自民党・総裁選の投開票まであと5日。アメリカのトランプ大統領が来月下旬にも来日して日米首脳会談を行う方向で調整に入るなか、総裁選では外交・安全保障政策も重要な争点となっている。
安保政策の議論「防衛費の増額」どうする?
まずはトランプ政権が日本に求めているとされる防衛費増額について見ていく。
日米両政府は10月下旬にトランプ大統領が来日する方向で調整に入っていて、来日すれば、トランプ第二次政権発足以来初めての来日となる。総裁選の後に誕生する新総理が会談を行うことになる。
「朝日新聞」によると、ある日本政府関係者は「ホワイトハウスの関税の次のターゲットは防衛費ではないか」と警戒しているという。防衛費増額を巡ってトランプ大統領と向き合うことになる可能性があるという。
トランプ政権が防衛費増額を求める背景に浮かぶのが、 アメリカの安全保障政策の指針となる新たな「国家防衛戦略」が、早ければ10月にも公表されるという。
アメリカの政治専門メディア「ポリティコ」によると、関係者はアメリカ本土と周辺地域での任務を最優先に位置付け、中国の抑止を重視するこれまでの路線を変更するという。「アメリカと同盟国にとって重大な転換になる」と話しているという。
日本は2022年に策定した「国家安全保障戦略」で、2027年度に防衛費をGDP比2%に増額する方針を決めていて、これは2023年からの5年間で総額約43兆円という規模である。この財源については一部を法人税、所得税、たばこ税の増税で賄うとしているが、所得税増税の開始時期の決定は先送りされている。
朝日新聞によると、トランプ政権は日本に対して非公式に防衛費をGDP比3.5%に引き上げるよう求めたといい、これは1年だけで約21兆円もの規模になるという。ちなみに今年度の防衛関連予算は約9.9兆円、GDP比1.8%であり、今年度の約2倍の金額となる。
では、5人の総裁選候補は防衛費の増額についてどういった主張をしているのか。
元経済安全保障担当大臣・小林鷹之氏は「(GDP比)2%では到底足りない。必要な額は積み増す」としている。
自民党前幹事長・茂木敏充氏は「防衛力強化を決めているがまだ足らない。さらに強化をしていく必要がある」としている。
官房長官・林芳正氏は「必要があればアメリカとも綿密に調整し、次の段階へ行く」としている。
前経済安保担当大臣・高市早苗氏は「GDP比3.5%より高くも低くもなるかもしれないが、しっかり積み上げたうえで対応」としている。
農水大臣・小泉進次郎氏は「GDP比2%の着実な実施に向けしっかりと進める」と話している。
中国の脅威 どう向き合う?
海洋進出を強める中国の習近平政権に、それぞれの候補はどう向き合おうとしているのか。
22日、中国国営テレビは中国海軍の空母「福建」からステルス戦闘機などが訓練で発着する様子を公開した。「福建」は「遼寧」「山東」に続く3隻目の空母である。
この空母には国産の「電磁式カタパルト」という方式が初めて採用されているという。この電磁式カタパルトは、リニアモーター技術を応用して艦載機を加速させて発進させるものであり、短い距離の滑走路からでも重い機体を離陸させることができる。これによってより多くの艦載機などを運用できる。中国海軍の行動範囲がさらに広がる可能性も指摘されている。
また25日には中国国防省が「福建」の就役について「そう遠くない」と発表していて、これらは「海洋強国」をアピールすることが狙いとみられている。
さらに、ロシアや北朝鮮との連携を強めている状況も懸念されている。
3日、北京で行われた「抗日戦勝80年」の軍事パレードでは、習主席、ロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金総書記の3人が初めて一堂に会し、連携ぶりをアピールした。
では、このような状況で中国とどのように向き合うべきか。28日の討論会でも各候補が対中姿勢に言及していた。
小林氏は「中ロ関係や邦人拘束に備える」としながらも、「大きなマーケットとして活用する」としている。
茂木氏は「国際ルールの逸脱には厳しく対応」とし、「協力しながら懸案を解決」していくとしている。
林氏は「中国船の侵入など言うべきことは言う」が、「経済などの協力関係は相互努力で構築」していくという。
高市氏は「国防上の注意は十分に払わないといけない」としつつ、「懸念のない領域での貿易投資は前向きに進める」としている。
小泉氏は「対中依存度を過度にしない」としたうえで、「日中関係を安定化させる」とも話している。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年9月29日放送分より)