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2025年9月22日 18:00

自民党総裁選 きょう告示 “石破票”争奪戦も カギ握る“キングメーカー”の動向は?

自民党総裁選 きょう告示 “石破票”争奪戦も カギ握る“キングメーカー”の動向は?
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 自民党の総裁選は、22日午前、届け出が締め切られ、午後1時から5人の候補者による演説会が行われた。物価高対策や野党との連携、石破政権の路線継承などを争点に12日間の選挙戦がスタートした。

総裁選 5候補 出馬会見での主張

 総裁選立候補者は正式に5人に決まった。それぞれの主張をみていく。

 まず元経済安保担当大臣・小林鷹之氏(50)は「世代交代が必要。その先頭に立つ」としており、若手・中堅から幅広く支持を受けている。

 前幹事長・茂木敏充氏(69)は「自民党と日本経済を再生の軌道に戻す」として、政府や党で要職を務めるなど豊富な経験を打ち出している。

 官房長官・林芳正氏(64)は「夢と希望と誇りを持てる日本の未来を創造」するとして、岸田政権以降、官房長官として支えるなど安定感を打ち出している。

 前経済安保担当大臣・高市早苗氏(64)は「日本の国力を強くする」としており、保守派からの支持が厚く前回総裁選では1回目の投票で1位となった。

 農水大臣・小泉進次郎氏(44)は「安心と安全を実現する政党に立て直す」としており、発信力に加え令和のコメ騒動に取り組んだ実行力をアピールしている。

カラー封印で支持拡大狙う

 5人全員が前回も出馬した候補だが、掲げる公約には変化がみられる。

カラー封印で支持拡大狙う

 例えば小泉氏は、前回掲げた「選択的夫婦別姓の導入」や「解雇規制の見直し」については今回の公約に盛り込まなかった。その理由として、意見が割れているテーマを主要政策から外すことで、党内をまとまりやすくする狙いがあるとみられている。

 また、高市氏は前回主張していた総理在任中の靖国参拝について今回は明言しないなど持論を封印している。これについては朝日新聞によると、高市氏と近いあるベテラン議員が「今回は本命候補のため、極端な言い回しを控える戦略だ」と明かしている。

熾烈な“石破票”争奪戦も

 そして、前回石破氏が獲得した“石破票”の行方に関心が集まっている。

石破表 争奪戦

 前回の総裁選の1回目の投票では、高市氏が議員票72、党員票109でトップとなり、石破氏は議員票46、党員票108で2位だった。ただ議員票について、自民党が去年の衆院選と参院選で大敗し、国会議員数は前回から73人減っている。なかでも最大派閥だった旧安倍派は約4割減るなど、党内勢力に変化が生じているといい、いわゆる“石破票”の行方が注目されている。

 では、石破総理はどの候補を支持しているのか?朝日新聞によると、総理は「全く路線が違う人は支持できない。何より人柄がいいのが林官房長官、華があるのは小泉農水大臣だ」と周囲に話しているという。

小泉氏、高市氏

 こうしたことも影響してか、小泉氏は17日に総理と面会後、「地方経済、防災庁、農政といったものはしっかりと引き継いで、巻き戻らないように進めたい」と石破路線の継承を強調した。

 また、高市氏は前回の総裁選で石破氏肝いりの防災庁新設について反対していたが、今回の出馬会見では一転、防災庁を「否定しない」と発言するなど主張を変えている点も注目されている。

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“キングメーカー”が動かした自民党総裁選

前回の総裁選決選投票では…
前回の総裁選決選投票では…

 候補者が出そろうなか、“キングメーカー”と言われる総理経験者の動向も注目されている。
現在、自民党の“キングメーカー”と言われているのが、麻生太郎最高顧問(85)菅義偉副総裁(76)岸田文雄前総理(68)だ。

 そもそも麻生氏は第2次安倍政権以降、党内の主流派で“キングメーカー”とも呼ばれてきた。ただ、前回の総裁選の決選投票では、麻生氏が高市氏を支持したのに対し、菅氏と岸田氏は石破氏を支持し、石破氏勝利を決定付けた。このことなどから、菅氏と岸田氏も“キングメーカー”と呼ばれている。

3人の“キングメーカー”の動向は

 では今回、この3人の動向はどうなるのか?

今回“キングメーカー”の動向は

 まずは石破おろしを後押しした麻生最高顧問。いわずと知れた党内唯一の派閥「麻生派」の領袖(りょうしゅう)であり、石破総理退陣を巡っては「総裁選の前倒しを要求する」と明言するなど石破総理にプレッシャーをかけてきた存在でもある。ただ、今回は誰を支持するか明言していない。

 そんな麻生氏は18日、高市氏と約15分間面会し「明るく元気に頑張れ」と激励したという。また、同じ日に小泉氏とも面会しており、そちらは倍の約30分間だった。関係者によると、麻生氏は小泉氏に「俺だったらお前の年で『火中の栗』は拾わねぇな。頑張れ」と激励したという。

菅義偉副総裁、岸田文雄前総理

 続いて、石破総理に直接退陣を進言したという菅副総裁。石破総理の辞任会見前日、小泉氏とともに石破総理に面会し、「党の分断があってはならない」と退陣するよう進言したという。派閥に属してはいないが、一部の無派閥議員に強い影響力を持つ。

 菅氏は18日にも小泉氏と面会し党内情勢について意見交換し、今回も小泉氏を全面支援するという。

 そして、石破総裁誕生の立役者ともいわれる岸田前総理。前回の流れを意識してか、岸田氏のもとを旧岸田派の林氏をはじめ、高市氏、小林氏、小泉氏と相次いで訪問している。ただ、旧岸田派はまとまって行動しているわけではなく、小泉氏と林氏らに支持が分かれているという。

小選挙区制が連立拡大の障害に

小選挙区制 連立拡大の障害に

 誰が総裁となっても野党との協力が必要となるなか、今「中選挙区制」復活に向けた議論が注目されている。野党との連携が総裁選の争点の1つになっているが、現在の選挙制度がそれを阻んでいるという見方もあるようだ。

 そもそも、現在の選挙制度「小選挙区制」は各選挙区から1人だけを選出する制度であり、連立拡大の場合、小選挙区での候補者調整が必要となることから、連立拡大の障害になるとも指摘されてきた。

 6月、自民党の政治改革本部の会合で、新たな「政治改革大綱」の策定に向けた論点整理などが行われた際、中選挙区制の再導入などが主要な論点として盛り込まれた。

出馬会見とBS番組での林官房長官の発言
出馬会見とBS番組での林官房長官の発言

 そんななか、林官房長官は総裁選への出馬会見で、導入から30年経った小選挙区制の検証を行ったうえで「与野党で選挙制度をどうしたらいいのか議論を始めたい。中選挙区制の良さをもう一度見直すべきではないか」と語った。会見後に出演したBSの番組では「(中選挙区制は選挙区調整がしやすく)実務的に言えば連立が組みやすくなる」と説明した。

中選挙区制と小選挙区制との違いは

 では、この中選挙区制は小選挙区制とどう違ってくるのか、みていく。もともと中選挙区制は1993年まで行われていた選挙制度だが、カネがかかる政治からの脱却や政権交代可能な2大政党制を目指し、小選挙区比例代表並立制に変更されたという経緯がある。

 仮に中選挙区制になると、小選挙区制に比べて選挙区は広くなり、当選者数も1人ではなく複数人選出できるようになる。

中選挙区制の再導入で想定される変化
中選挙区制の再導入で想定される変化

 これによってどんな変化が想定されるのかというと、当選者が複数人に増えることから、2位以下の候補のいわゆる「死に票」が減り、少数意見も反映しやすくなる。ただその一方で、選挙区が拡大されることにより、相対的に候補者の選挙活動費用が増えることなどが挙げられている。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年9月22日放送分より)

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