政治

ABEMA NEWS

2025年9月25日 19:31

「ここまで国連演説にこだわる総理は過去いなかった」…“石破カラー”がにじんだ異例の訴えとは? 官邸担当記者が解説

「ここまで国連演説にこだわる総理は過去いなかった」…“石破カラー”がにじんだ異例の訴えとは? 官邸担当記者が解説
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 日本時間24日、石破総理は国連総会で一般討論演説に臨んだ。どのようなメッセージを打ち出したのか、石破総理に同行し現地取材を行ったテレビ朝日政治部の官邸担当 佐々木一真記者に聞いた。

【映像】力強く演説する石破総理

━━石破総理は国連総会に出席するためにニューヨークを訪問し、トランプ大統領と面会したというが、どのような状況だったのか?

「トランプ大統領は各国の首脳を招いて歓迎会を開いた。そこに石破総理も出席し、トランプ大統領と立ち話という形で短時間面会をした。石破総理からすると事実上の“お別れの挨拶”だったと思われる。石破総理はトランプ大統領に対して『これまでの友情と信頼に感謝し、世界の平和と繁栄を実現していく上で日米同盟の重要性は変わらない』ということを伝えたという」

━━国連での石破総理の演説をどう見たか?

「かなり“石破さんならでは”のメッセージというか、ある意味“石破カラー”がにじむような異例の演説だった。石破総理周辺も『ここまで国連演説にこだわる総理は過去いなかったのでは』などと話していた。演説の中では国連の安保理改革や核のない世界に向けたことを訴えられていたが、石破総理が最も訴えたかったメッセージは『分断より連帯、対立より寛容』だった」

━━なぜこの言葉を選んだのか?

「今国際社会で分断が進んでいることに危機感があるからだと思う。ウクライナ情勢では、本来であれば紛争を止めるはずの国連安保理が常任理事国のロシアの侵攻により歯止めとならなかった。中東に目を向けると、イスラエルによるガザ地区への侵攻はアメリカの拒否権が発動されてなかなか停戦決議も通らずここでも国連が機能不全に陥った。石破総理も『深刻』とこぼしており、非常に強い危機感を持っていたのだろう」

━━今回の国連ではパレスチナを国家承認する国が相次いだ。一方でなぜ日本は国家承認を見送ったのか?

「政府内でも『国家承認した方がいいのでは』という話があったと聞いており、実は関係者によると石破総理自身も『国家承認した方が』というような意見を持っていたという。とはいえ、アメリカがパレスチナの国家承認に否定的な立場であり、日本としてはアメリカの意向に反して国家承認するのは当然エネルギーがいることでリスクもあるため、その判断を『今ではない』ということにしたのだろう。かえってイスラエル側が態度を硬直化して、コントロール不能になるのではないかといった危惧の声も政府内にあったようだ。それから、石破総理は退陣をすでに表明しているので、『今後退陣する総理が国家承認というカードを切るというのはなかなか難しい』という側面もあったと推測している」

━━石破総理は、国家承認は『するか否かではなく、いつ承認するかの問題だ』という発言をしたが、その真意は?

「これはかなり踏み込んだ発言だったと思う。踏み込むことによって戦闘を続けるイスラエル側に対して圧力をかける狙いがあったのだろう。総理周辺も、『ある意味イスラエル側に対して“脅しのカード”を切ったんだ』などと話している」

━━石破総理が発表を検討している「戦後80年のメッセージ」は今回の演説では盛り込まれなかったのか?

「結果として、今政府内で検討が進んでいる戦後80年のメッセージを国連総会の場で発表することは見送られた。取材をすると、今日本で総裁選で論戦をしている中で議論を呼ぶようなことは避けた方がいいのでは、という声があって見送ったという。自民党の総裁選が来月の4日投開票、新しい自民党のリーダーが決まるので、それ以降に石破総理は戦後80年のメッセージを何らかの形で出すのだと思う」

━━石破総理は“残りの期間”何に力を入れるのか?

「1つは『日米関係』。今回のニューヨーク訪問でトランプ大統領に会うことができたので、推測だが『次の政権も頼むよ』と伝えたのではないか。もう1つは『日韓関係』だ。石破総理は来週韓国の釜山を訪れることにしているが、日本と韓国の首脳が両国を行き来するシャトル外交の道筋をつけたいのだろう」 (ニュース企画/ABEMA)

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