自民党“裏金問題”法改正どこまで…透明化と実効性は?政治家「3つの財布」とは?
ANN編集部
[2024/04/17 17:00]
時事通信が4月5日行った世論調査では、岸田内閣の支持は16.6%、不支持は59.4%となり発足後最低となった。同時に行われた“裏金問題”の処分に対しては、56.4%が「処分が軽すぎる」と回答した。
“裏金問題”で、再発防止に向けての法改正が動き出したが、自民党はどこまで踏み込めるのか?
1)「企業・団体献金」の禁止は? 過去には「抜け道も」
ポイントとなるのが「企業・団体献金」だ。自民党は「禁止は難しい」、公明党は「議論が必要」としているが、野党は「禁止、廃止」の姿勢で共通している。
「企業・団体献金」は、以前から議論になってきた。1994年の政治資金規正法の改正で、議員個人への献金が禁止された。1999年には資金管理団体への献金も禁止された。しかし政党への献金は認められており、会社や団体の規模に応じ、年間750万円から1億円の上限が定められており、5万円以下は非公開となっている。
「抜け道」と指摘されているのが、政党支部への献金だ。議員が代表を務めるケースが多く、政党なのか議員なのかあいまいな部分があり、実際には政党支部から議員側へ資金を迂回させる可能性があるとされる。
さらに「資金管理団体」に対して献金は禁止でも、パーティー券は購入可能となっている。
共産党の田村委員長は「一番重要な課題は『裏金』のもとになったパーティー券の販売を含めた企業・団体献金の禁止になる」と述べ、立憲民主党、長妻(ながつま)政務調査会長は「カネの力で国の予算や法律がゆがめられるのを根本的に直すには企業・団体献金を禁止することが肝要だ」としている。
一方、自民党の規正法改正に関する作業部会の鈴木座長は、「企業団体献金禁止については、色々な成長戦略を考えたときに企業も声を出せる場が大事。憲法解釈の話もありなかなか難しい」と、難色を示す。
久江雅彦氏(共同通信社編集委員兼論説委員)は次のように述べる。
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2)個人献金を増やすための制度改革の必要性も?2)個人献金を増やすための制度改革の必要性も?
中北浩爾氏(中央大学法学部教授)は、次のように指摘する。
3)議員側に資金の受け皿が複数あることが全体像の把握を困難に
政治資金に詳しい、富崎隆氏(駒沢大学教授)は、議員側に資金の受け皿が複数あり、政治資金全体の流れを見えにくくしていることが問題だとして、国会議員の持つ「3つの財布」について指摘する。
1)一つ目が政党支部だ。議員の多くが、支部長の肩書きを持つ、企業・団体献金の事実上の受け皿と言われ、企業・団体献金を受けている。
2)二つ目が「資金管理団体」だ。政治家が政治団体の中から一つだけ選択する、政治資金の拠出を受ける政治団体で、パーティー券を個人や企業団体が購入したときの収入が入る。
3)三つ目が「その他の政治団体」で後援会なども含まれる。資金管理団体や別の政治団体からの寄付を受け、議員が複数保有することが可能だ。
中北氏は「さらに政治資金には政治家個人のものもある。」として、次のように指摘した。
久江氏は次のように指摘した。
また富崎氏は「政治とカネ」について、以下のように話した。
民主政治というのは、政治資金これ自体が全部が悪ということは絶対にない。オバマ大統領は再選の時に約1000億円を集めて使っている。人々を説得して運動をして様々な活動をするということに資金がかかること自体はある種の政治参加のあらわれだ
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4)実効性のある改革の必要性4)実効性のある改革の必要性
では実効性のある制度資金制度改革のためには何が必要となるのか?杉田弘毅(共同通信社特別編集委員)は次のように述べた。
久江氏は次のように述べた。
中北氏は
久江雅彦(共同通信社編集委員兼論説委員、杏林大学客員教授。永田町の情報源を駆使した取材、分析に定評)
中北浩爾(中央大学法学部教授 専門は政治学、自民党の歴史と政策等に精通。『自民党-「一強」の実像』など著書多数)
杉田弘毅(共同通信特別編集委員 ワシントン支局長、明治大学特任教授。NY特派員など米国で通算12年の取材活動。2021年度「日本記者クラブ賞」)
「BS朝日 日曜スクープ 2024年4月14日放送分より」