安倍派「一掃」ならず“舞台裏”で何が起きたのか?「解散権消えつつある」政権ピンチ

スーパーJチャンネル

[2023/12/13 21:02]

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自民党・安倍派の政治資金パーティーを巡る裏金問題で、揺れに揺れた臨時国会が13日、閉会します。

東京地検特捜部の捜査の行方は。そして、岸田政権はどうなるのか。
ジャーナリストの後藤謙次氏に総理の「本音」を聞きました。

■パーティー券問題で大揺れ国会閉幕

13日、提出された内閣不信任決議案。

立憲民主党・泉 健太代表
「総理は、この危機的状況の中で裏金議員の一掃よりも、安倍派一掃を画策しているようであります」

午前中、自民党本部は、その「安倍派一掃問題」で慌ただしさが増していました。

笠井 美来 記者
「岸田総理が自民党本部に到着しました。これから党幹部と会談に臨みます」

■猛反発で安倍派“一掃”ならず…政務官留任も

13日、岸田総理は党の幹部6人と会談…もちろん人事のことです。
岸田総理は12日まで、政権内にいる安倍派15人全員を、一掃する考えでした。

それが一転、安倍派一掃を撤回。
松野官房長官ら閣僚4人と、副大臣5人を交代させる一方、 政務官6人は大半を留任させる方針に変わっています。何があったのでしょう…。

「もっともまずい選択をしたな…」
そう指摘したのは、ジャーナリストの後藤謙次氏。

ジャーナリスト 白鴎大学(本来の白鴎はかくしがまえの中がメではなく品)名誉教授・後藤 謙次氏
「『安倍派の人たちがどう思うか』という想像力が全く働いていなかった」「これほどいじめられたら覚悟があるよという、ここまで反発・反撃をくらうとは思っていなかったのでしょう」

そもそも安倍派からは「一掃」に対し、公然と不満がでていました。

自民・安倍派 幹部
「一番力強く支えていたのは、安倍派だ。もう安倍派が支える必要はない。他の派閥に広がったら、それも全員更迭できるのか。やってもらおうじゃないか」

■“一掃”に反発…派閥結束強めた?

自民党 安倍派・萩生田 政調会長
「人事は総理の専権事項であるが、出処進退は自分で決めたいと思う」
ジャーナリスト 白鴎大学名誉教授・後藤 謙次氏
「安倍派っていうのは、去年7月8日に安倍さんが亡くなってから、会長を決められないくらい結束力が弱まっていました」
「全員で安倍派パージ(排除)みたいな人事が行われるなら、『俺たち、まとまらなきゃやられちゃうな』ということになると、逆にコアな反岸田勢力を形成してしまう」

そして安倍派五人衆の一人、萩生田政調会長も13日、党の職を辞する意向を固めたことがわかりました。
岸田総理は、党役員の人事は来年度予算の閣議決定をした後、12月22日で調整していましたが、このタイミングでの辞意。

ジャーナリスト 白鴎大学名誉教授・後藤 謙次氏
「大変、大事な予算編成について、最後のサインをする政調会長が、事実上不在のような予算が出来上がる。クーデターとまではいきませんけども、反岸田宣言といってもいいかも」

■“政権の要”官房長官の後任は?

13日、松野官房長官には、こんな質問も飛びました。

Q.これまで回答を控えるとしたのは、自分の意志ではなく、あらがえない指示が派閥からあった?
松野 官房長官
「報道によれば、派閥の政治資金の取り扱いについては刑事告発がなされ、それに関連して捜査が行われているものと承知しており、そうしたことを踏まえて、私の政治団体についても精査して適切に対応すると申し上げてきた」
そうしたことを踏まえて私の政治団体についても精査して適切に対応すると申し上げてきた」

その松野官房長官の後任には、林前外務大臣を起用する方向で調整に入っています。

ジャーナリスト 白鴎大学名誉教授・後藤 謙次氏
「要の官房長官を決められるか」
「人事原則もなければ、大きな事態に対してどう対処するかという大原則もない」
「結果として岸田内閣の求心力というのが、日々衰えてきているのが、今の状況」

加えて、後藤氏は、岸田総理は政権立て直しの「最後のチャンス」を逃したとみています、それは…。

■「解散権消えつつある」政権ピンチ

ジャーナリスト 白鴎大学名誉教授・後藤 謙次 氏
「きょうの臨時国会の閉幕日に、最後のチャンスだと思っていたが、ここでもこの間、まったく準備をしてこなかったわけですから、ここで解散を見送った岸田総理の手の中には、ほぼ解散権は消えつつあると。岸田総理のもとで衆議院解散できることはない状況」

なくならない、政治と金の問題…
そもそも、なぜ裏金は存在するのでしょう?

ジャーナリスト 白鴎大学名誉教授・後藤 謙次 氏
「周りを見ればみんなそれをやっているし、派閥の上層部から『これは報告書に載せなくていいよ』と言われたら、若干やばいなと思いながらも、まあいいかということが続いてきたんじゃないか」

東京地検特捜部は、本気なのでしょうか。

元東京地検特捜部・若狭 勝 弁護士
「特捜としては、少なくとも捜査権限をもっていて、こういうところに切り込める唯一の捜査機関」

■「特捜部vs自民党」戦いの歴史

これは、特捜部が田中角栄元総理を逮捕した日の映像。

衆院予算委・証人喚問(1976年)
「記憶がございません」「まったく私は記憶ありません」「記憶をしておりません」「記憶がございません」「記憶がございません」

国会で、証人が繰り返したこの言葉が、流行語にもなった“ロッキード事件”です。

検察の会見(1976年)
「検察を激励してくれる電話とかが多く来たと思う」
元東京地検特捜部・若狭 勝 弁護士
「国会に赤じゅうたんが引かれているので、『赤じゅうたん、赤じゅうたん』と言う」
「赤じゅうたんにたどりつく、バッジをとるなどを特捜部は仕事上強い信念のもとで捜査をしている」

判決の日、元総理の自宅前には巨大な脚立が…。

記者
「田中角栄に対し、懲役4年の判決が出ました」

特捜部はその後も…

「リクルート事件」、「佐川急便事件」、日本歯科医師連盟による政界への闇献金が発覚した「日歯連事件」などを立件。

ジャーナリスト 白鴎大学名誉教授・後藤 謙次 氏
「自民党の歴史というのは結局、スキャンダルの歴史でもある」
「政治と金をめぐるスキャンダルは、周期的に起きている」
「遊びの部分のお金を自由に持ちたいというのが、政治家側の欲求としてずっとある」

特捜部は、今回も本気なのでしょうか。

元東京地検特捜部・若狭 勝 弁護士
「特捜部はかなり本気度ある。かなり資料は入手して分析していて、本日、明日以降相当数の安倍派の議員をしらべて事務所の捜索、関係箇所の捜索もありえる」

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