自民“3補選全敗” 岸田総理…揺らぐ再選戦略 検証!!2021年 信頼回復の道は
[2024/05/08 17:00]
衆議院3補選に事実上全敗したことで、自民党内には、岸田総理が6月解散を封じられたという見方が強まっている。岸田政権は、政治への失われた信頼を今後回復させることはできるのか。今の岸田総理を取り巻く状況は、2021年4月の菅政権の状況と重なる部分が目立つとの指摘も…。
1)『2021年4月と酷似』との指摘 当時の菅政権は4か月後に…
2021年当時、菅前総理は9月29日の総裁選への出馬を断念したが、当時何が起きていたのか。
2021年4月25日、コロナの第4波が広がる中行われた、菅政権として初めての国政選挙となった衆参3選挙で与党は全敗を喫した。
自民党が「3敗(不戦敗を含む)」したのは、岸田政権の今回の3つの補欠選挙も同じ状況だ。
さらに2021年当時の菅政権では、6月の静岡県知事選挙で自民推薦候補が敗北、7月の東京都議会選挙で自公が目標の過半数に届かず、敗戦が続いた。
岸田政権も今後、5月26日の静岡県知事選挙、7月7日には東京都知事選挙が控えている。
久江雅彦氏(共同通信社編集委員兼論説委員、杏林大学客員教授)は以下のように分析する。
とはいえ、静岡県知事選の5月26日になれば、政治改革の議論も山場になり、通常国会の出口も見えてくる。最終的には、与野党どちらが勝ったのに注目が集まる。静岡県知事選の結果が9月の総裁任期満了を前に岸田政権の分岐点になるだろう
2021年の菅政管と現政権の相違はどこか。2021年、国政選挙・地方選挙で連敗した菅総理は9月の総裁選に向け意欲を示していたが、8月下旬、状況はさらに悪化した。
2021年の場合、8月22日、菅総理のお膝元の横浜市長選で、総理に近い小此木八郎(おこのぎ・はちろう)前国家公安委員長が落選。8月26日には岸田氏が総裁選に出馬を表明し「党役員は1期1年、連続3年まで」という改革案を発表した。党内から人事刷新を求める声もあがり、菅政権を支えてきた二階幹事長の交代案が浮上した。
安倍元総理が8月31日、菅総理に「解散すべきでない」と伝えたことを受け、9月1日には菅総理が「解散」を否定。菅総理は局面打開に向けてもう一つのカード、人事を9月6日に実行しようとしたが、事態は急転直下の展開を見せ、9月3日、突然の「総裁選不出馬」表明した。
人事について複数の幹部が「打診されたら困る」と距離を置いたことが原因とされ、特に、二階幹事長の後任人事のメドが立たなかったことが大きかったと見られている。
菅総理は解散権も人事権も封じられ9月末の総裁選不出馬を表明した。岸田首相にとっても8月下旬が正念場となるのか。
次のページは
2)岸田政権の今後は… 問われる政治への姿勢2)岸田政権の今後は… 問われる政治への姿勢
久江雅彦氏(共同通信社編集委員兼論説委員)は次のように語る。
中北浩爾氏(政治学者、中央大学法学部教授)は、以下のように述べた。
岸田政権誕生の際、取材を重ねていた末延吉正氏(元テレビ朝日政治部長、ジャーナリスト)は以下のように分析する。
3)ポスト岸田の動きは?新総裁で解散総選挙を望む声はあるか。
ANNの世論調査(4月13,14日実施)で「次の総理として自民党の中で誰が良いか?」を尋ねたところ、「わからない・答えない」が1位となった。続いて石破 茂氏、小泉進次郎氏、上川陽子氏、河野太郎氏らの名前が挙がった。
自民党内には、9月の総裁選で“ポスト岸田”を打ち出して「新総裁で解散総選挙」を望む声はあるのか。
久江雅彦氏(杏林大学客員教授)は以下のように述べた。
中北氏は「ポスト岸田」の動きについて、以下のように述べた。
4)自民党政治への不信感が高まる中、「政権交代」の可能性は?
通常国会会期末まで残り1ヶ月半余り、今後の動きについて、久江雅彦氏(杏林大学客員教授)はこう語る。
中北浩爾氏(政治学者、中央大学法学部教授)は、野党の動きに注目をする。
末延吉正氏(元テレビ朝日政治部長、ジャーナリスト)は与野党双方が変わるべき時であると示唆した。
<出演者>
久江雅彦 (共同通信社編集委員兼論説委員、杏林大学客員教授。永田町の情報源を駆使した取材・分析に定評)
中北浩爾(政治学者 中央大学法学部教授。専門は政治学。自民党の歴史などに精通。著書に『自民党−「一強」の実像』など多数)
末延吉正(元テレビ朝日政治部長。ジャーナリスト。永田町に独自の情報を持つ。湾岸戦争など各国で取材し、国際問題に精通)
「BS朝日 日曜スクープ 2024年5月5日放送分より」