9月22日告示の自民党総裁選挙。政策連携や連立拡大をめぐり新総裁と対峙することになる野党は、それぞれの候補をどうみているのだろうか。
9月21日夜行われた、高市前経済安全保障担当大臣の決起集会。自民党から離れていった仲間を連れ戻したいと決意を語った。
千葉の漁港を視察した小泉農水大臣は、地元の漁業関係者との意見交換を行った。自身が掲げる「解党的出直し」は、こういった現場から始まると訴えた小泉氏。
茂木前幹事長がこども食堂を訪問した際には、子どもらから“誕生日サプライズ”を受ける場面も。柱に据えるのは、数兆円規模の交付金による生活支援である。
林官房長官が訪れたのは、震度7を体験できる首都圏の防災拠点。防災庁の設置など、災害に強い国づくりを訴える。
小林元経済安保担当大臣は、多くの外国人も利用する羽田空港を視察し「国際観光旅客税を増やして、その税収の一部をオーバーツーリズムの対策にしっかりと充てていく」と語った。
少数与党としての総裁選…野党との「連立拡大」どうなる?

前回と異なり少数与党としての総裁選となるが、これについて野党はどのようにみているのだろうか。テレビ朝日政治部・村上祐子野党キャップは「野党の大前提が変わっている」と前置きし、以下のように解説する。
「立憲から参政まで多党化する中で、各党の主張にはかなり差がある。大前提として野党という主語でくくれるフェーズではなくなってきている」(村上祐子野党キャップ、以下同)
「石破氏は前回の総裁選の時に選択的夫婦別姓に前向きだったが、党内の反発を抑えきれずに持論を封印した。これは党内基盤が脆弱だったことから、石破カラーがみるみる失われていった。今回もまずは総裁候補の方々は、自民党内で幅広い支持を得られなければそもそも総裁選に勝てない。その上で、少数与党のもと野党の理解を得るために、野党の政策も各党候補がまんべんなく散りばめている状況を野党が注視している、これが現在地」
少数与党としての異例の戦いについて、ニュース番組『ABEMAヒルズ』コメンテーター、ノンフィクションライターの石戸諭氏は、1年前の総裁選との違いを次のように指摘する。
「特に注目された高市氏、小泉氏は、ともすれば党内を2分しかねないようなテーマについては色を薄めた。保守色を抑える、リベラル色を抑えるというような形で論点を棚上げしつつ、でも大事な争点は経済だという点を中心に打ち出してきている。小林氏、茂木氏、林氏も含め、政策論争になっていること自体は悪いことではない。そして全員、とにかく自民党を割らないという意識が強く働いている」
“野党に寄った政策”に立憲・維新から驚きの声

野党との政策連携や連立について、5人の候補のスタンスは…。
小林氏「政策ごとの連携と連立拡大を同時並行」 茂木氏「連立の枠組み広げる」「維新や国民とはしっかり話をしたい」 林氏「政策を実現するため誰とどういう形ですべきか、その時、その時で考えていくべき」 高市氏「自公連立は基本」「その上で基本政策が合致する野党とできれば連立政権を組む」 小泉氏「政策や理念の一致を慎重に見極めながら政権の枠組みのあり方の議論を深める」
石戸氏は「各候補が“野党に寄せた政策”を打ち出すのは仕方ない」ことだと語る。
「少なくとも衆院に関して、安定的に政権運営しようと思えば、立憲か国民か維新でこの3党のうちの少なくともどれか1つとは歩調を合わせなければいけない。これができないと予算すら通らない。自民党の政策に『賛同しろ』と強く出られる状況ではない」(石戸諭氏)
では野党側は候補者が挙げている政策について、どのように見ているのだろうか。村上野党キャップは以下のように述べた。
「野党からすれば、衆参ともに少数与党のもと自分たちの政策を飲ませる、またとないチャンスだと捉えている。象徴的だったのが高市氏の『給付付き税額控除』だ。これは立憲が参院選の公約に掲げていて、立憲党内からも『あの高市氏が歩み寄りを見せた』とかなり驚きが広がっている」(村上祐子野党キャップ、以下同)
「また高市氏が掲げているのが『副首都構想』。首都機能を東京から代替させる案だが、これは維新の悲願。維新幹部は『驚いた』。ピンポイントで打ち出してきていることに対して、『維新にラブコールを送っているんだろうな』と感想を漏らしていた」
(『ABEMAヒルズ』より)