物価高などを受けた国民負担の軽減策として、国会で消費税の減税が議論されています。
世論調査では、消費税の減税に賛成する人が6割です。
■消費税減税 世論6割賛成 「財源不安」の声も 各党の消費減税案
経済対策としての現金給付、消費税減税についての世論調査です。
調査は4月19日と20日、画像右上に表示の方法で行われました。
現金給付については、『必要だと思う』が30%で、『必要だと思わない』が59%でした。
一時的な消費税の減税については、賛成が60%、反対が30%でした。
各党の消費税減税案です。
「食料品の消費税を恒久的に0%」
「あらゆる可能性を検討中」
「食料品の消費税率0%への時限的な引き下げを軸とする案」
「食料品の消費税2年間0%」
「消費税を時限的に一律5%に引き下げ」
そして、その他の党は、ご覧の通りです。
消費税の割合です。
2024年度の主な税収で、消費税は23.8兆円で約21%、所得税は約16%、法人税は約15%で、消費税は一般会計の税収の中で最も割合が高いです。
消費税の使い道です。
消費税23.8兆円のうち、約81%の19.2兆円が国の社会保障4経費(年金、医療、介護、子ども・子育て支援)に充てられています。
「急速な高齢化に伴い、社会保障給付費が大きく増加するという状況。全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置づけられているのが、消費税。これを廃止することは適当ではないと考えている」としています。
消費税減税について、賛成の声です。
「補助金をコロナの時にもらったが、生活費ですぐになくなった。継続性がある減税がいい」
「一番使うのは食費なので、食費だけでも下げてもらえれば。スーパー行くと値上がりしている。年金生活者にはきつい」
家計の可処分所得に占める食料・エネルギーの割合です。
右は年収が高く、左は年収が低い世帯です。
年収が高い上位20%の世帯では、食料・エネルギーが占める割合が27.6%に対して、年収が低い下位20%の世帯は51.2%で、所得が低くなるほど家計に占める食料・エネルギーの割合が高くなることがわかります。
消費税減税について、不安の声です。
「国民を助けるためにやった政策で、国の財政がさらに厳しくなったら、それはそれで困る」
「財源の不安はある。自分はまだ18歳で、これから社会を支えていく世代。将来、お金がどうなるのか気になる。財源はちゃんと示してほしい」
消費税減税の主な財源案です。
●国債の発行
●余剰金(予算化したが使い切らなかったお金)の活用
●外国為替資金特別会計の活用
●大企業と富裕層への行き過ぎた減税や税優遇の廃止
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■独・英で消費税減税 過去に実施 個人消費に変化■独・英で消費税減税 過去に実施 個人消費に変化
実際に消費税を減税した、海外の事例です。
ドイツです。
新型コロナで落ち込んだ景気対策として、2020年7月から2020年12月の半年間、時限的に減税しました。
消費税にあたる付加価値税を19%から16%に、軽減税率の対象となっている食料品などは、7%から5%に引き下げました。
減税の規模は約2兆4000億円で、ドイツの税収の約3%です。
減税に踏み切った背景には、ドイツ財政は2014年以降、黒字が続いていて、減税の余力がある、ということがありました。
減税による消費への影響です。
個人消費の伸びが、減税前はマイナス14%でしたが、減税後はマイナス4.5%と、マイナス幅は減少しました。
ドイツ政府の分析です。
減税期間に予定にない買い物をした割合は、子育て世帯が約21〜26%、約4世帯に1世帯で減税が子育て世帯の追加支出に影響を与えたということです。
イギリスです。
リーマンショック後の景気対策として、2008年12月から2009 年12月まで、時限的に減税を行いました。
どのくらい減税したのでしょうか。
消費税は当時の税率の17.5%から15%に引き下げ、イギリスの場合、もともと食料品に税金はかかっていません。
減税の規模は約1兆6000億円で、イギリスの歳入の約2.3%です。
税収が減ることへの対応として、たばこ税や酒税の引き上げを実施し、減税期間が終わった後も引き下げは行われませんでした。
消費への影響です。
個人消費の伸びについて、減税直後はマイナス5.1でしたが、その後マイナス幅が減少し、減税期間後には、プラス0.4%になりました。
経済効果については、減税前と比べて小売りの売上高を1%押し上げ、特に家庭用品の売上高が増加したということです。
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■物価対策 ガソリン価格10円引き下げへ 電気ガス支援も■物価対策 ガソリン価格10円引き下げへ 電気ガス支援も
石破総理が、4月22日、ガソリン価格の引き下げと電気・ガス料金への支援を表明しました。
2024年度平均の消費者物価指数は、値動きの大きい生鮮食品を除いて、前の年度より2.7%上昇、3年度連続で2%を超える物価上昇です。
世論調査では、食料品などの値上がりについて、
●「家計に大きく影響している」が42%、
●「ある程度影響している」が45%で、
あわせると「影響している」が87%となりました。
レギュラーガソリンの全国平均価格です。
4月14日時点で、前の週に比べて0.2円高い1リットルあたり186.5円でした。
2023年9月の過去最高値に並びました。
ガソリン販売価格の内訳です。
本体価格、石油税、消費税に加えて、ガソリン税が53.8円です。このうち、本来の税率が28.7円、上乗せ分である暫定税率が25.1円です。
立憲、維新、国民民主などは、この上乗せ分の暫定税率廃止を要求していて、廃止されれば、単純計算で25円安くなります。
4月22日、政府はガソリン価格などの引き下げを表明しました。
ガソリンと軽油については、1リットルあたり10円、重油や灯油は1リットルあたり5円の引き下げで、実施は5月22日からです。
そして、政府は電気・ガス料金への支援実施も表明しました。
電気とガス料金について、これからの猛暑に備えるため、7月、8月、9月の3カ月間の支援を実施します。
詳細は、5月中に決定するということです。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年4月23日放送分より)