4日に投開票が行われる自民党総裁選を前に、候補者5人が2日放送の「ABEMA Prime」で最後の討論会を行った。辞任する石破茂総裁の後を受け「解党的出直し」の舵取り役を誰が担うのか。番組内では「保守とは何か。自民党は保守に回帰するのか」「幸せとは何か」といったテーマで討論が展開されたが、その中の一つとして昨年の衆院選、今年の参院選でも注目度が高まった政治とSNS、ネットの声についても討論。各候補者が、それぞれの向き合い方や理想の形、また自身のSNSの使い方などについても言及した。
【映像】高市早苗「私は割と真面目。小泉進次郎さんのようには…」
自民党では、公明党との連立与党でも過半数を確保できなかった参院選の敗因の一つとして、SNSでの発信力の弱さ、デジタル対応の遅れをあげている。ネット上にデマ、誤情報への対応力も弱く、また圧倒的なネガティブ情報に対抗する党本部政策の動画も十分に浸透せず、各議員のSNS活用率の低さも指摘された。今後は、SNSを通じた発信力の強化、アカウントの開設率を高め、日常的な投稿を促進するとまとめられている。今回、総裁選に立候補した5人の意見をまとめた。
元経済安全保障担当大臣・小林鷹之氏

「この前、20歳ぐらいの大学生のみなさんと話したが、SNSの使い方をいろいろと指摘された。もう10分(の動画)などは見ない、だいたい15秒ぐらいで判断し、ショート動画はもう1秒でピッピッピとやって、気になったものだけ見るという感じだった。例えば選挙の時、確かに分かりやすいメッセージで短くバッと伝えるのは大切だと思う。ただ(参院選で)躍進した政党に何があったかといえば、党首の方が熱量を乗せて、言葉で訴えかけていた。どんなフレーズを使ったとしても、熱量が乗らなければ響かない。SNSが怖いなと思うのは偽情報や誤情報が広がること。その時、私たちがどう防ぐかとしたら、やはり日頃のリアルな選挙活動、政治活動が重要だ。いろいろな情報が広がった時に、地元の有権者のみなさんが『小林さんはいつも地道に回って信頼できるから、そんなことはまさか言わない・やらない』というのが防波堤になる。
元幹事長・茂木敏充氏

「SNSは若者を中心に、選挙の主戦場。もう使わないという発想はない。ただ難しくもあり、私も結構やっているが、自分なりにいいなと思ったものは全然回らず、ちょっとしたものを公開したら100万回再生したりする。どうしてこんなことが起こるんだろうと思っている。(議員が炎上するケースも多いが)言論の自由は守りたい。そこに誹謗中傷やデマをできるだけ抑えることで、SNSはダメということにしないようにしたい。ただ、デマ情報や海外からの介入に対しては規制を考えていく必要がある」
官房長官・林芳正氏

「ワンフレーズになると短すぎるし、ちゃんと説明しようとすると10分、20分となってしまう。中身を説明しようとすると長くなる。ちなみに私の投稿では『レット・イット・ビー』を(ギターで)弾いたのがバズっているだけだが、あれも2分ぐらいのもの。それ以外は、本当に短くしなければいけないと思いながらも、正確に伝えたいとも思う。だからSNSは短いメッセージを伝えるものと割り切り、SNSではないメディアを併用することはしていきたい。あとは党にもう少しデジタル、SNSがわかる人材を補強すべきだ」
前経済安全保障担当大臣・高市早苗氏

「私はあまり選挙を意識してSNSをやっているわけではないが、X(旧Twitter)のフォロワーが90万人を突破した。みなさま、ありがとうございます。私は割と真面目(な投稿)で、小泉進次郎さんのような緩めな上げ方は苦手(笑)。私は政策のことなどを書くが、そうすると反発もご批判もいただくし、それが結構参考になる。今はショート動画の方が見やすいと言われ、自民党の総裁もショート動画をもっとやればいいのかなとも思うが、ワンフレーズで発信して政策の裏付けがないのが最悪。ここはよく考えなければいけない。(参院選で)伸びた党は、ワンフレーズでバッと来たが、政策の裏付けはどうかと言ったら、自民党の積み上げはすごい」
農林水産大臣・小泉進次郎氏

「SNSは手段としては絶対に活用しなければいけない。大事なのは中身。いかにSNSを活用して届ける政策の質を高められるかが基本だ。我々が反省しなければいけないのは、国民のみなさんの不安に十分に向き合えていなかった。国民が求めていることを敏感に感じ取る力があり、そうして幅を広げながら(自民党は)70年間やってきた。その感じる力が弱くなってしまった、これを立て直さないといけない」 (『ABEMA Prime』より)