自民の再修正案 衆院特別委で可決 自民ゴタゴタ? 党内からあきれ声[2024/06/05 20:05]

 「政治とカネ」を巡り、再び修正された自民党の改正案が5日午後に特別委員会で可決されました。野党は「抜け穴が大きすぎてブラックボックスどころかブラックホールだ」と批判を強めています。

■自民“再修正案”が特別委で可決

 本来は4日に行われるはずだった岸田総理大臣に対する質疑。

公明党 中野洋昌議員
「今回の政治資金規正法改正案の評価と政治の信頼回復に向けた総理の決意を伺いたい」

岸田総理大臣
「原因を作った立場として何よりも実効性のある再発防止策、改革案これを提案しなければならない。そういった思いで取り組んで参りました。私自身、自民党として思い切った踏み込んだ案をお示しする決意をし、そして実行したところであります」

 政治資金規正法を巡る自民党の改正案が5日午後、衆議院の特別委員会で採決されました。

■「抜け穴すぎてブラックホールだ」

 公明党や日本維新の会も賛成し、可決されましたが…。

立憲民主党幹部
「抜け穴が大きすぎてブラックボックスどころかブラックホールだ」

 “異常事態”のなか、何とか可決された形です。

 自民党単独での法改正が難しいなか、総理が決着を図ろうとしたのは先週末のこと。

 公明党とはパーティー券購入者の公開基準を「10万円超」から「5万円超」に引き下げることで。日本維新の会とは政党から議員に支給される政策活動費の使い道を10年後に全面公開することなどでそれぞれに譲歩して合意を取り付け、自民党は「修正案」を国会に提出しました。

 ところが…。

日本維新の会 音喜多政調会長
「政策活動費の使い道に例外が設けられている。50万円以下のものであれば領収書の公開が必要ないとこの穴は私たちは見過ごすことはできない。こういう法律の条文になっている今の自民党案に賛成することは極めて難しい」

 政策活動費の使い道について自民党は「50万円を超える支出に限り公開する」という考えでしたが、維新の主張は「金額にかかわらずすべて公開」。食い違いが明るみになりました。

 その結果、4日とみられていた採決は見送られ…。

自民党 大野敬太郎筆頭理事
「(Q.維新が主張した部分をすべて取り入れた再修正案に?)方向性としては、その通りになる」

■維新案“丸のみ”総理の思惑は

 自民党は日本維新の会の主張を“丸呑み”し、「再修正案」を提出することになったのです。

岸田総理大臣
「我が党としても政策活動費に対する国民の信頼性を確保する観点から案を修正したというものであります」

国民民主党 長友慎治議員
「政策活動費50万円以下は抜け道となりえないという常識が自民党のなかにあったと。非常に非常識だなと国民は思うと思うんですね」

■自民ゴタゴタ?党内からあきれ声

 聞こえてくるのはあきれた声です。

自民党幹部
「ゴタゴタすぎて、どうなっているかもよく分からない状況だ」

自民党閣僚経験者
「少しずつ譲歩するくらいなら最初からやっておけという話だ。10年後の公開なんて、そのころにあるかもどうかも分からない政党がたくさんあるのに設ける必要なんてあるのか」

自民党若手議員
「これだけぐちゃぐちゃだと、もうこの政権も持たないかもしれないな」

 改めて5日に可決された自民党の再修正案は議員本人の罰則を強化する、いわゆる「連座制」の導入などが柱になっていて、政策活動費や政治資金パーティーについては公明党や日本維新の会の主張を取り入れました。

 パーティー券購入者の公開基準は「5万円超」です。

共産党 塩川鉄也議員
「この5万円超というのはパーティー1回に限った話であって、年間ではありません。4回あれば20万円を超えるというのと同じになるんじゃありませんか」

岸田総理大臣
「“政治活動の自由”と民主主義の基本である“政治資金について透明性を高める”。この2つのバランスのなかでどうあるべきなのか、こういった議論であると考えております。今、申し上げた2つの課題に対するバランスの有り様を考えたというのが、今回の結論であったと承知をしております」

 一方で、企業や団体が政党などに対して行う献金については野党が禁止を訴えるなか、自民党案には記載がありません。

共産党 塩川鉄也議員
「特定の企業団体からお金を受け取って政治がゆがめられたことがなかったと言い切れるんですか」

岸田総理大臣
「そもそも政治団体の収入については多様な考え方の多くの出し手による様々な収入を確保することが政策立案における中立公正やバランスの確保において重要である。こういった考え方を申し上げております。一部の企業からお金を受けることによって政策がゆがめられる、こういったことはないと説明させていただいております」

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