政治

ABEMA NEWS

2025年9月18日 10:01

自民党員「親しみやすさが足りない」の指摘も 茂木前幹事長「『としみつ』と呼ばれても、それで気分を悪くするようなことは決してない」 総裁選“党再生の一手”は

自民党員「親しみやすさが足りない」の指摘も 茂木前幹事長「『としみつ』と呼ばれても、それで気分を悪くするようなことは決してない」 総裁選“党再生の一手”は
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 投開票を10月4日に控える自民党総裁選。茂木敏充前幹事長、小泉進次郎農水大臣、小林鷹之元経済安保担当大臣、林芳正官房長官が相次いで出馬を表明し、高市早苗前経済安保担当大臣も今週後半に出馬会見を行う予定となっている。

【映像】1993年、初当選時の若々しい茂木氏

 その中で、真っ先に手を挙げたのが茂木氏だ。当選回数11回のベテラン議員で、1993年に日本新党から出馬した衆議院選挙で初当選し、政治家人生をスタート。1995年に現在の自民党へ入党すると、その後も順調にキャリアを積み、第2次安倍内閣では経済産業大臣に就任。さらには、経済再生担当大臣、外務大臣も務めあげ、日米貿易協定ではトランプ大統領から「タフ・ネゴシエーター(手ごわい交渉相手)」と評価された。また、幹事長として当時の岸田総理を支え、長年にわたり重要なポストを担ってきた。

 初出馬した去年の総裁選で、現在の石破総裁に敗れた茂木氏は、今何を見据えているのか。『ABEMA Prime』で本人に聞いた。

■茂木氏に聞く“10の質問”

 最近はYouTubeでの発信したり、地元・栃木県の祭りに駆けつけて焼きそばを焼くなど、親しみやすさをアピール。出馬表明会見では「自民党・日本経済を必ず再生の軌道に戻す」と意気込みを語った茂木氏に、10の質問をぶつけてみた。

Q1.料理自慢とのことだが、コメは最近いくらで購入?  5kg4200円ぐらい。

Q2.最近の買い物で「高いな」と一番感じた商品は?  キャベツ。焼きそば作るのに必要だが、半玉で400円以上した。

Q3.やめられない、止まらない、定期的に買っているものは?  買っているというか、ドラマを見たりするので「Netflix」はやめられない。

Q4.高校生のお小遣い「5415円(※スタディサプリ進路「お小遣い実態調査2025」より)」は高い?低い?  感覚的に若干高いという感じはするが、今いろんなものの値段が上がっているので、それぐらいなのかなという気もする。

茂木敏充前幹事長の経歴

Q5.総理大臣の報酬「4000万円」は高い?低い?  諸外国の首脳や日本の大企業の社長と比べると低いと思うが、報酬の高い・安いで総理大臣をやるものではないと思っている。

Q6.外交公務であればファーストクラスは当然?  当然ということはないが、ヨーロッパやアメリカなど十数時間のフライトで、降りてすぐに階段などがある点では必要だと思う。ただ、アジアなどはファーストクラスが無い便もあるので、そういう時はビジネスで行く。

Q7.新NISAはやっている?  株式投資はしているが、新NISAは使っていない。

Q8.これまでの最大の寄付額は?どこに?  この20年ぐらい、アジアの子どもたちに学校を贈るというプロジェクトをやっていて、それが一番大きいと思う。

Q9.これまでで一番の投資と、そのリターンで何を得た?  シンプルにジム。得たものは健康。

Q10.死ぬまでにお金は使い切る?家族にいくら残す?  いくらかわからないが、多少残す。そう言わないと、妻との関係が険悪になる(笑)。

■「今の自民党は、大会社が急速に業績悪化した倒産寸前の状態」

 茂木氏は10日の出馬会見で、「次の世代にしっかりとバトンを渡せる政治を作る。その目標は2年」とも明言した。「日本経済も自民党も悠長にやっていられない。再生の道筋をつける1つの区切りとして、2年と言わせてもらった」とした上で、「若い年代は、今回名乗りをあげている小泉進次郎さんや小林鷹之さん、それ以外にもたくさんいる。おそらく今の自民党は、結党以来の危機的な状況で、会社で言えば大会社が急速に業績悪化した倒産寸前の状態。これまで、党でも政府でもいろいろな役職を経験させていただいたので、その全てをこの国のために捧げたい」と話す。

総裁選出馬が取り沙汰される5人

 総裁になった場合の人事については「今言う立場にはない」と発言するに留めつつ、「思い切って若手を抜擢するし、実行力のあるベストチームを作っていく。党に分断があり、挙党態勢でやっていく必要がある中でのバランスもあるが、年功序列の人事はせず、真の意味での適材適所にしていきたい」と述べた。

 “解党的出直し”が求められる中で、すでに良い人材がいるのであれば今託せばいいのではないか。その問いには、「おっしゃる意味はよくわかる。ただ、いろいろな役職を経験してきた中で、大きな責任も背負っている。逆境で相当批判もされると思うからこそ、これまでの経験を生かしたい。若手が前面に出ることを否定するものではなく、批判の矢面に立つ気持ちだ」と答えた。

 前回の総裁選は、1回目の投票で47票となり9人中6位の結果に終わった。今回の総裁選は、国会議員票と党員票を合計する「フルスペック型」で行われ、党員票を獲得することも重要となる。茂木氏は「いろんなチャンネルを通じて、自分の考えや危機感、政策をしっかりと訴えていきたい。前回は幹事長の立場で、“政治とカネ”問題の前面に立ち、批判を受けることは覚悟していた。“前回は前回、今回は今回”という気持ちで臨みたい」とした。

■茂木氏推しの自民党員「親しみやすさが足りない」

 茂木氏を推す自民党員からは、「実務経験から現在の国内外の難局を乗りきれるのは茂木さんしかいない!」という絶賛の声があがる一方で、「SNSなどを中心に親しみやすさを前面に出す部分が足りないと強く感じる。国家ビジョンを明確かつ単純明快に示していき、共感してくれる議員・党員を増やしていくことが必要」との意見も寄せられている。

前回総裁選の投票結果(1回目)

 これに茂木氏は「近くにいると、『としみつ』と平気で呼ばれるが、そのようなことで気分が悪くなることは決してない。そういう素を伝えるのがうまくないというか、意外とシャイな部分がある」との認識を示す。

 また、SNS戦略についてはTikTokも活用しているというが、「自分なりにいいなと思ったものは回らない一方で、なんでもないクイズに答えただけのものが100万回再生されたりする。『何でこれが?』という難しさは感じる」と明かした。

■「日本経済を必ず再生の軌道に戻す」 その政策は

 茂木氏が政策として掲げているのが、「生活支援特別地方交付金」。各地方が地域ごとの課題・ニーズに応じて自由に活用できるもので、参院選公約の一律給付に代わる物価高対策に位置づけている。物価高を上回る賃上げ定着(2年以内)まで交付し、数兆円規模の予算財源は税収努力で賄うとしている。

「現金給付は貯蓄に回ってしまって効果は薄いし、参院選でも決して評価は高くなかった。それよりも、今の物価高に効果的な対策ということで、こうした新しい交付金を作っていく。例えば、商店街がある地域ではプレミアム付き商品券を配布するといったことがあるだろうし、財政的に厳しい地域では小学校の給食無償化の財源として使ってもらうこともあるだろう。それぞれの地域の方々のニーズを一番知っている所に判断してもらうということだ」

茂木候補の経済政策

 では、参院選の争点ともなった「消費税減税」はどう捉えているのか。「消費税減税は、明日からできるというものではない。システム改修なども考えると1年半先で、そうなると残念ながら今の物価高には効かない。その上で連立を組むとなると、相手に要望・優先順位があり、自民党・政府としてもできること・できないことがある中で、まさに外交交渉と一緒だ。どっちかが全て取るのではなく、Win-Winになるような形で、政権運営もできること。さらに言うと、借金を作って次の世代に背負わせるということはしたくない」との考えを示す。

 最後に、再生の軌道に戻すという「日本経済」についても聞いた。「基本的には、やはり投資。新しい技術や設備、人への投資が必要だと思っている。物価高を上回る賃上げは極めて重要だが、企業は儲かっていないのに賃上げを続けることはできない。まずは成長分野への投資を拡大することによって、経済が成長して企業の収益が上がる。それで持続的な賃上げが可能になれば、安心して消費を拡大することができる。消費が拡大すれば、また経済が成長し、新しい産業が生まれて、さらに投資がつぎ込まれる。こういう好循環を作っていく。賃上げは結果としてついてくるもので、そのために必要なのは投資だ」。(『ABEMA Prime』より)

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