10月4日の自民党総裁選挙まであと2日。
5人の立候補者の政策については頻繁に議論されるが、「スペック」と「人間的魅力・人となり」はどうか? ここでは林芳正氏について、テレビ朝日政治部 小手川太朗記者に聞いた。
━━小手川記者の分析によると、林氏の「陣営の結束=5点満点」とのことだが理由は?
「林氏は旧岸田派に所属しており、5人の候補の中で派閥を足場に戦うという昔ながらの戦法を使っている唯一と言っていい候補だ。旧岸田派は4年前の岸田氏が総理になった時の総裁選、去年の林氏の総裁選、そして今回と、ここ4年で3回目の総裁選を戦っており経験豊富だ。総裁選は表に見える部分だけではなく、会場の手配や党員名簿の準備など、“ロジ周り”が極めて重要だ。林氏の陣営の秘書たちは昔からずっと付き合いのある人たちの集まりで結束も固い。私の知る限り、林陣営が最も準備開始が早かった。対照的なのが小泉陣営だ。陣営が大きいこともあり、急造チーム、いわば急ごしらえのチームで、先日の“ステマ問題”がいい例だが、陣営の中に小泉進次郎氏をよく思っていない人が紛れ込んでいた可能性がある。結束の脆さが露呈したということだ」
━━「経験=4点」の理由は?
「幹事長など党の要職の経験がないので幹事長経験がある茂木敏充氏と比べて4点にした。一方で実務家としての実績は十分。官僚の方々に取材をしても評価は非常に高く、今回の総裁選でも『経験と実績』は本人も前面に打ち出して戦っている」
━━「刷新感=2点」の理由は?
「これは経験の裏返しだ。長く要職を務めてきたため、小泉氏や小林鷹之氏など若い人に比べると有権者からは“古い顔”に見えてしまう。しかも現職の官房長官なので石破路線を否定しづらい。2万円給付をめぐっても正面から否定することができず、政策集を見てもどうしても『日本版ユニバーサル・クレジット』や中選挙区制の導入など、息の長い中長期的な政策に偏らざるを得ない点がネックだ」
━━「知名度=3点」の理由は?
「平日は毎日2回定例会見でテレビに出る機会があるが党員人気は今ひとつだ。安定感の裏返しとも言えるが、答弁ラインを守った無難な会見がほとんどであり、小泉氏や高市早苗氏のような“尖った華やかな人”には劣ると判断した」
作詞作曲を手掛け、アルバムも出している

━━「文化力=5点」の理由は?
「林氏はピアノやギター、そして歌が非常に得意で国会議員によるバンド『Gi!nz(ギインズ)』での活動も有名だ。林氏が作詞作曲を手掛け、アルバムも出している。さらに、ただの趣味にとどまらず、文化的な力を政界での仲間作りに生かしている。先日、日本維新の会の議員らとの食事会にサプライズで登場してピアノで『レット・イット・ビー』を弾き語りした」
━━選挙戦も終盤だが陣営の戦略は?
「これまで林氏は3回総裁選に挑戦したが、今回が最も勝てる可能性が高い。ANNの取材では議員票で現在2位につけており、“旧岸田派外”にも徐々に支持が広がっている。ただ一方で、党員票では小泉氏、高市氏に遅れをとっているため、蓋を開けてみるしかない状況だ」 (ニュース企画/ABEMA)