政治

モーニングショー

2025年3月13日 16:00

就職氷河期世代から悲鳴!?賃上げ進まず 退職金課税『長く働くほど優遇』見直しか

2025年3月13日 16:00

広告
4

財務省が、2025年度の国民負担率が46%になる見込みであると公表したことを受けて、ネット上では、まるで江戸時代の年貢負担『五公五民』だという声が挙がっています。
さらに、石破総理が、勤続年数が長い人への優遇措置がある『退職金課税制度』の見直しについて言及、就職氷河期世代から不安と不満の声が挙がっています。

■国民負担率は46%超 「五公五民」「江戸時代なら一揆」の声も

国民負担率は個人や企業の所得に占める税金と社会保障の負担の割合です。
3月5日に、財務省が2025年度の見通しを公表しました。

国民負担率の2025年度の見通しは46.2%です。
1975年の国民負担率25.7%と比較すると、50年で20.5ポイント増加しています。

SNSでは、収穫高の半分を年貢として納める江戸時代の税制度、五公五民という言葉を使って、

五公五民に近い負担を強いられ、もう国民はもたない
「ほぼ五公五民の税負担で、江戸時代だったら一揆起きていた

という声が挙がっています。

30年前の1995年と手取り額を比較します。

年収500万円の会社員のケースです。
40代、都内在住、収入なしの配偶者と高校生の子どもが1人いる場合です。

健康保険は13万7268円増え、厚生年金は14万6580円増え、雇用保険は1万円増えました
所得税は、社会保険料が増えた事や、地方分権を進めるため所得税から住民税への税金の移し替えなどが行われた影響などで、6万4999円減りました。
住民税は4万1900円増えました。

結果、30年前と比べると、手取り428万8570円だったのが、401万7821円になり、27万749円減りました。

最新の現金給与と実質賃金です。

基本給や残業代などを合わせた1月の現金給与は、1年前と比べて2.8%増加37カ月連続のプラスとなりました。

一方で、物価の影響を考慮した実質賃金は、1年前と比べて1.8%減少3カ月ぶりのマイナスとなりました。

厚労省の担当者は、
物価高のあおりを大きく受けている」といいます。

■「我慢ばかりでつらい」氷河期世代の賃上げ進まない背景

年代別の賃金の伸び率です。

コロナ前の2019年と2024年の比較です。
若い世代は約10%ですが、中高年層にかけて低くなり、50歳から54歳では2.8%と、最も低くなっています。
いわゆる就職氷河期世代です。

氷河期世代の賃上げが進んでいないことについて、経済ジャーナリストの後藤達也さんです。
「就職氷河期世代にあたる50代前半は、他の年代に比べ特に人口が多いため伸びシロが小さい。さらに『役職定年』で年収が減っている要因も考えられる。人材確保のための賃上げは、20代から30代を優先する傾向があり、60代以降は定年延長に伴い伸び率は高くなっている」

街の声です。

50代女性・会社員
責任が重くなるのに給料が上がらないのは不満。少ししか上がらない賃金が、年々高くなる税金によって相殺されている
50代男性・会社員
「若いころは上司にいろいろ言われながらも我慢し続けて、年を取った今は賃金がほぼ上がらず我慢、我慢ばかりでつらい
3月に大学を卒業した20代の男性
「賃金が伸びていない氷河期世代が年金をもらうようになったら、結局、支える側の若い世代の負担につながる気がする」 

■氷河期世代に追い討ち 退職金課税 見直しか どのくらい違う?

氷河期世代の賃金が伸びない中で、退職金についてです。
退職金への課税は、同じ会社で長く働くほど優遇されます。

この退職金課税の見直しについて、石破総理が、
「拙速な見直しはいたしませんが、慎重なうえに適切な見直しをすべき」と、勤続年数の長い人の税制上の優遇を見直す可能性を示唆しました。

現在の制度では、退職金を一括で受け取る場合、勤続年数が20年以下か、20年を超えるかで大きく変わってきます。
勤続20年以下では、1年あたり40万円の控除ですが、
勤続20年を超えると1年あたり70万円の控除になります。

勤続40年、退職金が2500万円の人のケースです。

勤続20年目までは、1年あたり40万円×20年で、800万円が控除対象。
21年目から40年目までは、1年あたり70万円×20年で1400万円が控除対象。
合わせて2200万円。
退職金である2500万円から2200万円を差し引いて、2で割った150万円が課税対象です。

この人が、20年目で転職した場合、20年目までは控除額は同じですが、ここで転職をすると一度リセットされて、残りの20年も1年あたり40万円×20年で、800万円が控除対象になります。
控除額の合計は1600万円で、450万円が課税対象となります。
300万円の差が出ます。

与党内では、
・勤続20年を超える控除額70万円は引き下げ
・20年以下の控除額40万円は引き上げて平準化する案
などを検討しているということです。

控除額を引き下げる場合は、経過措置の期間を設ける想定もしているということです。

石破総理は、なぜ見直しに言及したのでしょうか。
雇用の流動化をどう考えるか、それが経済のこれから先の成長にとって非常に重要」としています。

転職などで自己都合退職する場合に、退職金が減額されないような制度見直しも検討しているということです。

■『退職金課税』背景に雇用の流動化 各年代の意見は

転職希望者は、調査した2023年の7月から9月の3カ月で1035万人と過去最多、就業者の15.3%です。

雇用の流動化について、経済ジャーナリストの後藤さんです。
中高年の転職では若年層と違い、求人数が少なかったり、求められるスキルに合わなかったり、苦戦する傾向にあることも考慮に入れる必要がある

中高年の方々の声です。

50代男性
退職金は人生最後のボーナス。老後の資金にも充てる予定で、それを減らされるのはたまったもんじゃない。」
50代女性
「税金が高くて手取りが全然増えない。退職金の制度まで変わらないでほしい
40代女性
見直しで勤務年数が短い人と変わらなくなるのは不公平。私たちだって今まで頑張ってきた。退職金くらいはしっかりもらいたい」

若い世代の声です。

20代男性
「内定したIT系の会社では『転職ありき』と言われてる。制度を見直して転職しやすいように配慮してほしい
30代男性
「そもそも退職金が同じ会社に長く働くことで優遇されることに疑問。会社に長くいればいいわけではなく、ちゃんとやってる人が評価されるようになればいいと思う」

(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年3月12日放送分より)