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ABEMA NEWS

2025年9月4日 12:16

自民総括で『解党的出直し』 下村博文氏「総裁選前倒しが決定する前に石破総理は自分から辞めるべき」 “保守を体現する党”の存在意義を示す道筋は

自民総括で『解党的出直し』  下村博文氏「総裁選前倒しが決定する前に石破総理は自分から辞めるべき」 “保守を体現する党”の存在意義を示す道筋は
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 自民党は9月2日、参院選の大敗についての総括を両院議員総会で取りまとめた。主な敗因として挙げられたのは、石破内閣の支持率低迷による党の基礎体力の低下や、若年層・現役世代・一部保守層の支持者の流出、また政治とカネをめぐる派閥の裏金問題で「信頼を喪失した」こと。そのほか、物価高対策の現金給付が「国民に刺さらなかった」こと、「いかなる減税にも抵抗する政党のような印象を与えた」ことが自民党離れを招いたとした。さらに、総括の最後には「わが党は党を一から作り直す覚悟で解党的出直しに取り組む」と明記した。

【映像】総裁選前倒しの考えに高市早苗氏「心にとっくに決めている」

 この総括を受け、森山幹事長、小野寺政調会長、鈴木総務会長、木原選対委員長の党四役が辞意を表明。進退は石破総理に預けるとした。そして、最も注目されるのが総理自身の進退。総会で石破総理は「地位に恋々とするものではございません。しがみつくつもりも全くございません。責任から逃れることなく、然るべき時にきちんとした決断をすることが、私が果たすべき責務であると深く思うものでございます」と述べた。

 今後、総裁選の前倒しに関する意思確認をする手続きが開始され、賛成する議員が署名・捺印した書面が党本部へ提出される。結果は、8日にも決まる見通しだ。

 参院選の責任と、解党的出直しをする自民党の今後について、『ABEMA Prime』で考えた。

■下村博文氏「総裁選の前倒しが決まる前に辞めて、改めて出るべき」

自民党参院選総括報告書「敗戦の要因」

 石破総理の進退について、かつて旧石破派「水月会」に所属していた自民党の田所嘉徳衆院議員は「敗因の責任が石破総理の政策にあるなら進退に直接繋がるが、“自民党として信頼を失っていた”のであれば、首を変えても同じようなことが起こる。そこをまずしっかりと直していくべきだ」とコメント。森山幹事長が辞意を表明したことについては、「通常国会で、少数与党が法案を作る中で非常に大きな力を発揮してきた方なので、“大変だ”という思いは強い」と語る。

 かつて安倍派に所属し文部科学大臣などを歴任した自民党前衆院議員の下村博文氏は、「総括に“石破総理責任論”が書かれていたわけではないと思う。ただ、昨年の衆議院選挙、今年6月の都議会議員選挙、参議院選挙で自民党は惨敗したわけで、組織の体質の問題もあるが、やはり長としての責任もあるだろう」と指摘。「総裁選前倒しが判断される8日より前に辞めて、改めて総裁選に出るというけじめの付け方をするべきだと思う。前倒しが決定されたら、石破さんが否認されたのと同じこと。その前に自ら辞任し、再挑戦するなら大義がある」との見方を示した。

■これまでにも用いられた『解党的出直し』、今使う意味は

 総括の最後に明記された『解党的出直し』という言葉。元TBSラジオ国会担当記者でジャーナリストの武田一顯氏は「小泉純一郎さんが『自民党をぶっ壊す』、2009年に民主党に政権を取られた時にも『解党的出直し』と言ったが、解党したことは1回もない。中の人は『変えるんだ』と言うが、そこに期待値を高めるのはあまり有益な議論ではないと思う」と苦言を呈する。

自民党の田所嘉徳衆院議員(左)、自民党前衆院議員の下村博文氏(右)

 一方、その言葉が意味するところについて、田所氏は『実績と展望』と語る。「実績については、民主党政権時に8000円を切っていた株価が今4万円を超えているし、有効求人倍率も安倍政権になって改善した。“こういう時代を作ってきた”ということを示すべきだった。展望については、DXやテレワークなどで都市と同じような生活が地方でもできる、利便性の高い新しい時代を自民党が開けるというビジョンをもっと強く主張すべきだ」。

 下村氏は『総裁選挙を通して徹底的な党の在り方からまず議論』との考えだ。「『解党的出直し』という文言は、今までの党の総括で何回もあった。他の既成政党も票を減らしたように政治状況が変わってきた中で、今までの延長線上の自民党ではもう通用しない。それを、前倒しで総裁選をすることによって、各候補はどういう自民党を作りたいのかという、これからのあるべき論を議論しながら、解党的出直しにつながっていくような発端にすべきだと思う」とした。

 総括の中には、『保守の思想を体現する党として、国民に存在意義を示していく』ともある。下村氏は「今の石破政権はリベラル的になりすぎてしまい、本来の自民党の保守的なアイデンティティが、参政党や国民民主党といった他党に流れてしまったと思っている。自民党は今年結党70年だが、共産主義や社会主義を阻止するところから始まった。その時代のまま来てしまったが、戦後80年の今どうすべきか。まさに解党的な出直しとして問われている」と答えた。

■成田修造氏「自民党の議席が減っても国民はそんなに困っていないのでは」

 これまでの議論を受け、起業家・投資家の成田修造氏は「政治や選挙のシステムが変わり、スタートアップ政党が出てきている。自民党の議席が減っても国民はそんなに困っておらず、どちらかというと政策がどう進むか、どのような意見があるかというまとまりのほうが重要な時代になっているのではないか」と投げかける。

自民党参院選総括報告書「自民離れ」

 武田氏も、「仮に石破さんが辞めたら、誰が総理になるのか。下村さんのお話を聞いていると、おそらく高市さんが念頭にあると思う。そうなった時、多党乱立が必然となった今の政治で、野党と話ができるのか。みんな不安は持っていないのか」と指摘。

 これに下村氏は「自民党の中で事実上の政権交代が行われ、与党を続けてきたわけだが、そのような“ぬえ的”な存在はもう通用しないと思う。戦後レジームから脱却して、自民党が本当の保守としてどうアイデンティティを作っていくか。今よりも少数政党になるということではなく、保守という枠組みの中で支持者を広げることは可能だと思う。単独でも過半数を取るための自民党を突き詰めていく意味で、高市さんのような人を考えている」と返す。

 さらに、武田氏が「安倍政権への回帰にならないか」と追及すると、「回帰だが、安倍政権では戦後レジームから脱却できなかったわけだ。ただ今回、アメリカでトランプ大統領が誕生したことをきっかけに、日本も“自分の国は自分で守る”、あるいは内需の拡大が求められている。安倍政権でできなかった時代をどう作っていくかが、自民党が支持されるかどうかにつながっていくと思う」と述べた。(『ABEMA Prime』より)

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