政治

ABEMA NEWS

2025年9月8日 06:01

石破総理が辞任“総裁選前倒し”の決議がトリガーに 担当記者「自民党が分断される危機感をみんなが持っていた」

石破総理が辞任“総裁選前倒し”の決議がトリガーに 担当記者「自民党が分断される危機感をみんなが持っていた」
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 石破茂総理が7日、緊急の記者会見を開き辞任を表明した。昨年の衆議院選挙、今年の参議院選挙と国政選挙に続けて敗北し、その責任を問う声が党内外から出ていた中、このタイミングでの辞任表明は、アメリカとの関税交渉が「一区切りついた」とし、今後行われる自民党総裁選については「出馬しない」と後進に託す意向も明かした。テレビ朝日・澤井尚子記者は、総裁選前倒しによって「党が割れる」危機を回避したこと、さらに総裁選で再出馬しても厳しい戦いになることを見越し、今回の辞任表明に至ったのではと分析した。

【映像】主な“ポスト石破”顔触れ

―このタイミングでの辞任はなぜか。

 澤井 石破総理は「しかるべきタイミングでは辞任する」と匂わせていたが、それが今日だった。トランプ関税協議に1つの区切りがついた、今こそしかるべきタイミングと言っていたが、まだやり遂げなければならないことがある苦渋の決断だったとも言っているように、最後まで続投には強い意欲を示していて(8日の)総裁選前倒しに賛成するかどうかの署名提出(期限)を前に追い込まれた形だ。

―具体的にいつ辞任を決めたのか。

 澤井 自民党幹部から聞いた話では、6日の午前中に石破総理から電話がかかってきて、総裁選前倒しにどれくらい賛成に回るかと聞いてきたそうだ。賛成が少し上回るぐらいであれば、自ら打って出てまた再戦をすると考えていたようだが、それが難しかった。とどめを刺したのは、後ろ盾になっていた菅元総理や小泉農水大臣との(6日の)面会だ。周辺によると、菅元総理が決断を迫り、再出馬しないように話したそうだ。菅元総理は30分ほどで公邸を後にしたが、小泉大臣は2時間ほど残った。そこで「党を割ってはいけない」ということを話して、8日を前に決断するように小泉農水大臣も促したということのようだ。

―総裁選前倒しに向けた手続きが「党を割る」行為になったのか。

 澤井 執行部側が、すごく厳しい手法にしてしまった。署名捺印したものを原則本人が党本部に持ってくるように、しかもその名前は公表するという条件で、出したか出さないかが明らかになる。石破総理に続けてほしいのか、続けてほしくないのかとほぼ同義なので、自民党が分断されてしまうという危機感をみんなが持っていた。

―新総裁が誕生した際には一旦、国民の信を問うとして、衆議院を解散して選挙を行うことが多かったが、今回はどうなるか。

 澤井 全く思わない。確かにこれまでの総裁選は、ある意味キャンペーンのように毎日(メディアに)取り上げられるし、その度に自民党の支持率は上がっていた。だが石破総理の時はそこで失敗した。しかも今、参政党や国民民主党が伸びている中、選挙したら惨敗する。(衆議院も任期が)まだ3年あり、3年後に参議院とのダブル選挙になるかもしれない。要は今度の総裁は途中からなので任期が2年で、もしかしたら選挙をしない総裁になるかもしれない。

―選挙をしなければ、衆参両院で自民党は過半数を持たないまま。野党がまとまれば自民党の予算も法案も通らない。何か動く必要があるのではないか。

 澤井 石破総理は通常国会を乗り切って予算を成立させたことはすごく評価をしていい面だが、予算面でかなり(野党に)譲った。そんなことを次の通常国会でもやったら、財政が大変なことになる。安定した政権基盤を作るために、政策ごとに連携するのではなく、もっと強い枠組みを作りたいというのが多くの自民党議員の考え方だ。野党からは「石破さんとは組めない」と言われてしまっていたのが、石破おろしをしている人の大半の考えだったと思う。

―今後、自民党・公明党と手を組むような野党は出てくるのか。

 澤井 まさにポスト石破候補が誰になるかとセットの話だ。高市早苗さん、小林鷹之さんあたりは保守系、おそらく国民民主党と親和性がいいだろうと言われている。また茂木敏充さんも国民民主党と近い。小泉進次郎さんは日本維新の会と近いし、林芳正さんは割と誰とでもうまくやれると思う。

―石破総理の辞任表明を受けて、今後の政治日程の中で押さえるべきポイントは。

 澤井 やはり補正予算案の成立がどうなるかだ。自公政権は物価高対策として給付金一律2万円プラス、子どもや低所得者世帯に4万円をやりたいと言っている。もう石破総理ではないので、変更を迫られるとは思うが、それをどこかの野党と協力して成立させることができるのか。それとも、人によっては減税の方針に舵を切るかもしれない。いずれにしても経済対策が必要なので、それをどのように年内に成立させることがポイントだ。 (ABEMA/ニュース解説)

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