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2025年7月15日 16:00

『外国人政策』参院選争点に急浮上のワケ「外国人を優遇」は本当か?在留外国人の実態

2025年7月15日 16:00

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参議院選挙の争点として、いま、急浮上しているのが『外国人をめぐる政策』です。『外国人政策』がなぜ争点になっているのでしょうか。「外国人は優遇されている」など、ネットで広がる声の真偽についても見ていきます。

■『外国人問題』X投稿が増加 参院選争点に

ANNでは、参議院選挙について、公示日から7月12日までのXのすべての投稿を対象に、分析ツールを使って調べました。参院選の主な政策に関するワードが、どれくらい投稿されたのでしょうか。

外国人問題』に関する投稿が384万件で最も多く、
次の『消費税』に2倍以上の差をつけました。
Xでは『外国人問題』に強い関心があるようです。

ANNが7月5日と6日に行った世論調査で、外国人の受け入れをめぐる問題についてどう考えるか、尋ねたところ、
規制を強化すべき、47%
いまのままでよい、33%、
規制を緩和すべき、14%、
わからない・答えない、7%でした。

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■ネットで拡散「外国人は優遇」投稿の真意 知事らが懸念

ネットでは、日本で外国人は優遇されているのではないか、という声があがっています。

一つ目は生活保護に関する投稿です。

ネットの声
「生活保護受給世帯33%が外国人
ネットの声
「生活受給者の3分の1が外国人らしい」

生活保護の受給状況はどうなっているのでしょうか。

生活保護を受けている世帯は、全国で、約165万世帯です。
そのうち、世帯主が外国籍の家庭は、約4万7000世帯で、その割合は、全体の約2.9%です。

そのため、「生活保護の33%が外国人に支給」という情報は、デマ情報です。

2 つ目は、外国人犯罪に関する投稿です。

ネットの声
外国人が減れば、犯罪検挙数は減るのだから、外国人は出ていけとなる」
ネットの声
「日本の治安が悪化。立法・司法・行政が日本人を守らず、外国人を優遇

などの声があります。

在留外国人数と犯罪総検挙数です。
グラフの赤い線は在留外国人の数です。
2024年は、過去最高の約377万人でした。    
グラフの青い線は、外国人による犯罪の総検挙数です。    
2024年は、約2万件でした。

これまでの総検挙数をみると、日本に住んでいる外国人の数が少なかった、2000年代が最も多く、
2006年の約4万9000件をピークに減少傾向となっています。

3 つ目は、外国人留学生をめぐる投稿です。

ネットの声
外国人留学生に1000万円、支援をしているが、その前に支援しないといけない自国民がいる」
ネットの声
外国人留学生への月15万円支援など、外国人優遇を辞めればいい」

「1000万円と月15万円支援」とは、何を指しているのでしょうか。

「1000万円の支援」は文部科学省の『次世代研究者挑戦的研究プログラム』という支援制度を指しています。
この支援制度の対象は、大学院における博士課程後期の学生で、
支給額は、一人あたり年間で最大290万円、最大4年で1160万円となります。 
この支援制度は留学生だけでなく、日本の学生も対象で、2024年度は対象となった学生のうち、約6割が日本人でした。

もう一つの「月15万円支援」は、文科省の『国費外国人留学生制度』を指します。
この制度の対象は、海外の優秀な学生です。
奨学金は、毎月最大15万円。
この制度を受けている留学生は、全ての留学生のうち、わずか3%です。

選挙で広がる外国人への不満を受け、外国人の人権問題などに取り組むNGO法人8団体が、7月8日、参議院選挙で広がる排外主義に反対する緊急共同声明を発表しました。
この声明に、265団体がすでに賛同しています。

共同声明を出した団体の一つ、外国人人権法連絡会の師岡康子弁護士です。
「外国人が優遇されているなどの前提自体がデマ。外国人の権利を制限するとか排除すれば社会がよくなるというように、不満の目を外国人問題にそらしている」と指摘します。

知事らも懸念を示しています。

東京都の小池知事です。
「ヘイトスピーチなどの問題や、またこれが競い合って排他主義につながることは非常に危険
神奈川県の黒岩知事です。
「外国人の皆さんと共に生きる社会をつくっていくのは、一番基本だと思っている。それを一部排外するような動きに対して、大変な違和感をもっている
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■日本に暮らす外国人 生活実態 参院選への思い

日本に暮らす外国人の方の生活状況を見てみます。    

45歳Aさんの場合です。    
Aさんは、在日コリアン3世です。
行政書士として働いており、生まれも育ちも日本ですが、
国籍は、韓国国籍で特別永住権を持っています。

そのAさんは5年前、東京23区で、一人暮らし兼事務所として住める賃貸物件を探していたといいます。

Aさんは希望する物件を見つけ、不動産会社を訪ねましたが、賃貸契約の内容を確認した際に、

Aさんが、
「外国籍ですが契約はできますか?」と、外国籍であることを告げると
不動産の担当者は、
外国籍は、この物件は難しい」と、顔色が変わりすぐに契約を断られてしまうという経験をしたといいます。
Aさんは、参院選の状況について、
「外国籍だと選挙とかでも投票権はないし、受け身にならざるを得ない。だから言われるがまま、歯ぎしりをしながら生きていくしかない」と話しています。

続いて、30歳のBさんです。

Bさんは、バングラデシュ国籍で、製造業の工場で勤務しています。
在留歴は13年です。
Bさんは、もともと日本には留学で来日し、3年半、ITの専門学校などで学んでおり、学生の間は国民健康保険に加入していました。

卒業後に日本で就職が決まると、Bさんは「社会保険に切り替えてほしい」と、会社に願い出ました。
会社側はBさんの保険料を負担することを嫌がったといいます。
その結果、Bさんは就職後4年間、社会保険に加入できなかったといいます。

参院選に状況についてBさんは、
「外国人だって社会保険料、税金を払っている。多くの外国人は、ちゃんと制度を守っている」と訴えています。
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■参院選争点『外国人政策』各党の主張は

参院選の争点に急浮上した『外国人政策』について、各党の公約や主張です。

自民党
・外免切替や不動産所有など諸問題への厳格化
・『違法外国人ゼロ』に向けた取り組みの加速化
公明党
・社会保険料等の未納防止
・外国人の人権保護や労働者の権利性向上
立憲民主党
・人種差別等の言動を禁止する法律の制定
・在留制度全般の見直し
日本維新の会
・帰化審査の厳格化と取り消し制度創設
・外国人比率の上昇抑制
共産党
・外国人労働者に日本人と同等の権利保障
・独立した難民認定機関の設置
国民民主党
・居住目的でない住宅取得に『空室税』
・外国人旅行者への消費税免税制度見直し
れいわ新選組
・『移民政策』に反対。同時に排外的考えとは一線を画す
参政党
・行き過ぎた外国人受け入れに反対
・土地購入などの制度の厳格化
社民党
・移民・難民を排除しない
・罰則規定のある差別禁止法をつくる
日本保守党
・入管難民法の改正と運用の厳正化
・健康保険法・年金法改正(外国人を別立てに)

(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年7月14日放送分より)

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