【事実上の更迭】「死刑のはんこ」葉梨大臣辞任劇の舞台ウラは?[2022/11/11 18:33]

 死刑執行の職務を軽視するかのような発言をした葉梨法務大臣が「国民に不快な思いをさせた」と述べ、辞表を提出しました。この急転直下の辞任劇を巡り11日午後、岸田総理は取材に応じ「軽率な発言で信頼を損ねた」と述べました。山際大臣に続いて葉梨大臣も一転して事実上の更迭という流れになりましたが、これまでの経緯を総理官邸前から報告です。

 (政治部・原慎太郎記者報告)
 一つには重要法案の国会審議への影響を最小限にとどめるためとみられます。

 今の国会の会期は残り1カ月を切っていて、第2次補正予算案や岸田総理が提出を目指すとしている旧統一教会の被害者救済のための新法など、重要法案を設立させるためには、外遊前の辞任は避けられないと判断したとみられます。

 被害者救済のための新法に刑事罰を設ける場合には法務大臣が関係しますので、そのあたりも考慮したのだと思います。

 また、11日になって葉梨大臣が過去にも別の会合で同様の発言をしていたと認めたことも、岸田総理の判断に影響したとみられます。

 (Q.大臣辞任ということで今後の政権運営への影響はあるのか?)
 当然、影響はあると思います。岸田総理はG20などの一連の国際会議に11日に出発するはずでしたが、辞任対応で直前になって出発を12日未明に延期すると発表しました。

 「外交の岸田」をアピールすることで反転攻勢を狙っていましたが、内政に足を取られ出ばなをくじかれた格好です。

 そして政府与党のなかには、「更迭は遅きに失した」という受け止めが広がっています。

 ある閣僚経験者は「もし、きのうのうちに更迭をしていたら死刑執行や法務行政を大事に考えているということになって一定の評価はあったと思う」と述べ、対応が後手に回ったことを悔やんでいました。

 ついに現実化した辞任ドミノに、自民党内からは岸田総理の求心力低下を懸念する声が高まっています。

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