ドイツ南部で開かれているミュンヘン安全保障会議が2月13日に開幕した。会期は15日までの3日間で、各国の首脳や国防・外交の要職が一堂に会し、安全保障環境の変化を踏まえた議論を展開する。日本からは茂木敏充外務大臣と小泉進次郎防衛大臣が参加し、中国の王毅外相も出席した。現地ではG7外相会議も行われ、地域情勢を含む諸課題が協議された。衆院選で自民が圧勝した後、日中関係に変化の兆しが生まれるかが焦点となる。高市総理は衆院選翌日の2月9日、中国との関係について「意思疎通が重要であり、わが国としては中国との対話にオープンだ」と発言した。これに対し、林副報道局長は10日、「高市総理の台湾に関する誤った発言を撤回し、実際の行動で対話に向けた誠意を見せるべきだ」と述べ、台湾をめぐる発言の撤回を改めて求めた。
一方、台湾の民間シンクタンク「アジア太平洋平和研究基金会」の董立文執行長は、中国の対日圧力が日本国内の世論形成に与えた影響を指摘し、「中国の目標は国際的に日本を孤立させ、日本国内で高市総理を孤立させ、2年以内に高市政権を倒すというものだった」「しかし逆効果を呼んで高市総理は支持率の過去最高を更新し、偶像に浮上した」との見解を示した。独紙「フランクフルター・アルゲマイネ」も衆院選後、習近平国家主席の強硬姿勢が日本の世論を結束させたとの趣旨で論評した。今後の外交日程では、11月に中国・広東省深センで開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議が注目される。日中首脳会談が実現すれば関係改善の契機となり得る一方、会談の環境整備には双方の歩み寄りが不可欠となる。過去には、2012年の第2次安倍内閣発足後、尖閣諸島国有化や靖国神社参拝などを背景に悪化した日中関係が、2014年秋の北京でのAPEC首脳会談を機に、一定の対話が再開した経緯がある。
日米関係では経済と安全保障の両面で調整が続く。トランプ大統領は2月8日、自身のSNSで高市総理に言及し、連立政権への支持と「力による平和」を掲げる政策の実現に期待を示す投稿を行った。ただ、対米投資をめぐっては隔たりも浮かぶ。訪米中の赤沢経産大臣がラトニック商務長官は12日、昨年の日米関税交渉で合意した対米投資の具体化について約1時間半協議したが、合意には至らなかった。政府関係者によると、金利や収益の確保、支払いスケジュールなどで日米間に距離があったという。3月19日に予定される日米首脳会談での公表を念頭に、交渉を継続する方針で一致したとしている。対米投資(5500億ドル、約84兆円)の「第1号案件」候補としては、ガス火力発電所の建設、原油を輸出する港の整備、人工ダイヤモンド製造施設の建設の3事業が挙げられている。赤沢大臣は「関税合意以上に国益をかけたタフな協議になっている」「(政府系金融機関を通じ)税金を使う以上、ハイリスク・ハイリターンなものはない」と述べた。交渉関係者からは「米国側は『早く』と言い続けている」との声もあり、米側が合意を急ぐ構図も指摘されている。対米投融資を巡る各国との交渉では、トランプ大統領が「スピード」を強く求める姿勢を鮮明にしている。先月26日、トランプ氏は対米投融資に関する合意の履行が滞っているとして韓国を名指しで非難し、現行15%の関税を25%に引き上げる可能性を警告した。
トランプ大統領は2月6日、米国製兵器の売却について、防衛関連投資に取り組む国を優先するよう命じる大統領令に署名した。優先条件として、自国防衛への投資、米国の作戦上重要な役割や地理的条件、米国の経済安全保障への貢献の3点を挙げ、共同通信は同盟国・友好国にとって圧力になり得ると伝えている。さらに、米国防総省は1月23日、「国家防衛戦略(NDS)」を公表し、中核的防衛費のGDP比3.5%と関連経費1.5%を合算した計5%を「新たな世界基準」と位置づけた。「全世界の同盟国・友好国に対し、この基準達成を提唱する」としており、日本にも同様の取り組みを促す内容と受け止められている。日本の2025年度の防衛費・関連経費はGDP比2%で約11兆円とされ、仮に3.5%なら約21兆円、5%なら30兆円規模に達する計算となる。官邸関係者からは「3.5%は防衛装備品をいくら購入しても使い切れない額だ」との声が出ているほか、防衛省幹部は「5%は厳しい。米国から要求があれば、財政悪化への不安が広がり、国民生活にも影響が出かねない」と述べたという。
★ゲスト:久江雅彦(共同通信社編集委員兼論説委員)、今野忍(政治ジャーナリスト/元朝日新聞記者)
★アンカー:杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信社論説委員長)
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