひっ迫していくと、コロナ以外の医療にも影響が出て、救えるはずの命が救えなくなっていくという状況が起こってくると思います。政府がこのまま行動制限をしないということであれば、私たち一人一人が頑張るしかありません。日々の流行状況を把握し、基本的な感染対策を徹底してほしいと思います。医療体制についてですが、コロナはありふれた病気になってきているので、どの医療機関でも診療できるという体制を作って、ひっ迫を解消していくことが必要だと思います。

こちらも読まれています