少数与党となった自民党だが、新総裁はどの野党とどのような連携をするのだろうか。有力候補の日本維新の会の動向に注目が集まっている。
「ポスト石破」有力議員と野党の関係
まずは、日本維新の会が置かれた現状について見ていく。
去年10月の衆院選では自公が大きく議席を減らすなか、維新も公示前の44議席から6議席減らして38議席に。議席減を受け、馬場伸幸代表の責任を問う形で代表選が行われ、吉村洋文代表が選出され、前原誠司共同代表を起用した。
そして今年7月の参院選では、自民党が惨敗し、石破総理も辞任することになったが、維新は6議席から1議席増やし、7議席を獲得。しかし、比例代表の得票が減少。先月8日、前原共同代表らが辞任し、藤田文武共同代表を選出した。
そんな維新は、自民党とどう向き合うのだろうか。ポスト石破有力議員との関係を見ていく。
小泉進次郎氏は維新との関係を継承するとして、菅義偉元総理が築いた関係性を引き継ぎ、吉村代表と良好な関係を築いている。
林芳正氏は維新と複数のパイプをもつということで、馬場前代表や遠藤敬国会対策委員長と親密な関係がある。
茂木敏充氏は幹事長時代に維新とのつながりがあり、藤田共同代表とは法案を議論した仲と発言している。
高市早苗氏や小林鷹之氏は保守系で、国民民主と親和性があるとされている。
どうなる「副首都構想」
では維新は、どのような政策を求めているのだろうか。
参院選の公約にも入れるなど維新側が重要視しているのが「副首都構想」で、連立の条件になるのではともいわれている。
6日、維新の吉村代表は「(副首都構想に)賛同してくれる政党とはしっかり議論したい。(対象には)自民党も入る」と話した。
副首都構想とは、災害時などに首都圏機能を代替し、東京に次ぐ経済力を持った都市圏をつくる構想。今月中に副首都法案の骨格をまとめ、賛同なら与野党を問わず協議したいとしている。
しかし、執行部に対する不満の声もある。
8日、斉木武志衆院議員が「副首都構想は連立のバーター(取引材料)ではない」として、斉木議員ら3議員が離党届を提出した。
注目される公明党との関係
仮に連立拡大となった場合、注目されるのが公明党との関係だ。
日本維新の会と公明党とは選挙区で対立しているが、元々は大阪都構想の実現に向けて協力関係にあり、大阪で長く共存していた。
しかし2023年、維新は大阪府と大阪市の両議会で初めて過半数を獲得。公明党の協力は不要になった。そのため、共存から全面対決へ移行。2024年の衆院選では、維新はそれまで候補擁立を見送ってきた関西6選挙区で候補者を擁立、公明党と全面対決した。
維新は兵庫県内の2選挙区では敗北したが、大阪府内の4選挙区では全勝した。
総理大臣指名選挙 今回も自民党は衆参で少数与党
自民党総裁選が迫るなか、もうひとつ注目を集めているのが総理指名選挙だ。
来月4日の自民党総裁決定後に石破内閣は総辞職し、臨時国会が開かれ衆参両院で総理大臣指名選挙が行われる。
総理指名選挙は、衆参両院で議員が1人の名前を書き、投票総数の過半数を得た人が指名されるが、去年11月の総理指名選挙では与党が少数の衆議院では決選投票の末、石破茂氏が選出された。
結果は、石破氏221票、立憲・野田佳彦氏160票で、無効票は84票あった。維新など多くの党派が無効扱いとなる自分たちの代表の名前を書いたとみられる。
無効票84票が野田氏でまとまっていれば、政権交代もあり得た。
今回も自民党は衆参で少数与党のため、どうなるのか注目されている。