一発でアウトの空気感も…“死刑のハンコ”発言 岸田総理『続投』判断の理由は?解説[2022/11/10 23:30]

葉梨法務大臣が9日夜、法務大臣の職務について「死刑のハンコを押した時だけニュースになる地味な役職だ」などと発言しました。

葉梨法務大臣:「法務大臣は朝、死刑のハンコを押しまして、昼のニュースのトップになるのは、そういう時だけという地味な役職」

法務大臣としての資質に疑問の声も出ていますが、岸田総理は続投させる意向を示しています。

◆政治部官邸キャップ・山本志門記者

(Q.統一教会の問題で陣頭指揮に立つ法務大臣の失言。岸田総理が続投を判断した理由は何ですか?)

岸田総理が最も警戒しているのは“閣僚の辞任ドミノ”です。ある官邸幹部は「今回、葉梨大臣を辞めさせることになれば、政治資金問題で追及受ける寺田総務大臣にも波及しかねない、閣僚が次々辞める流れにつながってしまう」と懸念しています。

しかし、死刑という極めて重い判断に対しての冗談めいた発言は、永田町でも法務大臣として適格性を疑う声が相次いでいて、与党内からも「これは一発でアウトだ」という空気感は非常に強いです。

それでも続投させる理由について、官邸幹部は「失言を撤回して謝罪しているのだから、もう1回チャンスを与えるのが岸田総理の考え方だ」と解説しています。

ただ一方で、山際大臣を事実上更迭した際には、判断の遅れが支持率の低下につながったトラウマもあるだけに、官邸内からは「今回も傷口をさらに広げたうえで、再び後手後手にならないか」という懸念の声も聞こえてきます。

(Q.国会では、旧統一教会をめぐる救済法案や第二次補正予算など、重要な審議を控えています。影響は避けられませんか?)

法案審議は綱渡りだと思います。

岸田総理は11日から、G20サミットへの出席などで外遊に出発します。

外交面でアピールして、政権の反転攻勢を狙っていましたが、今回計算が大きく狂ってきたとも言えます。

特に新しく作る、旧統一教会の被害者を救済する法案については、野党との連携がカギとなっていますが、ここにも大きく水を差す形となりました。

野党側は、国会で葉梨大臣を徹底的に追い込む構えです。

岸田総理が外遊で不在中に、国会は荒れ模様になることが予想されていて、残り1カ月となった会期のなかで、混乱は避けられない状況となっています。

自民党内からは「これで幕引きとするのは無理だ。臨時国会が終わったら、人事を見直さないと、来年の国会は乗り切れない」として、今後の影響を懸念する声も聞こえてきます。

こちらも読まれています