自民党では2日、両院議員総会が行われます。
1日夕方、2人の自民党幹部が総理執務室から出てきました。
1人は木原選対委員長。もう1人は森山幹事長。大敗した参院選の総括を2日に控え、石破総理と打ち合わせをした可能性もあります。無言を貫きましたが、週末にはこんな発言をしています。
「一番大事なことは、国民の世論と、自民党の党内の世論が乖離しているとすれば、私は、これは非常に怖いことだなと思います」
2日の総括が終われば、自民党は“臨時の総裁選”を実施するかを問う党内手続きを始めることにしています。それは、事実上、石破総理に退陣を突き付けるかどうかを問うもの。そこで、森山幹事長は、報道各社の世論調査で、石破総理の辞任は『必要ない』という回答が多数となっていることを念頭に“反石破派”の動きを牽制しました。
ただ、臨時総裁選に向けた動きは、ここにきて、一気に加速する可能性が浮上しています。
総裁選を実施するには、国会議員と都道府県連代表の過半数、172人の要求が必要というのが党の規定。そのなかで、本来は、石破総理の味方である閣内からも公然と“賛成論”が噴き出しています。
現在、副大臣からは、少なくとも、小林史明氏、斎藤洋明氏、笹川博義氏、古川康氏の4人が臨時総裁選に賛成の意向を表明。大臣を補佐する政務官では、6人に上っていて、2日の総括の内容次第では、さらに広がる可能性もあります。
また、賛成の方針を固めた都道府県連は、いまの段階でも少なくとも10あり、こちらも2日以降一気に広がる可能性があります。
石破総理と近い関係にある小泉農林水産大臣は1日、こうした動きに理解を示しました。
「いま、自民党が置かれている状況というのは、衆議院でも負け、参議院でも負け、危機感を持たない方がおかしいと思う。いま、たとえ閣内にいる政務官・副大臣であったとしても、一人の議員という立場で、危機感を持った思いを表明されるのは、私は議員としては、あるべき姿勢の一つだろうと思う」
一方で、個人としての考えや、トップを務める神奈川県連の方針は明らかにしませんでした。
「これは、あす総括が行われることをよく見たいと思います。特に、私はいま、一議員という立場に加えて、自民党の神奈川県連の会長という立場です。神奈川県連の中で見ると、実は、石破政権で閣僚は5名、神奈川県からの選出です。こういった閣内にいる大臣などとも意見交換をして、最終的に県連としての立場も決めていかないといけませんので、あす以降、しっかりと対応を考えたいと思います」
一方、高知県。
石破総理を支持する党員が多い県ですが、尾崎副幹事長は、参院選で大敗した直後から“石破おろし”を掲げ、理解を呼び掛けています。
「選挙結果について、総裁一人の責任ではないということは、多くの方がおっしゃっている。しかしながら、新たに再生をしていくためにも、トップがどうであるかということについて、しっかり決着をつけなければならない。そのためには、民主的なプロセスを経て、前倒しでやっていくべきではないか」
自民党は、2日、石破総理の進退をかけた重大な局面を迎えます。
◆政治部・与党キャップの澤井尚子記者に聞きます。
(Q.すでに10の県連が総裁選の前倒しの方針を確認したほか、副大臣など閣内からも10人以上が声を上げているそうですが、いま、党内の温度感をどう見ていますか)
「そうですね。取材をしていても、前倒しを求める人たちの方が“熱量”があるように感じます。最終的にどうなるのかまだわかりませんが、徐々に前倒しを求める意見が広がっているという印象です。意外だったのは、石破総理と近いはずの閣僚経験者も『自ら辞める決断ができないなら、 堂々と前倒しを求める』と話しています。若手だけではなく、 ベテラン勢からも声が上がりつつある状況です」
(Q.その理由は、どういうところにあるのでしょうか)
「ある議員は『いまの状況自体が政治が前に進まない政治空白だ』と話していて、終止符を打つには、総裁選を行うしかないという認識でした。さらに、党執行部側の“しめつけ”が反感を買っている面もあるんです。例えば、前倒しを意見するなら、署名を書いて自ら持ってくるように求めたり、副大臣や政務官なら『先に辞表を書いて求めるのが政治の常識だ』という声が聞かれたりすることに、『上から目線すぎる』と反発の声も上がっているんです。まだ態度を決めていない議員が多いのも確かではありますが、総理周辺からは『こういった熱量に動かされて、一気に雪崩を打つ可能性がある』という警戒の声が出始めています」












