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2025年10月10日 21:15

自公決裂 26年の歴史に終止符 公明党が強気のワケ 今後は?野党は?

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 党首会談後、公明党の斉藤代表は「これまでの関係に区切りをつける」と話し、26年続いた連立を離脱する方針を伝えました。強気の姿勢を崩さない理由とは。

■26年の関係に終止符

自民党 高市総裁
「まずそもそも、本日の党首及び幹事長による会談でございますが、何かを決めるとかそういうことではなく、地方から聞いた声をお伝えするというのがきょうの議題でございました。しかしながら、一方的に連立政権からの離脱を伝えられました」

 亀裂が修復されることはありませんでした。

公明党 斉藤代表
「とても首班指名で『高市早苗』と書くことはできない。自公連立政権についてはいったん白紙とし、これまでの関係に区切りをつけることとしたい」

 26年間続いた連立政権に終止符が打たれる自民党と公明党。およそ1時間半に及ぶ党首と幹事長同士による会談で、公明党が離脱を通告したかたちです。

公明党 斉藤代表
「私たちが最も重視した政治とカネに関する基本姿勢について、意見の相違があった。自民党の政治資金を巡る問題によって、国民の政治全体への信頼が大きく損なわれている」

 政治とカネの問題を巡って公明党が突き付けていたのは…、企業・団体献金の受け皿を政党本部と都道府県連に限定する規制強化案。

 これに対して自民党は、およそ7800ある政党支部が献金を受け取れなくなり、献金額が激減するとして難色を示していました。

 9日、テレビ朝日の番組に出演した高市総裁。公明党の案について…。

自民党 高市総裁
「県連に全部お金が集まるとか、そっちのほうがチェックが働かないんじゃないかという。透明性が一番大事で、チェックを色んな人ができる。これが一番大事だと思ったので、そこはどうお考えなんだろうという疑問は申し上げた」

公明党 斉藤代表
「この度の自民党の回答は『基本的にはこれから検討する』という誠に不十分なものでありまして、極めて残念でございます。政治とカネに対する取り組みは公明党の一丁目一番地でございます。本来クリーンな政治を党是とする我が党として何としても断行するべきものと考えております。我が党が擁立する衆議院小選挙区候補への自民党からの推薦は求めません。自民党候補への推薦も行いません」

■公明党はなぜここまで強気に?

 なぜ今回、公明党はここまで強気に出たのでしょうか…。

政治部与党キャップ 澤井尚子記者
「公明党が要求した企業・団体献金の受け皿を党本部と47都道府県に絞る案というのは、自民党の『心臓部』をもぎ取るような話。公明党はそうした自民党側の反発を分かったうえで、あえて取れない球を投げていて、“離脱ありきだ”という見方も出ていました。最近、斉藤代表と話をしたという自民党の閣僚経験者は『公明党は参院選が終わってからも長く放置されていて、総裁選でも野党連携の話ばかりがされていて、斉藤さんはかなり怒っていた』と話しています。また、高市さんは総裁就任の翌日に秘密裏に国民の玉木代表と面会したようなのですが、それによりさらに不信感を抱いた可能性も指摘されます。公明支持団体の創価学会幹部も、離脱やむなしの強硬姿勢。高市総裁の後ろ盾となる麻生副総裁が公明党や創価学会と距離があり、公明党から見て人事での配慮に欠けたことも離脱を決めた要因のひとつとみられています」

 公明党からは、自民党との連立協議を巡ってこんな声も上がっていました。

公明党 ベテラン議員
「10万円給付で山口元代表が官邸に乗り込んで、『連立離脱も辞さない』とやったのを思い出した」

 新型コロナウイルスの感染が拡大して初めて緊急事態宣言が出された2020年4月。この時実施された「現金10万円給付」は当時の公明党・山口代表が経済や社会に大きな影響が出ているとして求めたものでした。

公明党 山口代表(当時)
「一人あたり10万円、所得制限をつけないで国民に給付する。これを総理に決断を促しました」

 当時は安倍総理がこの要求を受け入れましたが、今と違うのは…。

公明党 ベテラン議員
「その時は安倍さんが丸のみした。今はあの時のパイプがない」

 公明党内から聞こえてくるのは、自民党新執行部に「本音で話せる人がいない」との声…。

 高市総裁が自民党の執行部に収支報告書への不記載があった萩生田幹事長代行を加えたことも公明党との溝を深めました。

 9日夕方、高市総裁は公明党に太いパイプを持つ菅元総理と会談しましたが…。

自民党 中堅議員
「いまさら菅さんに泣きついてもダメだよね。最初からお願いしないと」

 菅元総理も「今回は無理だろう」と周囲に漏らしたといいます。

立憲民主党 野田代表
「それだけの(連立の)メリットを自民党も受けてきたはずなのに、敬意と感謝が足りなかったんじゃないか、慣れすぎたんじゃないか。(公明党とは)もともとお互い中道であるということと政策的にあらゆる分野で近い部分があると思う。もともと親和性はあるということは間違いない」

国民民主党 榛葉幹事長
「公明党も公党、良識ある党だと思っている。離脱をして『はい終わり』ではないと思う。公明党の政治とカネに対する並々ならぬ覚悟は私はよく分かっている」

 これで自民党は急接近する国民民主党と仮に連立を組んだとしても、衆議院で過半数に届かなくなります。

 そして公明党にとって連立の離脱は野党になることを意味します。

公明党 斉藤代表
「首班指名では『斉藤鉄夫』と公明党として書かせていただきたい。決して我々は敵対するわけではない。こういう課題に一緒になってこれまで26年間積み上げてきた自公連立政権で積み上げた信頼関係をベースに、これからも一緒にやっていきましょうと、協力しながら連立政権の仲間という関係はなくなるが、一緒にやっていきましょうとお互い申し上げて握手して別れてきた。我々は比較的小さい存在、我慢してきた面もたくさんある。そういう意味で今回(連立の)枠組みから離れるわけだから、ある意味自由に色々な提案ができる。そして、その提案を他党との協力のもとで実現していく。他党もある意味では同じような状況、与党とはいえ少数なので、そういうなかで、他党との連携のなかで政策実現をしていく、新しい政治を目指していきたい」

自民党 高市総裁
「(Q.総裁が高市氏になったことで自公連立が破棄された?)それは私からも伺った。例えば総裁が私でなかったらこのような連立離脱というのはないのか、例えば総裁が代われば連立協議することはあるのか聞いたが、それは『今回の総裁選挙で誰が選ばれていても同じです』。これまでの執行部、前執行部に対して何度も申し入れをしてきた課題であると、それが速やかに対応されていないと考えているので、やはり支援者の方々も大変疲れておられるということでお話がございました。きょう、この場で公明党案をのむかどうかの返事をもらいたいということでしたので、それは私と幹事長2人で決めるというのは我が党の文化ではありませんし、ルールではないので、それは残念ながらお受けできなかったということでございます」
「(Q.自身の名前を書いてもらうため呼び掛けは?)召集日まで一生懸命出来る限りのことはしたい」
「(Q.公明党以外の野党との連携は?)いま申し上げることは何もございません」

■公明連立離脱 各議員のコメント

小泉農水大臣
「まず、現時点で申し上げるべきことは、この26年間、自公という枠組みの中で様々な政策実現にご尽力、ご努力をいただいた。そのことに対する感謝とまた敬意を表するべきだと思います」

公明党 中野国交大臣
「斉藤代表にしっかり協議の結果を委ねると一任をしておりますので、そういう意味ではしっかり斉藤代表が出した結論を我々はしっかり受け止めて、公明党として一致団結して進んでいくということだと」

国民民主党 玉木代表
「政治とカネの問題に終止符を打ちたいという、強い意思の表れだと受け止めました。今後とも公明党とは政治とカネの問題について現実的な解決策を提言し、実現するために共に力を合わせていければと思っております」

立憲民主党 野田代表
「本当に重たい決断を下されたなと思います。ほとんどの議員は連立の中で育った人ばかりで、それ以外は経験したことがない人が圧倒的に多いなかで、連立から離脱をするということは極めて重たい決断だったと思います。連立離れたということは自民党に激震が走ってるんじゃないか」
「(Q.首班指名で「斉藤」と書く選択肢は?)そういうような、あまりにもとっぴなことをいきなりここで言っちゃいけないと思う、失礼になると思います」

日本維新の会 藤田共同代表
「少数与党の国会がさらに少数になるということで、国会の意思決定が非常に難しい。そして様々な想定があり得ると、こういうことになりましたので、各党と真摯に協議をしていくと、野党同士のコミュニケーションも含め、これからしっかりと取り組んでいきたい」

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