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2025年7月17日 16:02

参院選 あふれるデマや真偽不明の情報 どうファクトチェック?プロが徹底解説

2025年7月17日 16:02

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今回の参院選では、各政党が、SNSや動画サイトで政策などを訴える『ネット選挙』が加熱しています。

ネット上には真偽不明の情報があふれていて、選挙結果への影響が懸念されています。

石破総理の発言も、誤った情報とともに切り抜かれ、拡散されました。

フェイク情報をどう確かめればいいのか、みていきます。

■ネット上のフェイク情報 半数が「正しいと思う」拡散も

ネットで真偽不明の情報を見たことがあるか聞きました。

30代の女性
政治家が暴言吐いているようなフェイクニュースを見て、言っていないんだろうけど、本当に言っているように見えて、最初は信じてしまった
50代の女性
「外国人留学生にいくらあげているとか、具体的な金額などが入っていると信じてしまう。チェックしようとも思わず、何となく信じたまま終わっている

総務省の実態調査です。

過去に見聞きしたフェイク情報について、今どう思っているかという質問に、「正しいと思う」「おそらく正しい」と答えた人が47. 7%

約半数が、今もフェイク情報を信じているという結果です。

さらに、フェイク情報に接触した人のうち、約4分の1の25.5%が、SNS上や知人などに拡散していました

国際大学の山口真一准教授によると、
「人は間違った情報であっても、繰り返し同じ情報に接することで、正しいと感じてしまったり、誤情報の可能性があると知った後も信じ続けてしまうことがある。こうした心理現象が、フェイク情報の流通・拡散に影響を与えているとの見方も」ということです。
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■切り取り動画 候補者の発言など真偽の確かめ方

真偽不明の情報は、どうチェックすればいいのでしょうか。

日本ファクトチェックセンターという、2022年に設立された、ネット上に拡散する不確かな情報のファクトチェックを行っている非営利組織に伺いました。

検証対象の選び方です。
SNS上の拡散数・表示回数などを参考に、
1、影響する人の多さ
2、影響の深刻さ
3、影響の身近さ

3指標から選定します。

日本ファクトチェックセンターがファクトチェックした真偽不明の情報、1つ目です。

7月3日に投稿された、日本テレビでの党首討論の『CM中の発言』とした切り抜き動画です。

石破総理が、
あんまりなめない方がいいですよ。今50代の人たちね」と、CM中にアナウンサーを恫喝したとする、10秒間の映像がXに投稿されました。

この投稿に対し、「CM中に素性があらわに」といった書き込みもされ、リポスト2万7000回以上、表示回数3100万回以上、と拡散されましたが、この投稿は『誤り』です。

この真偽は、どうチェックされたのでしょうか。

石破総理の発言の前後をチェックしました。

元の映像は、テレビ局の公式YouTubeチャンネルで、今も公開されていて、誰でも確認できます

実際の発言の流れは、公明党の斉藤代表が、
「いまどんどん社会保障費が必要になってきている。社会保険料と税で賄っているが、税の部分が増えてきているなか、社会保障の充実は大切」
と、発言しました。
この発言の直後に、石破総理が、
団塊ジュニア世代が高齢化するって、なめない方がいいですよ」
と、社会保障負担が一気に増えることに対して、警鐘を鳴らしたものでした。

真偽不明の情報2つ目です。

7月1日にSNS上で拡散された、小泉農水大臣の映像です。

映像とともに、
選挙期間中でもないのにシートベルトなしで箱乗り!」と投稿されました。

この投稿に対し、「ルール守れ」「牢屋行き」といった書き込みがあり、この日、リポスト1100回以上、表示回数120万回以上と拡散されましたが、この投稿も『誤り』です。

この真偽をファクトチェックセンターは、どうチェックしたのでしょうか。

グーグルの画像検索でチェックしました。

拡散した画像を検索すると、2024年10月に投稿された、同じ動画が見つかりました。

これは、2024年の衆院選の期間中に撮影されたものでした。

『箱乗り』については、道路交通法施行令では、公職選挙法の適用を受ける候補者や、その従事者が選挙カーを運転する場合、シートベルトに係る義務を免除するとしています。
なので、違反とはかぎりません。
(警視庁はテレビ朝日の取材に対し、「選挙活動など公職選挙法の適用を受ける選挙における公職の選挙者や選挙に従事するものが公職選挙法141条の規定により選挙運動のために使用する自動車の運転席や運転席以外のシートベルトは免除される」としたうえで、「東京都の規則で『車体からみだりに身体などを出すことは禁止行為にあたる』とあり、“みだりに”についての度合いは都度判断となる」としています)

真偽不明の情報3つ目、NHKのサイトで公開された演説です。

立憲民主党の候補者が、7月3日、
国会では、女性議員の数はなかなか少ない。でも私たち野党の議席は、約半分が女性」と発言しましたが、この発言は『不正確』です。

この真偽は、どうチェックされたのでしょうか。

ファクトチェックセンターは、参議院の公式サイトをチェックしました。

『議員情報』というページには、各政党の議員数が公開されていて、カッコ内に、女性議員の内訳が記載されています。

これによると、
与党は全体の議員数が140人、
このうち女性議員は25人で、
女性議員の比率は17. 9%。

野党は全体の議員数が99人、
このうち女性議員は36人で、
女性議員の比率は36. 4%で、半数ではありません

そして、衆議院も参議院同様に、女性議員の内訳が記載されています。

与党の議員220人のうち、女性議員は23人で、女性議員の比率は10. 5%。

野党の議員245人のうち、女性議員は50人で、女性議員比率は20. 4%。

国会は女性議員が少ないというのは正しい情報ですが、野党は女性が半分というのは、不正確です。

真偽不明の情報4つ目です。

7月8日に投稿された、
「夫婦別姓にしたい日本人は1%」
という情報です。
これは誤りです。

Xの投稿画面の表示回数は約200万回と、多くの人の目に触れた可能性があります。

この真偽は、どうチェックされたのでしょうか。

複数の機関による調査をチェックしました。

3月に公表された『連合』の調査では、
●「夫婦は同じ名字でも別の名字でも構わない、選択できる方がよい」と答えたのは、46. 8%。
●「夫婦は同じ名字がよい」と答えたのは、26. 6%でした。

4月に公表された『一般社団法人あすには』の調査では、
●選択的夫婦別姓制度の導入が「必要である」と答えたのは40. 3%。
●「必要でない」と答えたのは、20. 3%でした。

他にも毎日新聞の世論調査なども含め、複数の機関の調査等から、
「夫婦別姓にしたい日本人は1%」という情報は誤りだと判断しています。

真偽不明の情報5つ目です。

7月8日に投稿された、
「外国人の犯罪が不起訴だらけの現状がヤバすぎる」
という情報。

これはYouTubeで高評価が約2. 4万つくなど、複数のプラットフォームで拡散されましたが、誤りです。

この真偽はどうチェックされたのでしょうか。

法務省の統計調査をチェックしました。

2023年の起訴率は、殺人や強盗・傷害などの刑法犯全体で36. 9%。
外国人に限ると41. 1%と、起訴率は外国人の方が高くなっています。

特別法犯という銃刀法や大麻取締法、入管法など『刑法犯』以外で処罰される犯罪ですが、こちらの起訴率は全体で、45. 4%。外国人は41. 9%と、外国人のほうが低くなっています。

いずれにしても、「外国人が不起訴だらけ」という情報は、誤りだと判断しました。

山口准教授です。
「世の中の情報は、『正しい』または『間違い』の2択ではない。その情報の一部だけが間違っている、今は真偽が確認できない、など曖昧な状態の情報も多く存在しているので、真偽を判断するには注意が必要」
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■投票先どう選ぶ?自分に近い政党をマッチングでサポート

投票をサポートしてくれるサービスがあります。

このサービスの開発責任者は、木曜コメンテーターの結城東輝さんです。
『JAPAN CHOICE(ジャパン チョイス)』というもので、投票のための情報がそろう「10分で政治を知り、投票先を決めることが出来る」プラットフォームです。
2017年の開設以来、過去5回の選挙で、約400万人が利用しています。

例えば、どの政党を選べばいいのかわからない場合、『投票ナビ』というアイコンをタップすると、いくつかの質問に答えるだけで、自身の考えに近い政党をマッチングしてくれます。
「どの政党を選べば良いかわらかない」という人にオススメです。

そして、政策の違いがわからない場合、『政策を比較する』というアイコンをタップすると、各政党が打ち出す政策や公約の違いが一目でわかるようにビジュアル化されます。
気になる争点54項目を確認できます。

(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年7月17日放送分より)

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