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2025年6月17日 16:00

1人2万円現金給付と消費減税 物価高対策で経済効果は? 徹底試算で見えた問題点

2025年6月17日 16:00

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石破総理は物価高対策として、すべての国民に一律2万円を給付し、子どもと所得の低い人にはさらに2万円を上乗せし、4万円を給付する方針を決めました。

1人2万円の現金給付と、消費減税、物価高対策には、どちらが効果的なのか見ていきます。

■一律2万円給付なぜ?「バラマキではない」石破総理の本音

一律2万円給付が自民・公明の参院選の公約に盛り込まれます。

石破総理が表明しました。
国民1人あたり一律2万円給付します。
子どもと、低所得世帯の大人には2万円上乗せし、4万円給付されます。

一般的な4人家族の場合、
お父さんとお母さんにそれぞれ2万円、
子ども2人にそれぞれ4万円で、
合計12万円給付されます。

いつ給付されるのでしょうか。

7月の参院選の後に補正予算案を編成し、年内にも給付したい考えです。

給付にはマイナンバーカードにひもづいた公金受取口座を活用する考えです。

石破総理が強調したのは、
食費にかかる消費税負担額を念頭においた」
決してバラマキではない

財源は2024年度の税収の上振れ分を念頭に置いています。

現金給付は、いったんは断念した案でした。

自民・公明は4月に現金給付を検討しました。
この時の世論調査です。
「現金給付が必要だと思う」が30%。
「思わない」が59%。
世論の評価が厳しく、現金給付を見送りました。

石破総理は、現金給付を表明する2日前には、
党首討論で国民民主党・玉木代表
税収の上振れ分を国民に還元するような財政状況にはないとの認識か
と聞かれ、
石破総理は、
「現在そのような財政状況にあるとは認識をしておりません」と答えていました。
玉木代表です。
石破総理、やっぱり配るんですか。わずか2日前の党首討論で(中略)明言しておきながら、都議会議員選挙の告示日、参院選公示の 3 週間前に現金給付を発表する。矛盾している。失礼な言い方になるが、嘘つきだ」と、自身のX(エックス)に投稿しました。

世論の反応です。

朝日新聞の週末の世論調査では、
「現金給付を評価しない」が 67%、
「評価する」は 28%、
という結果でした。

なぜ石破総理は現金給付を決断したのでしょうか。

テレビ朝日政治部の千々岩官邸キャップです。
「石破総理は、本音では(現金給付を)やりたくなかったが、参院選の目玉公約を求める参院自民や公明の声にあらがえなかった。バラマキを強く否定したのは、その表れ」

■全国民に2万円の効果と問題点 過去の現金給付 8割が貯蓄に

全国民に給付が行われた場合の効果について、試算をみていきます。

野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんの試算です。

全国民に 2 万円、子どもと低所得者には4万円を給付した場合、
財源の総額は約3兆3249億円です。
経済効果は、推計8594億円
GDPを押し上げる効果は 0.14%

木内さんです。
給付金の4分の1程度は貯蓄に回り、経済効果は大きくない。一律給付は生活に余裕がある人も対象となり『バラマキ的』。物価高に苦しむ弱者への支援に絞らないため、経済効果も薄まる」

過去にはコロナ禍の経済対策で『特別定額給付金』が、
全国民に一律10万円配られました。
財政支出は約12兆7344億円でしたが、
コロナ禍における行動規制もあり、
約8割が貯蓄に回ったとみられています。

給付の実務について、千葉県の熊谷知事です。
実施するのは全国の市町村公務員。『どうせ今後も選挙の度に現金給付するんだから、国で一元的に給付作業する効率的な仕組みを作りましょう』と何度も何度も提案しているのですが、いつまでも自治体任せです」
 「全市町村の職員が説明会に駆り出され、『いついつまでに給付しろ』と言われて、まったく同じ作業をそれぞれの自治体がバラバラに行い、職員稼働と国民の税金が膨大に奪われます

■野党は消費減税を主張『食料品0%』『一律5%』『廃止』

野党は消費減税を主張しています。

石破総理は消費減税について、
決定から実施まで1年程度を要する。結果的に高所得者に手厚くなり、適切だとは考えていない」と否定的です。

野党の主張1つ目は、『食料品の消費税を0%にする』というものです。

立憲民主党は原則1年 0%、
実現までは一律2万円を給付、を掲げています。

日本維新の会は、原則2年を主張。

各党がご覧のような政策を掲げています。

野党の主張2つ目は、『消費税を一律5%にする』というものです。

国民民主党は期間を区切って、時限的に実施するとしています。

このほか、将来的に消費税を廃止するという政策を掲げている党もあります。

■消費減税 一律5%軽減の効果と問題点 下げたら上げられない?

消費税の一部を減税した場合の、効果の試算です。

食料品の消費税率を0%にした場合、
財源の総額は、約5兆円です。
経済効果は、推計2兆6130億円
GDPを押し上げる効果は、0.43%。

木内さんです。
期限を決めて減税をした場合、期限が終了する時に、『税率を元に戻す、つまり増税する』ような形となってしまい、政治的に難しい。なし崩し的に財源が確保されない、恒久減税となってしまう」

消費税を一度減税したら上げられないのでしょうか。
玉川徹さんの取材です。

立憲民主党の野田代表は、
1回決めた税金を変えられない、という国を変えなければいけない。雨が降れば傘をさす、雨がやめば傘をたたむぐらいの税財政の運営をしながらも、野放図なことはやらない」
玉川さんの取材に、国民民主党の玉木代表です。
「いま税率の上げ下げは毎回、国会を通さなければいけないが、柔軟に景気に合わせて消費税率を変えられるような枠組みを作ろうという考え例えば5%から10%の範囲で、ある程度景気調整として、何%にするかは政省令で決められる枠組みを作る」

消費税を一律5%に減税した場合の、効果の試算です。
財源の総額は、約12兆6000億円です。

経済効果は、推計6兆5580億円
GDPを押し上げる効果は、1.08%。

木内さんです。
「1年間の経済効果は大きめだが、2年目以降に効果は急速に薄れる。社会保障費の基礎的財源が失われ、中長期の経済活動にマイナス。短期的な経済効果に見合わない大きな代償を被る

(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年6月16日放送分より)