2 自民党の総裁選挙が22日に告示され、5人が立候補を届け出た。党員票を含むフルスペックによる総裁選挙ということになる。自民党の党員に、候補者に何を期待しているのかを聞いた。
党員歴60年 コメ農家語る「自民と農政」
自民党員歴60年 判田勝補さん(78)
「今年は平年よりも良いので、収量を期待できると思います。我々農家も一安心している」
たわわに実った稲穂。秋田県で収穫が最盛期を迎えているブランド米の「あきたこまち」。
自民党員歴60年 判田勝補さん
父親から農家を継いで60年の判田さんは、15ヘクタールの田んぼで7トンほどのおコメを農協に卸している。
「ほぼ1等(米)になるように調整して、良いコメをしっかりしたものを出すというのがうちの考えです」
判田さんが農家として歩んできた60年。熱心に行ってきたことがもう一つ。自民党員としての活動だ。
「私の知り合いの(農家の)先輩がいて、地域のためになるからと、農業政策も含めて、農協の活動含めて自民党員になった」
判田さんが自民党員として活動を始めたのは1965年ごろ。当時、コメは基本すべて国が農家から買い取り、その価格も国が決めていた。
メリットがあった
「国が直接、農家から農協を通じて(おコメを)全部買い上げたわけで、そんな変なメリットがあったもんですから、米価運動と農政運動と自民党の活動が表裏一体。我々は米価をどんどん値上げしてもらえれば助かるわけです。政治的活動をやっていても意味があった」
1970年には、政府はコメ政策を転換。コメ余りが深刻になると、値崩れを防ぐため、生産量を調整する「減反政策」が始まった。
「減反に協力するには減反の補助金が出たわけ。我々もどうにか2割減反して8割作付けしても、どうにか経営が成り立っていた状況です」
戦後の農業政策を一人の農家として、さらに自民党員としても身をもって経験してきた判田さん。
「農家だけど自民党の活動をすることで、何らかの党にもある程度協力するという形をとったわけ。お返しとして、選挙の時協力するというようなことでやってきた。お互いに農家と党の方の関係が非常によくいったわけ。お互いに持ちつ持たれつ」
密接な協力体制があったが…
これまで自民党・農協・農家の三者は密接な協力体制を培ってきたという。その関係が大きく崩れたのは、このところの“コメ高騰”。
「あまり(おコメの価格が)高いと、消費者の方々が非常に買いにくくなるし、それが結果的にはコメ離れに」
この総裁選に判田さんが求めるのは?
「我々もそれに期待」
「(おコメの)価格の設定を、生産者と消費者がある程度合意できるような価格帯を設けるような方向が必要だと思います」
「今、農林大臣でやられている小泉さん。やはり農業に対してだいぶ熱意を持ってやっているということで。農業改革ですか、思い切ったことやることを、我々もそれに期待しますので、ぜひ一つ頑張ってもらいたいと思っています」
20歳の学生党員 選挙惨敗も支持の理由
自民党への信頼が揺らぐなか、“それでも自民”と支持する若者も。
学生党員 市村優成さん(20)
「結局はなんだかんだ自民党っていうふうに長期的に見ればなっていくのかなと」
「(Q.その思いは揺らぎませんか?)揺らぎません」
そう話すのは市村さん。将来は官僚やメディアの仕事に就くことを目指し、慶応大学に通う学生党員だ。
趣味は「政局ウォッチ」20歳の学生党員
趣味は「政局ウォッチ」。休日には街頭演説などに足を運び、若者が政治に関心を持てるようにとSNSで街頭演説の情報などを発信。
自民党に興味を持ち始めたのは高校生だった4年前。
「2021年の自民党総裁選が大きなきっかけになったと思っています。(自民党総裁選は)直接総理大臣を選んでいるわけではないが、実質的に選んでいるということに気づいた時は、なんだ自分も選べるんだと。総理大臣を自分の一票で選べるところに魅力を感じて、自民党員になろうと思った」
18歳の誕生日を迎えた5日後に入党
党の掲げた政策が国政に反映できる「実行力」に魅力を感じ、高校生だった2年前、18歳の誕生日を迎えた5日後に入党。しかし、入党からおよそ1年後の衆院選では“裏金事件”による「政治とカネ」の問題で自民党は惨敗。
今年7月の参院選では“手取りを増やす”のキャッチフレーズを掲げた国民民主党や、「日本人ファースト」を全面に打ち出した参政党がそれぞれ躍進。自民党政権が衆参両院で少数与党となるのは、結党以来初めてとなる異例の状況に。
それでも市村さんが自民党支持を変えない理由とは?
学生党員 市村優成さん
「今、自民党が少数になっているところで、ガッと野党をまとめて政権交代しようぜというふうにできるはずなのに、やらないんだなと。やれないんだなっていうところが、やはり野党に対する不信感は持ってしまいます」
そんな市村さんが今回の総裁選で重視するのは「安心して未来を見通せる政策」。
「これから税金を払っていく立場になると、どれだけ税金払わなきゃいけないんだろう。自分が高齢者になった時に、どれだけ社会保障を手厚く受けられるんだろう。これから生きていく若い世代として重視したいポイントだなと思っています」
また、総裁選のキャッチフレーズ「変われ自民党」に大きな期待を寄せる。
「政権の要職だったり、政党の要職だったりを務めている人が総裁になったところで、『ああ、はいはい』っていう変わった感っていうのはあまり感じないですよね。一番は世代交代だと思います」
そんな市村さんが最も期待する候補者は?
「小林鷹之さんを支持しようかなと思っています。他の若い候補と比べた時に政策もしっかりと語れるし。推薦人を見た時に、40代30代50代っていう中堅の議員が支持して出馬をしたんだなっていうふうに感じます」
党員辞めるか揺れる思い 外交・外国人政策
党員歴8年の藤川功介さん(52)。見つめているのは、各候補者による演説会のスケジュール。
党員歴8年 藤川功介さん
「(自民党に)冷めちゃっている部分もあるので、(参加するか)どうしようかなと」
名古屋で行政書士をしている藤川さん。自民党に冷めてしまった理由とは。
「中国にそこまで気を使う必要性があるのか」
「(自民党幹部は)親中派が多いなって。一言で言うと。岸田政権から石破政権にかけて、一番僕が支持できた部分である保守的な考え方がとても薄れてきている。中国にそこまで気を使う必要性があるのかと。それはもう僕は自民党ではないと判断せざるを得ないので、(このままでは)自民党員を辞める覚悟もあります」
“外交姿勢”において、自民党が変わらなければ、党員を辞める覚悟もあると話す藤川さん。また、今回の総裁選の争点のひとつ、外国人問題についても…。
「(石破政権では)策がなさすぎて、外国人と日本人のあつれきが起きすぎじゃないかと思っています。外国人を排斥しろということではなくて、国民と国土を守るためにはどうしたらいいのかという明確なメッセージのあるリーダーであるのであれば、僕はすごくいいリーダーだなと思う」
自身を岩盤保守層の一人と自負する藤川さん。自民党員になったきっかけは、あの大物政治家だったといいます。
「安倍首相のやってきたことで、僕は外交政策に関しては本当に尊敬できる内容だったと今でも思っています。例えば対中政策、対韓政策、対北朝鮮政策。日本人の誇りを取り戻そうという気持ちがすごく伝わってきたので、正しい歴史というものをもう一度後世に伝えていこうという気持ちはものすごくあったと思います。第二次安倍政権はとても共感した」
安倍元総理のような“強い外交”の復活を願う藤川さん。5人の候補者のなかで最も期待するのが…。
「高市早苗先生ですね」
前経済安保担当大臣 高市早苗氏
前経済安保担当大臣
高市早苗氏(64)
「日本を今一度洗濯します。長いことかけてたまった染みや汚れをスッキリさせます」
藤川さん
「おっしゃっていることを実現してほしいですね」
高市氏の演説が終わった際には…。
藤川さん
「すばらしい演説です。『我々の愛する日本、それをもう一度しっかり取り戻す』というところは本当に心に響きました。ぜひ頑張っていただきたいと思います」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年9月23日放送分より)