自民党総裁選(10月4日投開票)が終盤に入りつつある。
ジャーナリストの青山和弘氏は、9月28日時点の「票読み予想」として、小泉進次郎氏は国会議員票105、党員票80の合計185票、高市早苗氏は議員票55、党員票115の合計170票、林芳正氏は議員票70、党員票65の合計135票、小林鷹之氏は議員票35、党員票20の合計55票、茂木敏充氏は議員票30、党員票15の合計45票としている。
あくまで「現状の票読みで、『結果こうなる』ではない」としつつ、「国会議員票は小泉氏が圧倒的で、2番は林氏だ。『林氏は安定感がある』という人が多い。その後は高市氏、小林氏、茂木氏の順番だが、なんと言っても党員票がどうなるかだ」と説明する。
党員票は、週刊文春が報じた小泉陣営の広報班長を務めていた牧島かれん元デジタル大臣の事務所が陣営関係者に「ニコニコ動画」にポジティブなコメントを書いて欲しいとメールで要望した、いわゆるステマ問題が影響する可能性があるという。
青山氏は「最初は小泉氏が優勢だったが、高市氏がだいぶリードしてきている。これが『ステマ問題』で、さらに増えていけば、合計でも変わる可能性がある。決選投票は、普通に考えれば小泉氏・高市氏。現時点では(党員票が)35票差だが、小泉氏の15票が高市氏に行けば、65と130のダブルスコアになる」と指摘。
そうなれば、仮に決選投票が小泉氏・高市氏になったとして、「決戦投票でダブルスコアの党員票をひっくり返すと、『わざわざ党員票を入れて(フルスペックで)やったのに良いのか』とのプレッシャーが国会議員にものすごくかかる」と話す。
「(小泉氏・高市氏の決選投票であれば)林氏の票は、高市氏と距離があるため、普通は小泉氏に乗る。決選投票では、国会議員票を考えれば小泉氏が有利と考えがちだが、今自民党の難局で『党員の声をわざわざ聞いたのに、党員の声を無視するのか』というプレッシャーがかかる可能性がある。だから党員票がこのあとどれだけ高市氏に乗るのか、乗らないのか。小泉氏がどれだけ減らすのか、減らさないのかが、今後の流れを大きく決める可能性がある。あとは虎視眈々と狙っているのが林氏だが、決選投票に残るには相当党員票を伸ばさないといけない状況だ」(青山氏)
前回の総裁選では、「党員票は高市氏がトップだったが、(石破茂総理と)1票しか違わなかったため、2位が決選でひっくり返っても一定程度理解された」という。しかし、「今回ダブルスコアも開くと、党員の意思は明確になる。その時どうするかは、議員にも影響する可能性がある」としつつ、「議員には議員の論理があるので、そこで議員票が動かなければ下馬評通り小泉氏が総裁になる可能性もある」と語った。党員票は「基本的には週明けくらいまでには大体の人が投票するため、ここでステマ問題が直撃したのは、小泉氏にとっては痛い」と説明した。
小泉氏・高市氏の決選投票になった場合、林氏、小林氏、茂木氏3陣営の票はどこにいくのか。「残りの陣営がまとめてどこかに行く感じはない。ただ林氏は石破政権の官房長官で、圧倒的に政策的にも小泉氏と親和性が高いため、林票は小泉氏に行く可能性が大きい」。
一方で、「茂木氏あたりは、麻生太郎氏と一緒に行動する可能性が高く、間違いなく『勝ち馬に乗りたい』と思っている。勝ち馬がどっちだと判断するかによって、議員票が動く可能性がある」とみている。「最終盤が議員票の取り合いだ。例えば人事の手形を切って『あなたを大臣にする』と空手形が飛びまくり、最後の切り崩し合戦がどうなるか。決選投票で勝負が決まるのではないか」。
投票にあたっては「勝ち馬に乗りたいという心理が働くうえに、小泉氏はみこしに担ぎやすい。マジョリティー、チームを作りやすいタイプの人でもある。そういう意味では小泉氏の方が推しやすいという心理はある」としながら、「参院選で負けたのは『国民の声と議員の声が離れていたからだ』という総括になっている。それなのに党員票を無視していいのかというのは、これまでの総裁選の論理とちょっと異なる」と解説する。
青山氏は「オセロは最後にひっくり返した人が勝ちだ」と言う。「脅しやすかしも含めて、前日の夜、もしくは当日まで、それこそ(投票直前に陣営で振る舞われる)カツカレーを食い逃げする人も出てくる。激しく動きは出てくるだろう」。
(『ABEMA的ニュースショー』より)