7日、石破総理が辞任の意向を表明し、“ポスト石破”レースが、自民党内で熱を帯びてきている。今回の自民党の総裁選は9月22日に告示、10月4日に投開票が行われる。
全国民が投票するわけではないが、自身の意見や政策を短い選挙期間で党員や議員に訴えかけるため、最近はSNS戦略も重要となってきている。
事実、今回総裁選出馬を表明したり出馬が見込まれたりしている5人は、前回の総裁選でSNSを活用。中でも高市氏は積極的に活用し、ビジネスインサイダージャパンによると、告示してからの期間の視聴数は400万回再生に。その効果もあってか、総裁選の1回目の投票では、一番多く票を獲得した。
SNS戦略と言えば自身の活動や政策の発信だが、合わせて自身の人となりも発信している。
政界屈指の音楽家として知られる林芳正氏は、指揮をする様子やピアノ演奏を投稿。高校時代に野球に熱中していた小泉進次郎氏は、地元・神奈川県の聖光学院を訪問する様子を公開したり、音声コンテンツのPodcastで「いまさら聞けない政治の疑問」に答えたりしている。
神輿渡御が趣味の小林鷹之氏は、神輿を担ぐ自身の姿を投稿した。高市早苗氏は地元の奈良トヨタで、リストアした愛車のスープラを運転。茂木氏は特に若者に人気のSNS「TikTok」でも発信しており「日本を変える・茂木としみつのスゴかわいい」と題し、政治の話題からクイズ・雑談まで幅広く話し投稿している。
多様化するSNS展開について、ニュース番組『ABEMAヒルズ』コメンテーターで、『The HEADLINE』編集長の石田健氏と考える。
キーワードは「安定した“ネット地盤”」?

SNS展開の重要性について、石田氏は以下のように語る。
「自民党の総裁選に関しては党員と議員、2つが軸になる。彼らにどのように見せるかという話もあれば、次の選挙で誰が顔になって戦えるか、世論が候補をどう見ているかの参考材料として重要になる」(石田健氏、以下同)
「ただバズればいい、ただヒットコンテンツがあればいいという見方をしているというよりは、安定した“ネット地盤”としてインターネット上で安定した顧客を抱えているかが今回のポイントになると思う」
前回の総裁選と今回とでSNS戦略に変化はあるのだろうか。
「まず抑えておきたいのは、前回の総裁選で勝った石破氏は特にSNSを頑張っていなかった。したがって、『SNSを頑張ったら総裁選に勝てる』は幻想だろう。従来のように党員、議員に電話をかけて支持を固める、推薦人を集めるシンプルな戦い方が大事だ」
「もう1点、SNSは今や若い世代だけでなく全世代が見るもの。特に中高年あるいは高齢層の方がSNSを見て、投票行動を変えているのではないかと言われている。参政党は強い発信が注目されがちだが、実は神谷氏は10年以上前からSNSを通じてコツコツとネット地盤をかき集めていた。したがって、この1年だけでネット地盤を集めた人はまだ強くなく、ここから5年、10年と育てていけるかの方がより重要なポイントになるだろう」
今回のSNS戦略 重要ポイントは?

では今回の総裁選でのSNS戦略では、何が重要になるのだろうか。石田氏は「党員票でどこまで伸ばせるかが、各候補にとって焦点になる」と述べる。
「党員票は全国に散らばっている。小泉氏の国会議員票については、政治資金の党内の役職に就き議員たちから『よくやってくれた』という評価があったと聞く。党員票に関しては、コメ問題で農林水産省大臣として全国の地方を回ったことが、今回の投票につながってくる可能性はある。一方、高市氏もこの1年、全国を回り党員票を固めに行った。改めて全国の党員からの支持を集める、地方で支持をされることにかなり注力したと聞いている。したがって、議員票はある程度固めやすいが党員票でどこまで伸ばせるかが各候補にとっても焦点になると思う」
(『ABEMAヒルズ』より)