告示まで1週間を切った自民党総裁選。“ポスト石破”を狙う候補たちの動きが、活発になってきました。
小泉農水大臣は16日、出馬の意向を表明。夜、地元・神奈川で、いまの状況は、2009年に政権の座を明け渡したときよりも、厳しいと訴えました。
「もう一回、我々が原点を思い返して、もう一回、多くの国民の皆さんの信頼を勝ち得ることができるようなスタートにしなければならない思いで、これから一生懸命、私なりに努力していきたい」
どのような努力をするのか。午前中の会見では、こんなことを言っています。
「党が1つにならなければいけない。そのときに、しっかりと皆がまとまれる。そういった環境作りをする。そういう総裁を選び、野党と向き合い課題を前に進めていく」
ただ、まとまりを優先すれば、党内で意見の分かれるような政策に踏み込めなくなる可能性も出てきます。
足元では、すでに、その予兆のような動きがあります。
前回の総裁選で、9人中最下位に終わった加藤財務大臣。今回は、小泉氏の陣営に入り、選挙対策本部長をつとめることになりました。両者は、安倍政権と菅政権を閣僚として支えた間柄で、通ずるものもありそうです。
しかし、去年の総裁選では、選択的夫婦別姓をめぐり、正反対の考えを示していました。加えて、加藤氏は、保守系の議員連盟『創生日本』のメンバー。“リベラル寄り”ともみられる小泉氏とは、価値観が異なる可能性もあります。
その加藤氏を陣営に引き込んだ狙いは。
「前回の反省も踏まえて、年代と左右のウイングで、幅広い人に入ってもらうことにした」
加藤氏を通じて、保守層の引き寄せを図ろうということ。それは、選択的夫婦別姓をはじめ、党を二分する政策に手を付けられなくなることと紙一重です。
「まずは、自民党が置かれている状況は、大変厳しい状況にあります。党内が1つにならずして、野党の皆さんのご協力も得られる環境にはありませんので、大きなことを言うよりも、まず党内がしっかりとまとまること。そして、皆が1つになれる。そういった環境を作れるかどうかが、私は今回は非常に重要なことだと思っています」
3度目の挑戦となる林官房長官。退陣する石破総理を支えた官房長官の立場での出馬です。
「任期途中で降任ということになりましたことを申し訳ない思いでいっぱいでございます。後を引き継いで、しっかりやってまいりたい」
岸田政権でも官房長官だった林氏は、2つの政権の路線を継承すると強調しました。石破政権の閣僚からは、16日、中谷防衛大臣が支持を表明しています。
「前回、宏池会(旧岸田派)の皆さまを中心に戦わせていただきました。1年間でいろんなご縁も深まって、元々の宏池会の皆さま以外の方からも、いろんなご支援の声もいただいています」
石破政権では無役を貫いた小林鷹之元経済安保担当大臣も、出馬会見を行いました。
「今回の総裁選、解党的出直しとはいうけれども、今もなお、古い自民党の姿が見え隠れする。これだと自民党は変わらない」
保守層を強く意識したような言葉も、随所にみられました。
「私は日本が大好き。そして、3つの未来像がある。“力強く成長するニッポン”“自らの手で守り抜く日本”、そして“結束するニッポン”」
このうち“力強く成長するニッポン”に関しては、若者・現役世代に向けた所得税の定率減税を打ち出しています。
先陣を切って立候補を表明した茂木前幹事長は、都内のスーパーを視察。見たかったのは物価高の現場です。一通り、店内をめぐると、いくつかの食材を購入しました。
「マッシュルームなんかも高かったなと感じるし、玉ねぎも中国産と国産で、1袋というか、4個くらいで、198円と298円、値段が違う。こんな風に感じた」
今週後半に出馬を表明する見通しの高市早苗前経済安保担当大臣は、国会内で秘書約40人を集めた会合に出席。参加者によりますと「自民党は厳しい状況にあるが、私が再生させたい。保守をしっかり取り戻さないといけない」などと述べたとういことです。