自民党総裁選を巡って小泉進次郎氏の陣営がネット上で、小泉氏に有利なコメントを投稿するよう呼びかけていたことが分かりました。問題を受けて牧島かれん元デジタル担当大臣が陣営の広報班長を辞任しました。
小泉氏賞賛書き込み依頼 陳謝
「(Q.ネット戦略として認められるか?)私はダメだと思っています。与えられた席で正々堂々とされるほうがすてきかなと思います」
「フェアじゃないですよね。自分がたとえ弱くても他の人をけなすとか、そういうのは嫌だね」
「支持を得たいなら堂々と胸を張って伝わるもの。姑息(こそく)な手を使わなくてもいい」
騒動となっているのは小泉陣営から発信された“動画配信サイト「ニコニコ動画」に好意的な投稿してほしい”という依頼のメールです。陣営で広報戦略を担う、牧島かれん議員の事務所が送りました。
「泥臭い仕事もこなして一皮むけたのね」
「総裁まちがいなし」
「あの石破さんを説得できたのスゴい」
20日に配信された出馬会見に寄せられたコメントを見てみると、実際に陣営から指示があったコメントと同じ文言がありました。
「私のことを思って思いを巡らせていただいた結果。私がもっと強ければ、しっかりしていれば心配をかけることもなく、こうしたことも起こらないであろうと申し訳なく思う。最終的に起こってしまったことの責任は私にありますので、批判はしっかりと私が受けたい」
寄せられた2万件のコメントを番組で分析してみると、「説得できたのすごい」と投稿していた同一のIDは、他にも「頼む 自民党を立て直してくれ」「もう一度自民党に期待させてくれ」と陣営から例示のあった文言を投稿しています。
他の投稿も見てみると、同じIDが「石川からも応援しています!」とコメントとしつつ、「福島浜通りから見ています」という整合性の取れない内容もあります。(例示された投稿はなし)
さらに、500件近くの投稿をたった1つのIDが行っていたケースもありました。「さすが進次郎」と投稿した5秒後には「頑張れ」と投稿。その4秒後には「いいね」と次々と好意的なコメントを書き込んでいます。
配信が始まって1時間が過ぎ、コメの話題に移ると、500件近く投稿したIDの人物は「お米助かりました」「お米ありがとう」と、コメへの感謝を連投していました。
「石破総理を説得できたのはすごい」という文脈で投稿していたのは、他にもう1件あります。
2万件のなかに実際に指示を受けた可能性のある投稿はごくわずか。とはいえ、物議を醸すのは元デジタル大臣の事務所からの指示という点です。
「エセ保守」他候補を“中傷”も
渦中の人物となった牧島かれん議員と小泉大臣との付き合いは、父・純一郎氏の時代からです。
「きょうは自民党本部からスタートさせていただきます。ティックトックライブ初めての試みです。どうぞ皆さんよろしくお願いします」
シールをたくさん貼ったタブレットを駆使し、ハッシュタグ「変われ自民党」というTシャツを着た牧島議員。先週には自民党のネットメディア局長として、党のティックトックの生配信を行っています。また、2021年からおよそ1年間、デジタル大臣を務めていました。
「国民の皆さんにこれから日本はどういうデジタル社会、デジタル国家を目指していくのかということを示す責任がデジタル庁には与えられたというふうに思っています」
特に今回、問題視されているのが、他の候補者を揶揄(やゆ)しているとみられる、このネガティブなコメント例です。
26日夜、牧島議員は小泉陣営の広報班長を辞任。関係者によりますと、牧島議員に対して殺害予告や爆破予告のメールなどが相次いだためだということです。
与野党が苦言「問題軽くない」
総裁選真っただ中で起きた今回の騒動は、党内外からも。
「(陣営間が)対立的なことになる。感情をあおってね、対立を盛り上がらせるような、それは適切なことではないのは当然。自民党の総裁選挙でありますので、各陣営とも矜持(きょうじ)をもってしっかりと選挙に臨んでいただきたいと申し上げたい」
「単なる自民党の中の、特定の組織の中の問題だからいいではない。イコールこの国の総理大臣になる可能性があるんだから。このステマの問題はそう軽くないよ」
26日、名古屋市で行われた総裁選候補の演説会の終了後、他の陣営に受け止めを聞きました。
「やはり自民党は今、立て直しの時なので、また自民党こういうことをやっているのか、というふうに伝わっていくことが一番残念。やっぱり切磋琢磨(せっさたくま)して反省に反省して少数与党の中で総裁を決める戦いをしているんですから、誤解を招くようなそういう発言行動は慎むべきだと思います」
(「グッド!モーニング」2025年9月27日放送分より)