自民党初の女性総裁となった高市氏ですが、『連立』『人事』『外交』といった様々な課題があります。
そして、決選投票の舞台裏についても見ていきます。
■公明「連立ひと休みするかも」野党との連立拡大は?
今後の焦点は連立の枠組みですが、公明党幹部が連立を離脱する可能性を示唆しています。
高市新総裁の1つ目の課題は『連立』です。
「自公連立が基本中の基本。(連立拡大について)憲法改正や外交・安全保障政策など、基本的に考え方の合う政党としっかり議論したい」と話しました。
総裁が決定した約2時間後、高市新総裁は公明党本部にあいさつに行きました。
「連立協議を始めるに際し、懸念事項・関心を持っていることについてお話をさせていただいた」と話しました。
懸念事項とは、『政治とカネ』『歴史認識と靖国』『外国人共生問題』の3つの懸念です。
また、自公連立について「懸念解消なくして連立はない」としました。
「新総裁に対し、こうした注文を出すのは極めて異例」
公明党の連立離脱の可能性についてです。
「自公連立をひと休みするかもしれない」との発言があったと言います。
「公明党内から『自民党といつまで付き合うんだ』という声が噴出している。公明党が連立から離脱して『自民党の単独政権』になる可能性がある」ということです。
維新との連立協議にも影響が出そうです。
「正式な打診があれば協議するのは当然だ」と話しています。
「維新の『副首都構想』を前提にした議論は非常に疑問点を持っている」と高市新総裁に伝えました。
維新と公明には確執もあります。
2024年の衆院選の際、公明党は「常勝関西」と呼ばれていた大阪で、4選挙区すべてで維新に敗れました。
「年収の壁の問題であったり、我々がいっていたことについては、かなり尊重する趣旨の発言もされていた。政策協議の要請があれば向き合っていきたい」と話しています。
「連立の相手は国民民主党」と断言。
高市新総裁が主張する『外国人政策の厳格化』や『スパイ防止法制定』『憲法改正』は国民民主の主張と重なります。
■初の女性総裁誕生 舞台裏で何が 決選投票の動き
高市新総裁が誕生した舞台裏を見ていきます。
投開票前日の予想です。
高市早苗さんと小泉進次郎さん、2人の決選投票になれば、議員票の割合が増し、小泉さんが新総裁になる可能性が高いと予想されていました。
1回目の投票結果です。
1位が高市さん、議員票64、党員票が最も多く119。
2位は小泉さん、議員票が最も多く80、党員票84でした。
誰も過半数に達することがなく、決選投票となりました。
決選投票の投票結果です。
高市さん、議員票149、都道府県票36。
小泉さん、議員票145、都道府県票11。
議員票・都道府県票ともに、高市さんが上回りました。
高市さんの議員票が1回目の64から149と大きく伸びたのは何故なのか、田崎さんの取材です。
1回目の投票では、高市さんには、麻生さんや麻生派の一部議員などが票を入れた。
小泉さんには、総理経験者である菅さんと岸田さん、その周辺の議員など。
林芳正さんには、石破総理とその周辺の議員など。
小林鷹之さんには、麻生派の一部議員などが投票した、
ということです。
そして、高市さんと小泉さんの決選投票では、
高市さんは議員票85票を積み増し、149に。
小泉さんは議員票65票を積み増し、145となりました。
どのように票が動いたのでしょうか。
林さんの72票は、3分の2が小泉さん、残りは高市さんに入ったということです。
小林さんの44票は、3分の2が高市さん、残りは小泉さんに。小林さんの麻生派の一部議員は高市さんに入ったということです。
茂木さんの34票も3分の2が高市さんに、残りは小泉さんに入ったということです。
石破さんは小泉さんに入れたということです。
■高市氏 勝利のカギは麻生氏 新政権に大きな影響力も
高市新総裁誕生のカギを握っていたのは、自民党で唯一の派閥、43人が所属する麻生派を率いる、麻生太郎さんです。
投開票前日、10月3日午後。総裁選候補者の茂木さんが、麻生さんの事務所を訪れ、30分ほど話し合ったということです。
「負けても高市でいく」と伝え、
茂木さんは、
「よくわかりました。一緒にやるつもりですが、仲間と意見集約します」と答えたということです。
投開票前日の夜です。
「党員票で一番票を得た人に投票してほしい」と指示をしたということです。
「1回目はそれぞれ自由に投票してください。決選(投票)は高市だ」
と指示したということです。
麻生さんが高市さんに決めた理由です。
●『保守は大事』
「保守の旗を守ったということで、次の選挙に臨んだ方がいい」ということです。
●『党員票を尊重』
「党員票の結果を覆してはいけない」ということです。
小泉陣営です。
小泉さんも投開票前日に麻生さんのもとを訪れていて、その時点では、まだ自身への支持を期待していたということです。
小泉陣営は投開票の当日の朝に、麻生さんの考えを知ったということです。
「麻生さんがキングメーカーに。これで高市政権の後見人となり、麻生さんが大きな影響力を振るう政権になる」
■麻生派重鎮を幹事長で調整 派閥カラー強い人事に?
高市新総裁の2つ目の課題は『人事』です。
「総裁選を戦った4人の候補者はもちろん全員活躍をしていただく。不記載があった議員については、司法で問題がないとされた方、(選挙で)議席を得られた方について、再処分を行うということは考えていない。国民の代表として送り出された方々なので、特に人事に影響はない」
判明している人事です。
自民党幹事長には麻生派の重鎮で、麻生さんの義理の弟でもある、鈴木俊一総務会長を充てる方向で調整に入ったということです。
麻生最高顧問は、副総裁に起用することを検討。
木原稔前防衛大臣を官房長官などの要職で起用することが有力となっています。
「麻生派、旧茂木派、旧安倍派のカラーが強くなる。不記載問題で活躍の機会がなかった旧安倍派の萩生田光一さんらも要職につくだろう」
■高市氏 保守的言動も外交は?トランプ氏と会談予定も
高市新総裁の3つ目の課題は『外交』です。
高市新総裁はどのような人なのでしょうか。
「私は日本と日本人を心底愛する者として、日本の国の力を今強くしていきたい」と話すなど、自民党保守派の筆頭と評されています。
保守的言動も度々あります。
「(戦犯は)刑を執行された段階で罪人ではない。私は手を合わせたい」と話し、
竹島に日については、
「堂々と大臣が式典に出るべき。(韓国の)顔色をうかがう必要はない」と話しています。
海外の反応、韓国です。
高市新総裁は韓国国内で、“女性版元安倍総理”の意味合いから、女性安倍(じょせいあべ)というニックネームで有名です。
「総理として靖国神社に参拝すれば、韓国の反発は避けられない」と警戒しています。
中国では、新総裁決定後、中国メディアが一斉に速報をうちました。
「超右翼だ」
「反中の首相が誕生する」
というコメントが書き込まれました。
中国政府は台湾問題も警戒しています。
中国政府は頼清徳(らい・せいとく)政権を台湾独立派とみなして、強く警戒していますが、
高市新総裁は2025年4月に頼氏を表敬訪問。
この距離の近さに懸念する声もあります。
欧米メディアも反応しています。
「男性優位の自民党で最も保守的な党員の一人」とし、
イギリスメディアも、
「強硬なナショナリスト(国家主義者)。劇的に右傾化することになる」と報じました。
10月末にはあの人もやってきます。
トランプ大統領の来日が、10月27日から29日の間で調整されています。
来日となれば2019年ぶりです。
「日本の平和を守るために、日米同盟を基軸に同志国連携を強化し、自由で開かれたインド太平洋を主導する。課題や懸案を持つ国だからこそ、対話を重視する。そうした姿勢で外交に臨む」と語っています。
「まもなく外交上の試練に直面する」と報じています。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年10月6日放送分より)