石破茂総理大臣(68)の辞任で、自民党総裁選に向けた動きが活発化しています。「ポスト石破」の本命は一体誰なのか?政治部記者が解説します。
小泉氏、高市氏ら候補「5人」か
「まさか、きのう石破総理大臣が辞められるという、総裁を辞任するという話になるとは思ってもみなかったんですけど。どうせ言うなら、もう少し早くから言ってくれればよかったのにと」
そんな“ぼやき”も出てくる石破総理大臣の辞任表明。
一夜明け、“ポスト石破”レースの号砲が鳴りました。総裁選への立候補には国会議員20人の推薦が必要になります。現時点で“ポスト石破”候補は…。
「自民党内で名前が挙がっているのは、いずれも前回の総裁選に出馬した、高市氏、小泉氏、林氏、小林氏、茂木氏の5人です」
そんななか、いち早く“ポスト石破”に名乗りを上げたのは、この人でした。
「今回の自民党総裁選に出馬をする」
前回の総裁選で、9人の候補者のうち6位だった茂木前幹事長。これまで外務大臣や経済再生担当大臣を歴任してきました。
「これまで党や政府で様々な経験をさせていただいた私のすべてをこの国に捧げたい。その役割を私に担わせていただきたい」
この人には、若手議員から出馬を求める声が上がっています。去年の総裁選で5位だった、小林鷹之元経済安保担当大臣(50)。
「(Q.今回の総裁選への出馬意欲は?)ワン自民としてしっかりとまとまれるような。そういう体制を作ることが急務だと私自身思っています。そうした流れのなかで、党所属国会議員の一人として、自分自身に何ができるのかということにつきましては、また仲間としっかりと相談をしていきたいと」
この5人のなかで、石破内閣の閣僚を務めるのは小泉進次郎農水大臣(44)と林芳正官房長官(64)です。8日朝、石破総理からは、こんな“注文”が…。
「閣僚であって、それぞれの担務の責任を持つ以上は、総裁選挙に出馬されることによってそれぞれの所掌分野の遂行に、いささかも停滞があってはならない」
8日の会見で、林官房長官は…。
「(Q.出馬の意欲は?)この記者会見は、政府のスポークスマンとしての官房長官の立場で臨んでいるものでございまして…」
いつも通りの回答ですが、旧岸田派の関係者によりますと、出馬の意向を固め周囲に伝えたということです。
「政策の継続性や安定感でいけば、林長官が一番いい」
この人は、どうするのでしょうか?
「(石破総理の)党の分裂を招いてはならないとの判断に敬意を表したい。私は石破内閣の一員として、今は大臣の職責を果たしたい」
「(Q.総裁選に出馬する意思は?)石破総理が退任を表明された直後ですから、私としてとにかく総理のこの1年間の苦労に対して敬意と、農政改革を支えていただいたこと、感謝の気持ちでいっぱいですので。あとは、これから今まで私はとにかく党の分裂が修復するように一致結束をできる環境を作るのが大事だと、そういったお話を申し上げてきましたので、党の一致結束に対して自分が何ができるのか。これを考えて、今後判断したいと思います」
「(Q.自分が立つことが党の一致結束になるとの考えは?)何ができるか、よく考えたいと思います」
出馬に意欲があるとみられる小泉大臣。前回の総裁選で支援したメンバーを中心に、水面下で動き始めています。
そして、前回2位だった高市早苗前経済安保担当大臣(64)も、出馬に向けた準備を始めているとみられます。
“本命”小泉氏・高市氏の強みは?
では、新たな総理・総裁に求められるものとは何なのでしょうか?
「今回の総裁選のポイントは2つ。自民党をゼロから立て直す、つまり刷新ができる人なのか。また、野党との連立など安定政権を作ることができる人なのかです。刷新という意味では、世代交代となる小泉氏や小林氏を推す声が多いですが、連立協議の点では、どの野党とも関係の良いのは林氏です。維新と近いのは小泉氏で、国民民主と近いのは高市氏、茂木氏とみられています」
さらに、総裁選の「方法」が行方を左右するといいます。2つあるうち、今回は党員の声がより広く反映される「フルスペック型」で実施される見込みです。
「フルスペック型に決まれば、有利なのは党員に人気のある高市氏・小泉氏の2人だが、1回目の投票ではだれも過半数に届かず、決選投票でこの2人が一騎打ちとなる可能性が高いと思います。高市陣営の1人は、『高市さんは女性版・安倍晋三だ』として、『岩盤保守層の支持を取り返せるのは高市さんしかいない』と話します。ただ、いわゆる“飲みニュケーション”をしないなど、付き合いがあまり良くないことも影響してか、国会議員票での広がりがないのがネックです。小泉陣営からは『党員票では高市さんにはかなわないが決選投票では林さんや小林さんの陣営から票がもらえるのでは』といった期待の声が出ています」
ちなみに…。
「総裁選挙に出馬いたしません」
石破総理は、誰を支援するのでしょうか…?
「石破総理自身が誰に政権を引き継ぎたいのかというと、実は、小泉氏というよりも政権の中枢で一緒に政策を進めてきて歴史観なども共有できる林官房長官を推したい考えか」
自民党は9日、総務会と選挙管理委員会を開いて総裁選の日程などを正式に決定する見通しです。